400話記念幕間 ~年越しとは~
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます!
今年も「戦力より戦略。」、またよろしければ「受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります」もよろしくお願いいたします!
「あぁ、この世界には年越しという文化がないのか」
「というか、曖昧なんですよね」
俺の感覚で年の瀬のある日。
数えていたわけではないが、そろそろ一年が終わるのではないかとレインに聞いてみたのだが、予想外の言葉が帰って来た。
この日から何年後とかいう数え方はあっても、期間を年で数えることはないらしいのだ。
暦の上で面倒なのではないかと思うのだが、特に毎年行うようなこともないらしい。
季節もそう大きくは変わらない。
ただ、年齢はどうしているのかと思ったら、ステータスとして表示されるのでそれで認識しているようだ。
俺としてはなんとも味気ないと思わざるを得ない。
「どこを起点とするかによって一年なんて変わっちゃいますし」
「気にしたこと……ないね……」
プリンセも考えたことはないらしい。
「じゃあ、今日を一年の始めにしとくか」
「急すぎません?」
「確かに。なら、明日にしよう」
「いえ、そういう話じゃないんですけど」
「なんか、区切りがないと落ち着かないんだよな」
夏休みやらクリスマスやら、魅力的なイベントは数多くあるものの、年末年始の特別感は格別である。
どれだけ年中無休でも年末年始だけは休むお店も少なくない。
それだけ特別視されているのだ。
というか、店側も働きたくないだろう。
「じゃあ、今日は年の瀬だな。思いっきりだらけようぜ」
「いつもとあまり変わらない気がします」
「それが一番なんだって」
年末になると大掃除という言葉があるが、あれは普段は手の届かないところまで掃除することを指す言葉だ。
しかし、この家は働き者が2人いるのに加え、俺が高いところを掃除しているため、わざわざ気合いいれて掃除をする必要がないのだ。
なんとも贅沢なことであろうか。
「それもこれも、2人のお陰だな」
「……もっと誉めても……いいよ……?」
「誉めても何も出ないですからね……」
2人の頭を撫でると、プリンセはもっともっとという感じでゴロゴロと頭を擦り付けてくる。
レインは口では可愛くないことを言っているが、耳は真っ赤になってピクピクしてるし、表情が緩みきっているとこまで含めると圧倒的に可愛い。
というかもはや、可愛くないことを言ってる風なのも可愛い。
「ところで、どうして今日を新年にしなかったんですか?」
「やっぱり年を越す瞬間が一番大切だからだよ」
年越し。
最後の方こそ一人でイベントを消化しながら粛々と越していくものだったが、もとは家族で過ごしていた。
今だから思うことなのだが、あれは家族と過ごしていたのではなく、一番大事な人たちと過ごしていたんだなと思う。
だから、後半は家族と一緒である必要がなかったのだ。
だが、こっちに来て大切な人に出会えた。
折角なら、2人と一緒に来年を迎えたい。
「リブレさん! そろそろですよ!」
「はやく……!」
眠いであろう2人もテンション上がってキャピキャピしている。
来年もみんなで、なんなら、キラたちも交えて年越しをやってもいいかもな。
とりあえずは、そうだな。
この瞬間を楽しむとしようか。
「明けまして、おめでとう!」




