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戦力より戦略。  作者: ハルヒ8128
魔界奔走
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働かざる者食うべからず

「どうですか、うちの料理は」

「率直に言って神です」


夕飯の席で、俺は米をがっついていた。

第六界では模索しているものの、米というものは確認できていない。

小麦に似た何かがあるのでそれで炭水化物は補えているのだが、もうそれはそれは米が恋しい。

2回目の第七界は米しか食わない。

今、決めた。


「それは良かった。うちの者たちも喜ぶでしょう」

「そういえば、ここの人たちはなぜ全員メイド服なんですか?」


方針を決めて、夕飯までの間。

屋敷の中をうろうろする時間があったのだが、見事にメイドさんしか見なかったのだ。

流石に訝しんでスルー・アイまで使って屋敷を見て回ったが、執事さんすらいなかった。


「仕える者はこの服装で女性が正式なものだと閻魔(アンリ)が言っていたものですから……」


至極不思議そうに俺の疑問を解消してくれる領主様。

うん、アンリさん。

いくら神だからって自分の趣味を持ち込み過ぎじゃないですか。

なんともグッジョブである。


「あとどのくらいこちらには滞在する予定で?」

「そうだな、5日くらいかな」

「では、その間、うちのメイドたちを鍛えてやってくれませんか」

「は?」


あ、素が出た。

だが、心優しい領主様はそんな小さなことは気にしない。


「うちもメイドたちを鍛えてはいるのですが、私もそれほど長い時間は相手していられませんし、身内同士では限界があります。ですから、是非お2人に鍛えてやって欲しいのです」

「いや、リオンはわかるよ? 強いしさ。だけど、俺は違うだろ」

「何を言っておられる。メイドの攻撃を鮮やかに防いでいたではありませんか」

「いや、あれも俺じゃないからな……」


俺も反応はしていたけど、実際にステッド・ファストのを出したのはオーシリアだし。

なにより面倒だ。


「もちろん、いいですよー。ね、弟君?」

「へっ?」


リオンが思っていた数倍乗り気だな?


「お世話になっているんですから、そのくらいは働かないとですよー。ね?」

「それは一理あるな……」


リオンに論破される日が来るとは……。


「私も体動かしとかないと鈍っちゃってるからねー」

「そっちが本音か……」


だが、お世話になりっぱなしというのもな。


「わかりました。俺になにかできるかはわかりませんが、頑張ってみることにします」

「それは良かった。どうぞよろしくお願いします」



翌日。


「「「お客様、よろしくお願い致します」」」

「はーい、任せてねー」


庭に勢揃いしたメイドさんたちと上機嫌なリオンがいた。

勢揃いと言ったが、100人程で、全体の3分の1程度らしい。

残りの人たちは普段通りの業務を行っているとか。

つまり、この屋敷だけで軽く300人くらいのメイドがいるらしい。

そんなにいるか……?

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