15話 家族愛
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俺が魔王を名乗った事により町は混乱したようだ。逃げようとする者、その場で失禁する者。俺に斬りかかろうと隙を窺う者。様々だ。
「き、キサマ。ついに本性を現したな。いつからだ!! いつからエルヴァンと入れ替わっていた!?」
親父は、フラフラと立ち上がり、俺の胸ぐらを掴み叫ぶ。
それにしても、入れ替わる? 何を言っているんだ?
「エルヴァンは昔から、私の言う事には絶対服従だったはずだ!! それにもかかわらず、お前は私に逆らう!! お前は偽物だ!!」
逆らうから偽物? 俺はそれを聞いて、呆れるとともに怒りが込み上げてきた。
「絶対服従? 確かにその通りだな。そうしなければ、家族に殺されていたからな」
「殺されて?」
クリスが俺の方を心配そうに見ている。
「あぁ。こいつらにとって必要だったのは、兄貴だけだ。俺は必要ないとばかりに、日常の暴力は当たり前、飯すら満足に与えて貰えなかった。特に、親父の機嫌が悪い時は、殺されるかと思うほどの暴力を受けていた」
俺が、恨みのこもった目で親父を見下すと、親父は少し怯えた顔をしている。
「ば、馬鹿者!! それが家族愛だとなぜわからんのだ!?」
家族愛? こいつは何を言っているんだ? 違うな……。こいつは家族愛について教えてくれたんだ。
俺は目を閉じ、剣を鞘にしまう。クリスは俺の行動に驚いていいるようだが、親父はホッとしたようだが……。が、俺は親父の腹を殴る。
「ぐふっ!!」
親父は、その場に崩れ落ちる。
「き、キサマ!! 実の父を殴ったな!!」
俺は、すかさず親父の顎を蹴り上げる。親父は無様に仰向けになる。結構な力で蹴ったので顎が砕けたのか、親父は「うー、うー」と唸っている。
流石に、会話が出来ないと面白くないと判断した俺は、クリスに「回復魔法は使えるか?」と聞いてみる。
普通の魔導士は使えない筈だが、クリスは優秀なうえに一人でも生きていけるように全ての魔法を使えると前に聞いた事があった。
「使える。少し待って……。ヒール」
クリスの使った回復魔法で親父が光る。傷を癒しているのだろう。唸る声が次第に小さくなっている。
暫くすると、顎をさすりながら、親父が立ち上がる。
「え、エルヴァン。落ち着いて話をしよう……。お前だってわかるだろう? マシュー君は勇者……、この世界の希望だ」
俺は腕を組み、親父の考えを聞いてやろうと思ったが、そんな必要のないことに気付く。
「そうだな……。あいつは勇者。そして、俺は魔王。殺し合う運命だな」
俺の言葉に親父の顔が引きつった。
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