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ジーマリ村3 それじゃあ行ってきます!

二日酔いで頭が痛いです。でもがんばります!

ジーマリ村に来て、およそ1ヶ月が経った。


グレオとの狩りで採取した薬草やキノコ類、獲物から剥ぎ取った毛皮や肉などを売って、銀貨15枚、銅貨48枚貯まった。


そうそう、通貨の単位を言い忘れてたけど、通貨単位は『フレ』銅貨が1枚100フレ計算になるので、その下はないようだ。


つまり今俺の総資産は15万4800フレ。



今日はグレオと商店を回って旅に必要なものを買いに来ている。


「まずは服だな。この村じゃあもうみんな見れちまってるからいいが、町に行くならちゃんとした服を着たほうがいいだろ」


確かに周りを見回しても、ジーンズにパーカーは目立つ。


「わざわざ目立っていちゃもんつけられるのも面倒だろ?こんなのはどうだ?」


グレオが手に取ったのは、ド派手な赤のシャツ。


「いくらなんでもこれは……グレオ、とりあえず俺が自分で選ぶから、なんか注意するとこだけ教えてくれ」


渋い顔をされた。


「まあ、おめぇがそう言うなら。そうだな、季節的に防寒はそんなに気にすることねぇが、靴だけは丈夫なやつにしとけ」


と、丈夫そうな茶色い革のブーツを渡してきた。


「あとは好きにしな」


「ありがとう、グレオ」


値段と相談しつつ、灰色の綿ズボン、ベージュの綿シャツ、深緑の麻ベスト、あとは茶色の外套を選んだ。


(こんなもんでどうだ、アスール?)


(いいとおもうよ、あるじさま!)


アスールからのお墨付きももらったので、これを買うことに。


「おばちゃん、これ頂戴」


商店のおばちゃんに服を渡す。


「おやおや、ジーマリの英雄様じゃないか!こりゃ安くしとかないとね。本当なら2万3000フレってとこだけど……負けて1万5000フレでどうだい?」


「なんだサマンサ、ずいぶんと安いじゃねぇか!」


グレオが驚いている様子を見るに、本当に安いらしい。まあわりと質はよさそうなので即購入。


「銀貨2枚お預かりの……はい、お釣りだよ」


銅貨50枚のお釣り。しかし、紙幣がないからかなりかさばる。


「まいどあり~」


おばちゃんに手を振って、次の店に。


「とりあえず、食料はおめぇが獲った鹿の干し肉があるが、あと日持ちするパンは買っとけ」


食材屋で硬いパンを10個購入。1000フレ。


「あとは寝袋にテント、それと水筒ってとこか」


道具屋で1人用の寝袋とテント、あとは皮製の水筒を購入。3万フレ。寝袋とテントを入れる袋はおまけにつけてくれた。


「狩りのときおめぇに貸してたナイフは、おめぇにやる。あれさえありゃ、あとはどうにでもなんだろ」


「こんなもんでいいのか、グレオ?」


「ああ、あとは俺がおめぇに教えたことさえ忘れなきゃ大丈夫だ」


意外と少ないもんだな。まあ、とりあえずザインに行くだけだしな。


「これからおめぇに基本的な旅の心得を教えてやる。立ち話もなんだから、とりあえず家に帰るぞ」


「りょーかい」


荷物を持ってグレオの家へ。





「まず一番注意しなきゃなんねぇのは盗賊や魔物だな。おめぇの力なら大丈夫だと思うが、寝込み襲われたらシャレにならねぇ」


(やっぱり盗賊とか出るんだ)


(こわい?)


(人間相手に戦ったことないからな。正直不安だ)


(てかげんしないと、あいてしんじゃうもんね)


(勝てる前提なのな)


(もちろん!)


「なあグレオ。仮に盗賊の襲われて、返り討ちにして殺しちゃったら、俺は罪に問われるのか?」


「そんなことにはならねぇよ。相手もそれを覚悟して襲ってんだしな。まぁ、殺さねぇに越したことはねぇだろ」


最悪の場合、命を奪うことなるか。まぁ、ファンタジーだからって楽しいことばっかりじゃないよな。


覚悟は決めておこう。


「道中危ねぇのはそのぐらいだろ。あとは町に入ってからだな。まず貴族には絶対に手をだすな。殴っただけで死罪になっちまう」


貴族、ね。


「特に気をつけなきゃいけねぇのは、ザインを治めてるシュタイン公爵家だ。シュタイン公爵家はあの町では絶対権力者だ。まぁ、めったに人前には出てこねぇらしいがな」


ふむふむ、シュタイン公爵家か。


「あと冒険者ギルドに行くなら、周りの冒険者に気をつけろ。冒険者ってのは元々荒くれ者が多い。新参者にはすぐちょっかいだしてくるぞ」


不良的な感じか。


「前まで俺に敬語使ってたけどな、町に着いたらあまり使わねぇほうがいい。ナメられるからな」


日本人的な生き方はダメってことか、意識してやらないと無理そうだな。


「あとの詳しいことは冒険者ギルドで直接聞くといい。宿の案内とかもやってくれんだろ」


「本当にありがとうな、グレオ」


「なぁに、いいってことよ。出発はいつにするんだ?」


「早いに越したことはないから、明日の朝出るよ」


「そうか、じゃあ今日は準備したら早く寝な」


「そうする」


今日買ったものを袋に詰め込み、靴の慣らしを少しする。ナイフを砥いで鞘に収め、荷物の上に置く。


(いよいよだね、あるじさま)


(ああ、今日は興奮してよく寝られないかもな)


(あるじさま、こどもみたいだよ?)


(ぶっちゃけ、テーマパークに行く前の子供と同じ心境だよ)


(そっか。じゃあ、あしたははりきらないとね!)


(おう!)



そのままその日は寝床に着いたが、やっぱりあんまり眠れなかった。




「これがザインまでの地図だ。なくすんじゃねぇぞ?」


「わかってるって」


ザイン方面の村の門でグレオと話す。どこで聞きつけたのかわからないが、ギジェットさんもなぜかいる。


「グレオ、今まで本当にありがとう。グレオが教えてくれたこと、俺ぜったいに忘れないから……」


今までのことを思い出して、少し泣きそう顔になってしまった。


「馬鹿野郎!今生の別れみたいな言い方するんじゃねぇ。旅に疲れたらいつでも戻って来い。ここはお前の村だ」


ニカッと笑って俺の肩を叩く。最初に会った人がグレオで本当によかった。


「マコト殿、この書状を持っていきなされ」


ギジェットさんから封のされた書状を受け取る。


「これは?」


「私の知人がザインで骨董店をやっております。いろいろな場所に顔が利く人物なので、なにかお困りのときはその書状を見せればきっと力になってくれるでしょう」


「ありがとうございます」


「うむ、この村であなたの活躍が聞こえてくることを楽しみ待っておりますぞ。稀代の魔術師どの!」


ギジェットさんの目がキラキラしている。この人は最後まで変わらないな。


「それじゃあ、そろそろ行きます」


「おう、気をつけて行けよ!!」


「ご武運を、マコト殿!!」


2人に手を振り、前を見据える。


前方には果てしなく続く大地。


(ここからが本当のスタートだ。アスール)


(がんばろうね、あるじさま!)


(ああ!それじゃ『交易都市ザイン』へ向かって……)


(ごー!だね!!)






一歩目を踏み出す。





待ってろよ、ザイン!!


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