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戦力より戦略。  作者: ハルヒ8128
杖の真価
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救世主現る

拝啓、どなたか。

今、蟻地獄に巻き込まれそうになっています。助けてください。

敬具


「そんなことしかやることないもんなぁ」

2分少々脱出方法を考えた俺は無理だと諦めて達観していた。

やることないから適当なことを考える。とりあえずは誰かに祈りが届くことを祈って丁寧な文体でお願いしてみるが、届くわけもない。いざとなったらヘスティアさんに全力で祈ってみよう、うん。ここに置いていったのをどうにかしてくれということで。


チラチラ下を確認してみるが、一向に諦める気配はない。落ちてくる気がしなかったら諦めてくれないかなーと思ってはいたが、そもそもこんな砂漠で獲物が来るのをじっと待っているような存在がその程度のことで諦めることはないのだということに思い至る。

改めて詰んでるな。


今は下で待ちの姿勢だからなんとかなっているものの、上がってきたらどうしよう。あ、これ考えたら駄目なやつだ。

ギャアアァァァ!!

「来たーー!!」

下からハサミをこちらへ向けて這い上がってくる。


「ふっ!」

更にステッド・ファストを発動し、身を守る。相手を囲って移動をさせまいとするが、下側が囲えない。一度壁にぶつかった感じになったものの、潜ってしまった。

ザザアァァーー!!

「うおー!!??」

目の前で立ち上る砂煙。

遂に俺を狙っていたエネミーの大きさが明らかになる。

「でかい…」

軽く7メートルはありそうだ。しかもまだ下に埋まってる部分があるってことは全体ならめちゃくちゃでかいだろうな。そりゃ囲えないわけだ。


ガキィッ!

ハサミを向けてくるが、ステッド・ファストに阻まれて攻撃自体は通りそうにない。

「うん、状況変わってないな」

ここから動けず、なにもすることがない。

攻撃がくる度にビビりはするが、結局どうしようもない。魔界でもらった小太刀で応戦しようにも袋から出したとたんにステッド・ファストが解除されて、砂に放り出される。相手のフィールドで戦えるわけはない。


「あれ?リブレ君じゃないかい?」

上から声をかけられたので見上げると、そこにはキラが立っていた。

救世主キターー!!

「なにしてるんだい?」

襲われてんだよ!見て分かれよそれは!

「とりあえず助けてくれ!」

「ん、了解」

その一言と共にキラの身が宙に舞う。


「ごめんね」

キラがそう言ったころには既に俺の上側の空気の層に降り立っていた。

ズズウゥゥン。

エネミーが地に沈む。

「今何したの?」

「え?近づいて当てた刃にまとった電気を流して神経系を麻痺させただけだよ?このやり方MPの効率がいいんだよ。あ、30分もすれば直ると思うからそこは安心していいよ」

その心配は初めからしてねぇよ。『だけ』ってどういう意味だったっけ。


「で、消息を絶ってた君がなんでこんなところで蟻地獄に嵌ってたんだい?」

「それはまぁ色々とございまして…」

ってかやっぱり消息を絶ってたって扱いなんだ。

「俺がいなくなってからどの位経った?」

「え?えーと、8か月くらいじゃないかな?」

なるほど。魔界での一日がこっちでの16日くらいになる計算か。8か月もあったらそりゃ道が出来てるわけだわ。


「で、なんでキラはここを通ってたわけ?」

「うーん、それよりも僕としては君が何をしてたのかを知りたいところだけど…。移動しながら話そうか。実は僕、ドルガバに行く途中なんだ」

なんでまた。


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