表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
温度  作者: 折鋸倫太郎
"蜘蛛宇宙人"の大学ノート 第5冊
167/395

もびりえ ふゅねれーる その64 ―説教ξ昔話、再び―

 □ □ □


 むかしむかし、ある処にライトノベルがありました。


 当時、大人気でした。


 長い赤髪の少女魔導師と、長い金髪の騎士が冒険する話でした。


 "それ" を分類すると、いま、


 <なろう学派>


 のジャーゴン(専門用語)で云う


 <オレTueee>系作品でした。


 ["e" が三回か四回かを指示する厳密なルールは無いのでしょう…]


 即ち、主人公の少女は、最強の魔法を以って、怪物を


 「ばった」


 「ばった」


 と倒していたのです。


 "それ" は

 ――作品分析して内容を簡単にまとめると、


 シリアスなメインのライン(主人公がラスボスを倒す)を、コメディ・テイストで味付けた作品


 と云えました。


 [そして

  ――しばしば、

  <簡単にまとめたモノは、内容を何も表していないモノ>

  なのですよね……]




 そんなある日、

      処に、

      ヒトがいました。


 "あるヒト" にとって、その大人気ライトノベルは、

 <大した作品>

 ではありませんでした。


 "そのヒト" が教育機関の中、生きる上で、

 ――今でいう<ライトノベル>というものは、

 知り合いと話を合わせる上で必要な

 <教養>

 だったのです。


 だからこそ、単に、知っていたのです。


 しかし、"そのヒト" が大人になるにつれて

 ――小説の技法などを知っていくにつれて、

 その<大した事のない>と考えていた作品には、

 <様々な技巧が使われていた>事が、わかりました。


 たとえば、主人公の少女が使う魔法からそれを見る事が出来ます。


 昨今はライトノベルも何か、

 魔法を唱える時、前置きの魔法 [術式というのでしょう………] を省略するほど科学的に進んでいる様ですが、

 当時は、ひとつの魔法を唱えるのでも、

 魔法の名前を言う前に

 <長い文句>が必要だった様子です。


 そして、その<長い文句>に、作者の技術が隠されていたのです。




 その大人気ライトノベルで、少女が最強魔法を唱えるときの術式は、ニッポンの古来からの詩的韻律


 #七五調#


 が使用されていました


 ――つまり、七文字、五文字、というリズムで術式を作っていたのです。


 [「何故、#七五調# だったの?」という野暮は勘弁してください……]




 「竜の山にて    (七文字)

  生える草     (五文字)

  笑う様にて    (七文字)

  燃え盛る     (五文字)

  他へ派生す    (七文字)

  その熱気     (五文字)

  天高く行け    (七文字)

  その煙      (五文字)

  

  ファイアービーム!!!」


 [※これは、思いついて作ったモノで、その大人気ライトノベルの術式<そのもの>ではありません。

   その大人気作品に登場する魔法の術式は、上のモノよりもっと

   <魔法らしいモノ>です


   ―― #完成度# が全然違うのです。


   こうやって作家の

   <実力>

   は、バレるのですよね…]




 その大人気作品では

 ――七五調だけでなく、

 魔法の術式に

 「われ」(わたし)

 や

 「なんじ」(あなた)

 を混ぜる事で、

 普段、多くのヒトが使っている言葉(日常言語)から離れた響きの語を使って

 <魔法らしく聞こえる>様に、工夫が施されていました。


 [どうも、「あたし」より「我」、「お前」より「汝」を選ぶと、#高等魔法# らしく聞こえる様です

  ――知りませんけど。


  例①:「ボクはキミを呼んじゃうもんね。ヒューバートドラゴン!!!」


  例②:「我は汝を召喚す――ヒューバートドラゴン!!!」]




 ところで、

 世の中には、不思議な事があるものです。

 "ライトノベル好き" は、「我」や「汝」という言葉が使用された

             複雑な比喩を交えた

 #高等魔法# を余裕で<暗唱>してみせるのですよね……

 ――「シェイクスピアは難しい!!!」

 ――等と主張する癖に。


 実際、「"我" や "汝" という言葉が難しい!!!」「比喩とか象徴とか、わかんない」と言うヒトがいるからこそ、

 シェイクスピアを

 「わかりやすく」して

 金を稼ぐヒトが現れるのです。

 「難しい!!!」

 から、わかりやすく直して、

 <みんなに共感されて>

 ――そして、

 <尊敬される>

 のです。


 以前も書きましたが、不思議でたまらないのです

 ――同じ様な事をしながら、ライトノベルは楽勝で、シェイクスピアは難しいと云うヒトがいる事が。




 閑話休題。


 まとめると、

 魔法を唱える時、

 普通のヒトが普通に、日常で使う言葉ではなく

 魔法に相応しい、


 ①何か #重い# 印象を与える

 ②何か #偉そうな# 響きがする


 言葉を選ぶ、

 即ち、

 <難しい言葉を使う>


 ――それだけでなく、


 <七五調のリズムを使う>


 事で、

 <大したことの無い>作品

 では、

 魔法というモノが組み立てられていた

 という事がわかったわけです

 ――単に「陳腐な話」では無かったのです………。



 そこには、作者の実力があったのです。



 ■ ■ ■


 。




 "オプス238" のコルス部分では、#アスクレピアデス格# が使用されていました。

 キャラクターが話す言葉を #ヘクサメーター(六歩格)# で書いて

 それと対比させる形で

 #アスクレピアデス格# を使っていたのです。


 [――これは、前に書いた事の繰り返しです]


 それは

 ――いまとなっては名前さえわからない

 "作者"

 そのヒトの

 <工夫>

 であり、

 <意志のあらわれ>

 でした


 ――"それ" を "蜘蛛宇宙人" は

 ――翻訳でも

 ――<尊重>しようとしていたのです。


 "蜘蛛宇宙人" が、#アスクレピアデス格# で翻訳した部分を抜粋してみます。



 「じーごー くーのはてー まで

  おーいー つーめらるー ると

  ごーくー にーとらわー れし

  きょーうー あーくなるー いぬ

  くーびー きーのねを― たつ」※注

 


 こうやって、"蜘蛛宇宙人" 訳の "オプス238" が完成するのです。


 それは、回覧されます

 ――同級生に

 ――"アミクス" に

 ――"ヒポディダスカルス" に。


 そして、ある構想が生まれ、実行へと着手されるのです


 ――続く。



 ※注

   「地獄の果てまで

    追いつめらるると

    獄に囚われし

    凶悪なる犬

    頸木の根を断つ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ