筋肉痛って恐ろしいよね
遂に100話です!
挿絵で描いてほしいキャラや場面などありますか?実現するかはわかりませんが一応…。
あったら活動報告の挿絵のとこ、もしくはTwitterへ!
3日後…。
「リオン、ちょっと思いついたことがあるから手伝ってくれるか?」
「うん、いいよー。なにするのー?」
「えっとだなー…」
そう言いながら俺は地面を見つめる。
「ここらへん掘ってくれ」
リオンの家の倉庫から探してきたシャベルを渡しながら地面の一点を示す。
「ここー?」
「そう。できるだけ縦に深く」
「わかったー」
リオンの家の時代にシャベルなんてあるのかという疑問はあるものの、倉庫の内部と外見の大きさが違っていることからなんらかの魔術の支配下にあるのは間違いないだろう。未だにあそこに気に入ったものを持ってきてるんじゃないか?
その犯人と思われる魔王ことアンリさんはヘスティアさんに怒られて寝込んでいる。身体的ダメージによるものではなく、精神的なダメージで。なにがあったんだろう…。
そのヘスティアさんだが、俺たちが庭を掘り返しているのを廊下に腰を下ろしてにこにこしながら見ている。お茶をすすりながら。しかも緑茶ではなく、ほうじ茶。しぶい。
平然としているのが逆に怖い。
そのヘスティアさんを尻目にリオンは黙々と堀り、俺は黙々と土砂を運ぶ。というか俺はしゃべるような余裕がない。リオンはヘスティアさんに対する恐怖心から声を出していないようだが、俺はリオンの掘るスピードが速すぎて運搬が追い付いていないのだ。
「うぅ…、もう…、無理だ…」
パタッ。
普段から動いていないのが祟ってほんの2時間で力尽きる。いくらこの頃は働いていたといっても肉体労働らしい肉体労働はしてないしな。動けるようにはなったが、所詮は付け焼刃。絶対的な筋肉量が上昇したわけでもないのだ。
ヘスティアさんの座る縁側(?)に倒れこむ。
「お疲れ様です。頑張っていましたね」
「えぇ…、そりゃ…、自分のことですから…」
息も絶え絶えに受け答えをするが、実際に一番頑張ってるのはリオンなのでなんとも言えない。
「そうですね…。少しは手を貸しても文句は言われないでしょう」
ヘスティアさんが俺の頭に手をかざすと、ヘスティアさんの手が光る。
見る見るうちに俺の疲労感が薄れていく。
「おぉ!動ける!」
これでまだまだ運べるな!
「あ、あまり動かないほうがいいですよ?あくまでこれは疲労感をとるだけであって、疲労そのものには干渉しておりませんので。あまり無茶していると効果が途切れた際に通常より遥かにひどい筋肉痛に襲われることになるでしょう」
「はい」
じっとしてます。
元気はあるが、ヘスティアさんに言われて動けないのでリオンが掘った土があがってくるのをダラーっとして見つめる。
「あー!なんで休んでるのー!?」
上の土砂が減っていないことに気づいたリオンが穴から這い上がってきて文句を言う。
「悪いな。俺はリオンほど体が丈夫じゃないんだよ。ちょっと動けばこんな風に参ってしまうんだよな」
「むー、元気そうに見えるけどー?」
「これは見かねたヘスティアさんが助けてくれたんだよ。動いたらヤバいらしいから」
「ふーん、じゃあ私がこれも運んじゃおっかなー」
「そこまではいいって。ゆっくりやっていこうぜ」
「えーとですね。あれをどかせばよろしいので?」
今まで沈黙を守っていたヘスティアさんが口を挟んできた。
「え?まぁ、そうなるな」
「わかりました」
その一言と共にヘスティアさんが手をサッとふるう。すると積み上げられていた土砂が忽然と消える。
「えっと、あれらはどこに?」
「え?魔王の寝所に積み上げておきました」
まだ怒ってたんだ…。




