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戦力より戦略。  作者: ハルヒ8128
幻想級迎撃
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2人の帰宅

「……ただいまー」

「ただいま帰りました。……なにしてるんですか」

「え?」


一仕事終えて帰ってきたレインとプリンセが目にしたのは絶望して床に転がっている俺とオーシリアの姿だった。

トランプタワーは三段が出来たからといって満足するものではない。

三段出来たなら四段を目指すものなのだ。

もちろん、やらかして今に至るわけだが。


本当に問題なのは三段が崩れたことに絶望したオーシリアが放り投げたカードが俺の九段のトランプタワーにぶち当たり、見事に根本から崩れ落ちたのだ。

俺も流石にこの一瞬の出来事には怒る気力も湧かず、怒られると思ってペトッと倒れたオーシリアと共に倒れたのだった。

で、今に至る。


「なるほど、それでこのカードの散らばりようですか」

「……わたしもやりたい」

「やり方は教えるからやってみたらどうだ」


倒れたまま二段のタワーを作る。


「これをどんどん高くするってだけだ。下から順番に高くしていってもいいし、一段ずつ横に大きくして高くしていってもいい。自分がやり易いと思うやり方でやってみてくれ」

「……わかった」


プリンセはそこら辺に散らばっていたカードを拾い集めて一気に集中してやりはじめた。

もうカードにしか意識がいっていないようだ。



「僕たちが頑張ってる間になんて意味のないことしてたんですか」

「いや、意外と楽しいんだぞ? 特にどんどん高くなっていったときの緊張感は凄いぞ」

「いえ、そういうことではないです」


ですよね!


「まぁ、そんなことはさておいて。どんな感じだったんだ?」

「そうですね。概ね予想通りというか。自分がやったと認めたのはいいものの、俺は悪くないの一点張りでしたよ。被害者の方たちはあくまでも対話を目指してたんですけど。長の息子である俺に指図するのか、としか言わなくて」

「まぁ、確かに予想通りだな」

「途中でエルメさんがキレまして」

「それも予想通りだな」


俺はあくまでエルメのやりすぎを止めるように言っただけで、制裁を加えることに対しては止めていない。

だってあの長の息子クズじゃん。

絶対どうしようもない状態になるのはわかりきっていたからな。

被害者の女の子達もそんな怒れないだろうし、親もそんな実力行使に出れるような人たちではなさそうだったからな。

エルメにボッコボコにされていい気味だくらいに思っていてくれるといいな。


「ちなみに、話しかけられたりしたか?」

「話しかけられたような気もしますけど、覚えてないですね。『助けてくれたら妻にしてやってすべて許してやる』とか言われてないです」


めちゃくちゃ覚えてんじゃん。

改めてあいつの思考回路どうなってんだよ。

なんであっち側についていってるのに助けてもらえると思うんだよ。


「まぁ、それ以外は特になにもなかったですね。長が言うには、息子さんは謹慎処分で、指定した人としか会えないようにするらしいです」


誘拐教唆とかしてるのにとは思うが、それは他国の法に口を出すようなものだからな。

やめとこう。

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