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ゾーンの向こう側  作者: ライターXT
集合編
16/207

第15話   よーくかんがえよー

すんごく更新遅れましたね。

「ベスト4やベスト8のこと考えるのって大事だけど、3年生たちはゴールをまず考えたほうがいいよな。」美津田のニヤニヤしながらの発言に、選手達は困惑した。


「・・・ゴールってどういうことですか?」

「サッカーを夏で終わるか。冬で終わるか。どっちかってことよ。」


木村は半分わかってて美津田に質問した。

進路はもう決めなければいけない時期に来ていた。


国巻高校は、県内でも真ん中の偏差値であり、地元では本校以上の偏差値が一種のステータスとされている。

木村は地元の公立大学を目指しており、勉強を本格的に取り組むべき時期は迫っていた。


「オレは冬までいきますよ。」久保は顔を上げて言う。

「オレもだな。」竹下が続いた。


木村は黙り込めない雰囲気を察知し、「一応冬まで考えてます。」と口にした。

すぐに大下は「オレも冬まで。」と言う。


もちろん中林もゴールを冬とし、全員一致で冬の国立予選まで目指すということになった。



「なら、まずは夏の目標ってことね。そしたら、4と8のどっちでいくかね?」


選手達は議論の結果、ベスト8入りを目標が多数ということで、夏の大会は【ベスト8進出】となった。


「じゃあ、次は冬ね。これ、今決める?保留にする?」


「保留?」


「そ。正直夏のベスト8入り目標に決めたけど、どう転ぶかわかんないっしょ。だから今後の成績次第で決めていこうってのはどう?」


「・・・先延ばしにするって言うんなら、今の話し合いもあまり意味無いんじゃないですか?」木村が噛み付くと、美津田は

「本当に意味無かった?」とだけ木村の目を見つめて言った。





それから2日後、マネージャーの若宮は美津田を探して校内中の自販機コーナーをウロウロしていると、案の定美津田はレモリヤを飲んでいた。


「監督!探しましたよ!」

「おぉ。調査は順調か?」

「いや、順調じゃないです。」

「ん?そんな難しいことだったか。」

「いえいえ、もう終わったんですよ。生徒会とか職員室の先生達に聞いたらすぐ分かりました。」

「おぁ!意外と頑張り屋さんじゃないか。」




「・・・いがいと?」

若宮の頬が、あからさまに引き攣った。



「・・・まぁ、いいから話してみろ。」美津田は目を合わせずに言う。

「・・・はい。まず退部届けを出してなかった2年生は合計3人です。1組の東野君、続いて2組の橋君、それと・・・。」

「それと?」

「それと・・・こ・・・こ・・・コトリアソビ君?」

「は?」

「・・・ことりあそび以外にこの字って・・・どう読むんです?」

若宮のメモ帳には、確かに『小鳥遊』と記されていた。


「これな、【たかなし】って読むんだよ。」

「え!?」

「そんなに驚くこと?」

「違うんです!!私、この人に昨日話しかけた時、コトリアソビ君って言っちゃったんですよ!」

「ありゃま。まぁその話はまた今度聞くから、3年生は幽霊部員いなかった?」


「いました一人。」

「だれ?」



「えぇっと・・・望月って人です。」


「おぉ!!そうか!」

美津田にしては珍しく、わかり易い喜び方をしたので、若宮は不思議で堪らなかった。

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