表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦力より戦略。  作者: ハルヒ8128
魔界繁栄
531/557

一方その頃①

 はっ!?

 なんか感じたぞ?

 例えるなら主人公が出てこず50話も過ぎてしまった謎展開な空気を感じた!


「ご主人様? どうかなさいましたか?」

「え? あぁ、いや、なんでもない……?」

「なぜ疑問形なのです」


 いや、俺も聞きたいんだが。

 さっき不意に俺を襲った感覚が何だったのかが思い出せないんだ。

 何だったんだ……?


「社長、本日の業務、滞りなく完了しました」

「お、了解。じゃあ、みんなあがっていいぞー」

「「「お疲れさまでした!!!」」」


 リブレは自分の目の前で好きな人のスク水お披露目会が行われていることなど露知らず、飲食店の社長へとその身分を変貌させていた。

 リオンになぜかくっついている謎の引っ付き蟲くらいの印象だったのがある程度身分が保証されるようになったくらいの変化であろう。


「しかし、こんな施設が多くあるとは、どこも簡単じゃないんだな」


 なぜ「社長」と呼ばれる地位になっているかというと、単純に従業員が増えたのだ。

 ラーメン屋の噂が広まり、孤児たちが働いているという話から、各地に散らばっている孤児院から自分のところの子も雇ってもらえないかと打診が来たのだ。

 その時点ではあまり乗り気ではなく、院長の未亡人さんに対応を任せていたが、メガネ領主に任せたハンバーグ屋さんも軌道に乗り、外食産業が活発になり始めたのだ。

 そこで、事業展開を目論んだリブレにとっては従業員の確保という点で渡りに船だったのである。


「そうよ。私たちだって好きで親に捨てられたわけじゃないんだもの」

「さっきまでの社長呼びはどこ行ったよ」

「もう就業時間外でしょ? なら、社長と呼ぶ必要はないわ!」

「いや、俺とお前の関係上そんなフランクに話されるもんじゃないだろって何回も言ってるだろうが」


 良からぬやつに攫われていたリアーネを助けた直後はかなりしおらしかったのだが。

 この頃は俺に対する態度がかなり適当になっている気がしなくもない。

 こう言ってはなんだが、貞操を守ってくれた相手に対する態度ではない。

 結局、俺もあまり気にしていないので直らないという事もあるのだろうが。


「まぁ、いいや。アン、どうだ?」

「そうですね。傾向からはラーメンとうどんの麺類がかなり好評のようです。他のおかずに関してはハンバーグと市場を分けていますから、徐々にといった感じでしょうか」


 そもそも米文化であるこの世界では、小麦が家畜の飼糧としか見られていなかったため、麺というものがなかった。

 だからこそ最初はラーメンに目を付けたのだが、よく考えたらうどんの方が再現しやすいのだ。

 出汁という概念は日本にしかない素晴らしい文化であるが、これは簡単も簡単だからな。

 この辺りでは海産物が手に入りにくいらしいからそこだけは苦労したけどな。

 定期的に購入するという担保があれば販売人を呼ぶこともそう難しくはない。


「でも、凄いわよね。こんなに大きな部屋を構えるようになっちゃうんだから」

「いや、お前がいていい部屋ではないんだが。一応言っとくと」


 狭い家にぎゅうぎゅうになって業務を行っていた頃と違い、事務所を設けて社長室もある。

 そしてそのソファーの上でゴロゴロしているのがリアーネである。


「よし、俺も帰るか」

「そういたしましょう」

「あ、ねぇ! おいて行かないでよ」


 本日も、平和である。



ここまで読んで頂きありがとうございます!

よければブックマーク、評価、感想お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ