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第十四話 火葬

 炎の旋風は瞬く間に異形を灰にし、その勢いのままに着物女へと迫る。


「……荼毘だび、とは」


 ここにきて初めて、女は表情から笑みを消した。

 炎に取り巻かれる刀の一刀に、初めて回避を選んだ。地を転げるように迫りくる刀を避け、そのまま周囲の死骸を再起────「そんなっ……!?」できなかった。

 あの炎に焼かれた異形は、まさに葬られてしまったのだ。この世から完膚なきまでに、完全なる死として、葬送の炎によりて。

 だから、再起の呼び声に応じることができない。

 あの者達はみな、真実、死んでしまったのだ。

 そしてあの炎は、我が身すらも────葬る。


「アアアアあアア嗚呼あああ────ッ!!」


 悲嘆のごとき怒号をあげ、身を燃やす枯木は迫りくる。必死をその瞳に宿し、決意をその双眸のなかに燃やしながら──「っ!」すかさず、女は呪符を正面に展開し、障壁を張った。


「────!!」


 枯木の一刀により、障壁は砕け散る。


「ふ……ふふ」


 間髪入れず、女は次々と障壁を展開し、後退する。


「嗚呼ああああ嗚あああ呼嗚呼あああ───!!」


 身を焼く枯木は止まらない。

 展開されるたびに障壁を打ち砕き、女のもとへと灼熱の閃きを浴びせかける。一太刀、二太刀、三太刀──女が追い詰められるまで、そう時間はかからなかった。


「燃え立つ火が、私の終わり……なんとも、この腐肉に相応しい限り」


 呆気なく、女は自らの終わりを悟った。

 死を恐怖するわけでも、生に執着するわけでもなく──女が最期に描いた幻想は、鉄の棒を握り殴り掛かってくる一人の人間ひとの姿──希求する理想の死。叶わぬ想いで、あったのだけれど。

 

「……シマイ、様…………いま一度、お逢い────」


 言い終わる間もなく、着物女は燃え盛る閃光に身を幾重にも分断され、再起のチカラも発現せず、ついぞ果てた。

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