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対ブラッドオーク

初バトル。

ブラッドオークは目の前のフォレストウルフを棍棒で叩き潰していた。何匹かはブラッドオークの腕に噛み付いたが分厚い皮膚と強靭な筋肉の前ではほぼ意味をなさかったようだ。

最後の一匹も棍棒で打ち倒し、勝利の雄叫びをあげる。あとは、ただの肉塊になった獲物も食らうだけ。そう、いつもと同じ狩りのはずだった。


不意に背後から気配を感じ、振り向いた。瞬間、人間の靴の裏が見えた。


ズンッツ!!


ブラッドオークは人生初の衝撃と浮遊感を味わった。



やったことは簡単。走ってそのままの勢いで顔面にドロップキックしただけ。時速300キロぐらいで。


ブラッドオークは周りの木を巻き添えにして、3メートルほど吹き飛んだ。


「やったかな?」


その場に着地し、ブラッドオークが吹き飛んだほうを見やる。


「いきなりふいうちとは、あるじさま、えげつない」


左手のアスールから批難の声があがったが、気にしない。


「俺だってまともに戦いたくないんだよ。怖いし」


「しかも……」


木に手をついて、ブラッドオークがゆっく立ち上がった。

ダメージがないわけではないが、激しい怒りを感じる。

闘争心に火がついたようだ。


「まだ終わってない。どうしよっかなぁ」


ここはあれか、俺も闘争心に火をつけるべきか。あのセリフか?


「今の食らって立ち上がるなんて、おめぇつぇ~な!オラわくわくすっぞ!!」


「……あたまでもぶつけたの、あるじさま?」


アスールに馬鹿にされた。チクショウ!ブラッドオークにいたっては聞いてもいない。当たり前か。


「にしても、あいかわらずおちついてるね、あるじさま」


「順応性と平常心、それだけが俺の自慢だ。あと優れてるように見えるのは、全部チートだ!」


「うわ、いいきった……」


だって事実だし。


アスールと会話を楽しんでいたら、いつのまにかブラッドオークが石の棍棒を拾って持ちなおしていた。


「そろそろ、しんけんにやる?」


「……だね」


とりあえず見よう見真似で構えて、ブラッドオークと対峙する。


「ガアァァァアア!!」


ブラッドオークが棍棒を振り上げて襲い掛かってくる。意外と速い!


ブンッ!


振り下ろされた棍棒をバックステップで回避する。あと30センチってとこか?


棍棒はそのまま地面に振り下ろされ、地面に土を爆発させた。


「うわぁ、さすがにあれくらったらヤバそうだな」


そのまま後方に距離をとりつつ様子を見る。


次は棍棒を地面に引きずりながら突進してくる。


フォンッ!


そのままは斜め横振り。


今度は余裕を持ってしゃがんでかわす。


しゃがんだ体勢から伸び上がるようにブラッドオークのわき腹に拳を叩きつける。


「よっと!」


確かな感触。ブラッドオークの体が浮かび上がり、苦痛に顔がゆがむ。


「ガァ!?」


そのまま空中コンボを3発入れて一度距離を取る。


ブラッドオークの体が地面に落ちた。


「しんちょうだね?」


「ああ、ヒット&アウェイだ。とりあえず初めて闘うわけだし、慎重にな」


そう、いくら力があるからといっても、しょせん素人。慢心するつもりはない。


よろよろと棍棒を杖代わりして、ブラッドオークが立つ。

見るから満身創痍といった感じだ。


次で決めるか。


構えなおして相手を見据える。


ブラッドオークは懲りもせずに棍棒を振り上げて突進。


またこのパターンか。意外と楽だったな……と一瞬気を抜いた瞬間。


ブラッドオークが全力で棍棒を投げつけてきた。


驚いて一瞬身が固まったところに、棍棒が回転しながら飛んできた。


回避は間に合わないか!


「クソ、おら!」


両手で弾いた。ダメージはほとんどない、と安堵したのも束の間。ブラッドオークが目の前に迫っていた。


両手で胴体を掴まれ、そのまま握り殺そうとしてくる。


「ああ!畜生!放せっ!!」


かろうじて左手は抜け出せたが、頭を食いちぎろうとブラッドオークが大口を開けて噛み付こうとしてくる。


なんとか左手で角を押さえているが、片手では辛い。そうしているうちにも唾液で糸をひく牙が近づいてくる。


あと数センチまで迫ったところで、右手が抜けた。そのままの勢いで全力でブラッドオークの顔を殴りつけた。


その瞬間、右手が消えた。


衝撃、閃光、そのあとやっと遅れながら音が来た。




キュボッッツ!!!




ブラッドオークはそのまま20メートル以上飛んでいった。



「おわっめっちゃ燃えてる!」


急いでパーカーを脱いで地面に叩きつける。


なんとか火は消えたが、パーカーの右腕部分はも燃え尽きていた。


「そうなるなら、さいしょからぜんりょくでやればよかったのに」


「いや、摩擦熱で燃える程度ですんでよかったよ。本当はもっと酷いことになるのかと思ってたし。まあ、この世界に来て初めて全力出したにしては上出来だよ」


全力で体動かすと服が燃えるのか、そうか。じゃあいつか燃えない服さがさないとな……


とりあえずパーカーは脇に抱えて、左手に持った折れた真紅の角を見た。


「……さすがに倒したよな?」


ブラッドオークの落下地点に行くともう動かなくなったブラッドオークの姿があった。


頭は若干スプラッタだったが、普段狩りで仕留めた獲物を解体してるので、わりと大丈夫だった。


「これ、どうすの?」


「う~ん、そうだな、とりあえず倒したことを報告しなきゃいけないし、村の近くまで引きずってくか」


ブラッドオークの足を持って村の方向へ。


「ごー!だね!!」


「……うぃ~」


けだるい感じで帰路につく。






ま、魔物戦初勝利ってことで、これからもがんばろうかな。


みなさんはどうやってあんなに白熱した戦闘を書くんでしょうか?

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