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ゾーンの向こう側  作者: ライターXT
応答編(インターハイ)
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70/207

第70話   国巻は見た

記者たちが来てから数日後、インタビューの興奮覚めやらぬ中、国巻のメンバー数名がサッカー会場に訪れる。今日は対戦相手の視察に来たのだ。この視察に来た試合の勝者と、国巻は今週末対戦する。


「どこ対どこだっけ?」

茶頭(ちゃがしら)高校vs大剛高校だろうが!」

「あ!そうだった!大剛残ってんだよね。」


視察に来たのは望月と久保と南部の3名である。

この2校の内の勝者と国巻は対戦し、勝った方がベスト8に進出する。

春、練習試合ながら国巻に敗北をきっした大剛高校も、その対戦カードに残っていたのだ。


「どっちが勝つかな?今日の試合。」

「やっぱ・・・茶頭ですかね。」

「何でそう思う?南部。」

「大剛もそりゃ強かったですけど、やっぱり茶頭の方が歴史も長いし、選手層も厚いしね。」

「確かに。」


淡々と3人が試合予想をする中、試合が開始される。



「茶頭は2トップで来たか。」

「妥当だろうな。」


大剛は国巻と対戦した時と同じく、超攻撃型の1バックシステムを未だ採用していた。


「ディフェンダー1人に対して相手の攻撃するのが2人。どう考えたって、こうするのが得策だよな。・・・何で美津田は最後まで1トップで試合させたのかな?」


久保の言う通り、美津田は就任時から純粋なフォワードが一人のワントップでフォーメーションを組み続けている。


「いや・・・久保先輩・・・案外1トップの方がいいかも知れませんよ。」

「どういうことだ?南部。」

「まぁまぁ、まずは観てみましょう。」

冷静ながらも少し強ばった表情で南部は諭した。



大剛高校の最大の弱点を狙って、序盤から茶頭高校はロングボールを多様している。


しかし、ガーナ人を父に持つディフェンダーのラファエル佐々岡は、これをことごとくクリアするのだった。


「この前より・・・上手くなってるな。」

「どこが?」

「ボールの落下点見分けるの。」

以前の対戦でマッチアップした久保は、ラファエルの動きが春よりもさらに機敏になっていることに驚いていた。


「ただ、ロングパスだけじゃあの男に跳ね返されるだけだよな。」

「布石でしょ。」

「え?」

「グランダーのスルーパスの警戒を怠らせるための。」


南部の読みは当たっていた。試合開始から15分も経つと、茶頭高校は一気にグランダーのスルーパスを多用するようになる。


「なるほどな!高さがダメならゴロ球にすればいいってことね。」

「誰でも考えつくだろ。」

「え!?そう!??」

久保に少し呆れながらも、望月は観戦を続けた。

しかし、一向に茶頭のスルーパスは成功しない。

(ことごと)くラファエル佐々岡か、リベロの秦原にボールをカットされたからである。


「あの秦原は足が速い。足の速い方はラファエルが抑えて、遅い方は秦原が警戒しつつ、ボールを持ったら後ろから追いかけていくって訳か。」

「えぇ。だから2トップでも、彼らには通用しない。3トップすれば、秦原の代わりに両サイドのウイングバックが追いかけるんですし。どちらにしても、今の大剛相手には上手くいかないんです。」

「・・・だったらこっちも中盤を増やした方が・・・。」

「そう。美津田監督はこれを知ってたから、1トップにし続けたんです。」

「さすが、師弟関係だな。」



観衆の多方の予想は、茶頭高校の勝利だった。


しかし、大剛が1点,2点と得点していくことで、どよめきが聞こえてくる。





試合が終了した頃には、3割程の観衆が会場を後にしていた。

その理由は、大剛高校が4-0の圧勝で試合を終了したことが、全てを物語っていたのだった。

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