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戦力より戦略。  作者: ハルヒ8128
王の試練
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貴族の睡眠欲って大抵他の2つにシフトしてるよね

さてさて。どこから手をつけたものかね。


「で、僕は具体的にはどんなことを調べたらいいかな」

「? 俺は好きに動いていいといったけど?」

「正直こういうのは得意じゃないんだ。不慣れな僕が引っ掻き回すのもどうかなと思ってね。リブレ君のほうがこういうことに慣れてそうだし」


まぁそれは否定しないな。愚直に鍛錬を続けてきたキラより現代社会で相手の機嫌を伺って生きてきた俺のほうが上だろう。自嘲ぎみに俺は嗤う。


「そうだな。じゃあキラは町にその謎石を広めたやつから探ってくれ。お前はおおっぴらに動いても気にされないからな。町で聞き込みでもなんでもやっていい。頼むぞ」

「了解。君は?」

「お前が外を動いているうちに内情を探ってみるかな」



そうは言っても、なんの権限もないしな。ルーリアのおかげで出入りはできるもののほかのことはできない。どうするかな。


「レイン、案は?」

「なんで私にふるんですか」


いや、なんかないかなーって。


「私に思いつくのはせいぜい身を潜めて盗み聞きするくらいですよ」


よし、採用。


「そんな簡単にいくと思いませんよ?」


まぁまぁ。やってみようぜ。



よし。


「“影隠し(シェイド・ハイド)”」


これは影の中に溶け込んで姿を消す魔法だ。キラ相手に試して気配を探れる人には効かないことがわかっているが、広間でみたやつらにはそんな力量はないように見えた。この魔法は影に潜むものなので日光の下や光を当てられたらすぐに看破されてしまうがそうでない限りかなり使い勝手のいいものである。俺の魔法の中では。



とりあえずレインがここといった部屋に入って様子をみてみる。


「それにしてもキラがあのようなことを言い出すとはな」


よく言えば恰幅のいい、悪く言えば脂肪でたるんだ体形の男が入ってきた。


「あのように人を信じることを糧としている奴が感づくとは裏に必ずなにかある。あの男の動向を見張れ。決して目を離すでない」

「御意」


忍者的な格好をしたやつに指令を出してる。


「それにしてもキラの友人とかいうあの男にくっついていたエルフ。あれはいい……」


下卑た笑いを浮かべる男。


「キラを詐称で投獄し、仲間も同罪としてとらえ、あの娘はこの私、エルドラのものにしてみせよう」


そうして男、いやエルドラは自分の席に座る。

隣でレインが顔を強張らせながら冷静さを保っている。こいつの妄想の中でどのようなことがおこなわれているのだろうか。



「申し上げます!」


入ってきた鎧装備の兵士が経済政策の会議の開催を伝え、部屋を出る際にそいつの陰に入って部屋をでる。

出た瞬間恐怖が一気に襲い掛かってきたのだろう。ぺたんと尻もちをついてしまった。腰が抜けたようだ。

仕方ない。今日はここまでだ。



そうして俺たちは家へと帰った。1日目は実りのあるといっていいものだっただろう。


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