武器は使い続けますか買い換えますか
「ここにきて今更それかの!?」
いや、そんなこと言われましても…。特に自己紹介とかされた覚えもないですし…。
「お前のこと何も知らないからな?」
「む、そうじゃな。失礼したのじゃ。わしは、そう、アシスト・ロッドの化身といったところじゃな」
そこまではわかってる。
「この世界の武器にはそういうもんがついているもんなのか?」
「他の武器にもということか?それなら答えは否じゃ。ある程度武器として年月を経ていることがまず第一条件にあるからの」
要するに、「国宝」とかだと宿りやすいってことだな。
「さらにこうやって姿を形作れるようになるためには武器それぞれに条件がある。わしの場合はより長く、より多く使われた方が出てきやすくなっていたようじゃの」
武器との相性チェックみたいなもんか?合わなかったら長くは使われないしな。
「ちなみに聞くけど、俺アシスト・ロッドしか装備できなかったんだよ。それについてなんか知ってることある?」
武器を変えようにも変えられなかったというのはある。使い勝手は良かったが。
「あ、それはの、わしがお主から離れられんようにした」
お前のせいかよ!
「だっての!?わしはかなり前から存在してる武器なんじゃ!多くのものが使う属性魔法とは別の無系統魔法を使いやすくなるという素晴らしい能力を持っての!」
まぁ、確かに素晴らしいかどうかは置いとくとしても珍しいものではあるな。他のやつが使ってるところ見たことないし。
「しかしじゃ!奴らは攻撃にばかり気をとられ、わしを手に取った奴もすぐに手放してばっかじゃった。武器としてはこんな屈辱は他にない!」
使いづらい一面は大いにあるから仕方ないところではある。武器ってのは使われてなんぼだからな。
「そのような不満を抱えていったわしは考えたのじゃ。いっそのこと無系統魔法の適正が高いやつにとりついてしまえと」
迷惑な話だな!
「その計画を練っていたところ、いつの間にかわしはお前のもとに来ておった。そしてこれは僥倖とばかりに装備変更を不能にした訳じゃな」
「した訳じゃな、じゃねーよ!」
そこまで聞いてからとりあえず不満を述べる。
「助けてもらっておいてなんだけども!もうちょっといい仕様に出来なかったのかよ?そりゃ搦め手に関しては一級品だろうけど攻撃手段が皆無ってのはなかなかにしんどかったんだぞ!なんっども死にかけたからな!?」
「そんなこと、わしに言っても仕方なかろうよ!?」
そりゃそうなんだけども、言っときたいんだよ。
「はぁ。まぁ、事情はわかった。今回のダンジョンであんたが出てくる条件を満たしたってことだな?」
大分一気に魔法使ってるからな。
「そういうことになるの」
「じゃあ次はあんたが助けてくれたときの話をしてくれるか?あの時何が起こったのか」
そこまで言ってから俺はふと気づく。
「そういえば名前は?アシスト・ロッドのままか?」
さっきからあんたとしか呼んでない気がする。
「ん?わしに名前なぞないぞ。なにしろ出てきたのも初のことじゃからな。わしとしては杖とは分けて欲しいところではあるの」
まぁ、意志があるわけだしな。
あれ?これって俺が名前考えないといけないやつ?




