10話 ポチとお散歩
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壁を砕いた俺とポチは、町中を歩く。何人かの住民が、俺に気付くが、話しかけては来ない。
「ポチー。玩具が沢山あるぞー」
俺はそう言って、自警団を指差す。自警団達は、ポチに怯えて逃げ出す始末だ。
俺は、ポチを引っ張っていたロープを離す。
ポチは、咆哮をあげながら、自警団達に向かって走る。自警団達は必死に逃げるが、一人、また一人と空に弾き飛ばされる。
俺がそんな光景を見て笑っていると、一人の若者が俺に話しかけてきた。
「あ、貴方があの魔物を連れてきたんですか!? 何故、こんな事をするんですか!?」
ほぅ。勇気ある若者だな。仕方無い。ちゃんと教えてやろう。
「楽しいからかな? お前等だって、数日前に、マシューの仲間だった、エルヴァンを虐めるのを楽しんだんだろ? お前等がそれをして良くて、俺は駄目って、そんな都合の良い話は無いよな?」
「そ、それは……」
「それはなんだ? ちゃんとした理由があるなら、答えてみろよ。マシューとメディアが言っていたからか?」
「そ、そうです!! 勇者様とメディア様が……」
若者が、二人の名を出した瞬間、俺は興味を無くした。
「なら、その二人に助けてもらいなよ」
そう言って、俺はポチの下へと歩きだす。
若者は、俺に何かを叫んでいるが、何の興味も湧かない。
俺は、再びポチを捕まえ、実家へと向かうことにする。途中でメディアの家を見つけたので、剣を軽く振り、屋根を吹き飛ばしておく。
ポチがその光景を見て怯えているが、俺は優しくポチを撫でる。
「お前が逆らわなけりゃ、この斬撃はお前に向く事は無いよ」
俺がそう言うと、ポチは嬉しそうに尻尾を振る。振った尻尾で、何人か斬られたみたいだが、気にする事は無い。
俺はポチの拘束を解いてやる。ポチはペットなので仲良く一緒に歩く。
「わ、私の家が!? だ、誰がこんな事を!?」
どこかのおばさんが、家を見て嘆いている。中途半端に残っていても可哀想なので、ポチの玩具にしてあげようと思う。
「ポチ!! あの汚い小屋で遊んできて良いぞ!!」
俺が、メディアの家だったモノを指差すと、ポチが尻尾を振りながら突撃していく。
家は、ポチの突撃に耐えられず粉砕されていく。
おばさんは、俺に向かい駆け寄ってきた。
「あ、あんた!? どうしてこんな事をするんだい!?」
「え? 楽しいから?」
おばさんは、見覚えのある俺を見て驚愕していた。




