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戦力より戦略。  作者: ハルヒ8128
杖の真価
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久しぶりの地上

「で、こっからどうなるんだ?」


ボスを倒したからダンジョン自体がなくなるはずなんだが、その時に俺たちはどうなるのかって話だ。

まさか一緒に消えるなんてことはないよな?



そんなことを考えていると、周りの輪郭がぼやけていき、体感的にはダンジョンから吐き出される感じで外に排出された。

あ、そういう親切設計? 願わくばスルっと外に出していただければなお良かったのですが?

こんな地面に落とされる感じじゃなければな!


「大丈夫か、主?」

「そりゃ大丈夫ではあるけどな……。もう疲労困憊だわ……」

「お疲れ様なのじゃ」


改めて排出された草原に仰向けになり、空を見上げる。

俺たちが出てきたのは夜だったようで、星がきれいだ。


「久しぶりに空を見た気がするなぁ……」


しみじみと呟く。



「綺麗じゃの……」

「そうか、オーシリアは空を眺めるのは初めてか」

「そうじゃ。わしがこの姿をとれたのは初じゃからの。初めて見る外の景色がこれとは……、主も中々隅におけんのう」

「なんでそうなるんだよ……」


杖の両性のやつに仕掛けるとかどんな性癖の持ち主だよ。

そもそも夜空を狙って出てくるとか無理だろ。時間把握してなかったんだから。



「こっからどうすりゃいいんだ?」


俺にここから帰るだけの体力なんて残ってないぞ?

かといってここに残り続けるのもいつエネミーから襲われるのかわかったもんじゃない。

誰か助けに来てくれないかなー。


誰かっていっても、


「お疲れ様。待ったかい?」


キラ(こいつ)しかいないわけだが。


「さて、俺はもう動けないんだ。運んでいってもらえるか?」

「もちろん。そのために来たわけだからね。ところで、そちらの人は?」

「ん? あぁ、オーシリアか。杖だよ」

「え?」

「いや、だから杖だよ。オーシリア」

「うむ」


俺が視線を向けるとオーシリアが杖へと戻る。



「え、なんで!? そんなこと聞いたこともないよ……!?」

「そうなのか?」


俺は少女の姿へと戻ったオーシリアに聞く。


「そりゃそうじゃよ。わしは武器によって()()()()条件が違うとも言ったはずじゃの。そもそも武器なんてそんなに長持ちするものじゃないからの。どうしても条件を満たしにくくなってしまうのじゃよ」

「そういうもんか」

「そういうものじゃ」

「ということらしい」


キラに向き直り、伝えるが、


「いや、そんなこと言われてもわからないんだけどね……」


相当困った顔で返された。



「ま、まぁ、とりあえずは無事ってことでいいことにしようか。リブレ君が潜ってから大体3週間ほどたったからね。こっちの状況もそれなりに変化しているよ。一刻も早く戻らなきゃ」


キラはそう言って俺に背を向けておぶされるように膝をつく。


「オーシリア、一旦杖に戻っててくれ。キラの負担がでかい」

「了解なのじゃ」


そうして俺たちは実に3週間ぶりとなるランガル王国へと帰ったのだった。

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