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異世界で、頑張りなさい、レオンさん×1

「田中レオンさんようこそお越しくださいました。私は女神アガミ。貴方には成し遂げなければならないことがあるのです」

真っ白な箱のような部屋で椅子が一つだけ置いてあり、そこに座っている状態で三センチだけ浮いている目を瞑った女性にそんなことを告げられた。

「時はラモス歴201年。ある教団によって世界は崩壊寸前にまで追い込まれました。その教団の名前ルス・イナイデス。教団は人々を洗脳する技術を使い……目を瞑っているからといって寝ないでください」

あ、見えているのね。

「あの、二十文字以内で答えてくださいしてください」

「異世界で、頑張りなさい、レオンさん」

ごめん、分からん。

「では、頑張れ」

二回も頑張れと言われた。

そう言われた後、足元がポッカリ穴が広がり俺は落とされた。

人は驚くと本当に声が出ない。

気づいたら石で舗装された道路に寝ていた。

「起きなさい」

女神に腹を蹴られた。反射で飛び上がってしまった。女神が下界に降臨なされた。周りの人々は無視していくが。

辺りは中世風の衣装を着た人々で溢れかえっていた。どうやらここは市場らしい。

市民がどデカい肉やけばけばしい肉や毛の生えた肉を買っていた。この市場には肉しかないのか。

「来なさい」

そう言われ、酒場へやってきた。

酒場の中は三階くらい吹き抜けになっており、二、三階には部屋があった。旅人の宿舎も兼用しているらしい。

店には真昼間だからか五十人入りそうな店の中には、客が三人しか居らず閑散としていた。

奥のカウンターに行き、従業員の女性に冒険者希望ですと女神に紹介された。従業員の女性はワイン瓶を持ちながら職場で寝転がり酒に溺れていたが、すぐに仕事モードに入った。

「ようこそいらっしゃいました。ココにサインをお願いします~」

酒臭いが仕事はちゃんとしている。真面目か不真面目か分かりゃしない。

何か知らんが女神が代わりにサインしてもらった。本人の意思関係なく冒険者にされた。

「まだなりたいと言ってないですけど」

「これは女神のご意思です」

便利な言葉でまとめられた。

「はい、登録完了で~す。田中、レオンさんですね……レオンさん…ああ! レオンさん! 店長が言っていた人ですね! お待ちしておりました~!」

これは女神のご配慮か? だとしたら本当はただのSっ気のがある意地悪な女神じゃなく、あんたのことなんか別に好きじゃないんだからね! 的なツンデレな女神だとしたら、実はこの女神は優しい女神なんじゃないのか?

ほら、よく言うじゃないか。好きな人ほど意地悪したくなる小学生の男の子の心情的なあれだ。よく見たらこの女神少し顔が赤くなっていないか?

女神のご配慮なら、最初から加護がある装備がもらえるか、ステータスを上げる系の初心者救済アイテムがもらえるのだろう。 最初の話の流れ的にその教団をぶっ潰せば良いみたいだし、あれ、意外と潰すの簡単なんじゃない?

「はい、どうぞ。初心者の冒険者アイテムです」

カウンターの机にはハンドガンとナイフが出された。

「? これ間違ってません?」

「あとこれをお飲みください」

栄養ドリンクを渡された。なんとなく飲んでみる。

「?」

何ともない。むしろ身体が重くなったような。腹が少し鈍痛のような痛みが。

「それはゲンキガナクナールです。飲んだら最大HPが1になり移動速度が下がります。時々腹痛に診まわれますが、まあ気にしないでください」

「え? ええええええええええええええええ!? で、でも一定時間だけですよね?」

「効果は永久です」

「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」

人は驚くことがあると、人見知りでも声を上げる。

「じゃ、じゃあステータスは!?」

RPG的な設定なら、防御力アップと回避率で何とかダメージを抑えることができる。その辺の雑魚でも十万くらい討伐すればレベルが上がり何とか教団殲滅までこぎつけることができるだろう。途方もないが。

「ちなみに私、女神からの贈り物です」

そう言うと女神は指を一振りし、俺の身体の周りが白い光の粉のようなもので包み込まれた。

「あの、これは?」

「貴方に特性『リセット』を授けました」

「リセット?」

「この特性『リセット』は自身のステータスとゆう概念を無くし己の腕のみで戦うとゆうものです」

「?」

「つまり、今のあなたはハンドガン、ナイフ、体力一、レベル1のままで教団を潰してください」

「はあああああああああああああああああああああああああ!? 無理無理無理無理無理! 俺初心者なのにそんな縛りプレイ無理!」

「これは、女神のご意思です」

「便利な言葉だなそれ! 自分で言うんじゃない!」

あ、そっかこの女神俺のこの反応でゾクゾクして赤くなっていたのか。真のSだ。

「あの、手続きはもう終わりましたので」

従業員はそう言うと、また寝転がり酒を浴びるように飲み始めた。

「お願いします! この世界を救えるのは貴方だけなのです!」

「だったら縛りプレイさせんなよ! どうせすでに誰かが教団をぶっ潰してしまって、二週目プレイはただ普通にやってもつまんないからこんなムリゲーをさせようとしてんじゃないの!?」

「……てへ♡」

「図星かよ! もう付き合ってられん! 俺は帰る!」

俺はそのまま酒場を後にしようとした。しかし俺は足元に落ちていた酒瓶に気づかず踏んづけ、頭を強く打ち、

「おお、レオンよ。死んでしまうとは情けない」

死んだ。



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