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ジーマリ村1 狩人になりたい私

なかなか書くスピードがあがりません。

ジーマリ村は小さな村だった。村の入り口の門には、見張りらしい青年が2人槍を持って立っていたが、グレオが話をつけるとすんなり通してくれた。

門番の2人には若干奇異の目で見られたが、特に気にしないことにする。


ジーマリ村。村の人口は百人に届かない程度で、主な産業は麦の栽培と畜産。村の大通りにはいくつかの商店がならんでいる。民家は大通りから少し離れたところにあるようだ。

グレオさんの家はその中でも外れにあった。


家の見た目は完璧にログハウス。木と一部に鉄が使われているようだ。


「とりあえず中に入りな」


グレオさんに促され、中に入る。


扉を開けると、中にあったのは4人がけのテーブルにイスが4脚。ベッドに他には台所があり、あとはいくつかの木箱が雑多に置いてある。広さは10畳ぐらいかな。


「ほら、ぼーっとしてねえでイスに座ってろ」


後ろからやってきたグレオさん押され、とりあえずイスに座る。


(もうしゃべってもいいかな、あるじさま?)


(ああ、いいんじゃないか?)


そうそう、アスールのことだが、グレオさん曰く「指輪が喋るのは普通じゃねえ」とのことだったので、アスールには村に入ったときから喋らないようにしてもらっていた。

そうしたら、なぜが念話が使えることに気づいたので、アスールには念話で話してもらっていた。ちなみに俺と以外にも念話は可能なようだ。

なんだろう、こいつ?


荷物を降ろしていたグレオさんは、おもむろに俺の正面のイスに座って話を切り出した。


「なあマコト。おまえはなにかやりたいことはあるのか?」


特にこれといってないが、強いていうなら、せっかく異世界に来たんだし……


「いろんなものを見たり、聞いたり、触れたりしたいです」


それを聞いたグレオさんはあご鬚をいじりながら、考えごとをしている。

そしてなにか思いついたような感じでこちらを見た。


「じゃあおめえは冒険者になるのがいいんじゃないか?」


「冒険者……ですか?」


「おう、冒険者ってのは、世界中を自分の足で周って、魔物を倒したり、アイテムを収集しながら旅するやつらだ。おめえの考えにはピッタリだと思うぞ」


冒険者か、いいね。なんかいい響きだ。うん。それでいこう。


「どうやったら冒険者になれるんですか?」


「基本的にどうやったらいいってのはないと思うが、普通のやつはまず冒険者ギルドに登録するもんだな。いろいろ便利らしい」


ギルド!なんかファンタジーっぽい。すてき!!


「詳しい話はまた明日する。とりあえず腹減ってんだろ?飯にしよう」


本当にこの人は親切だな……助かる。


「ありがとうございます!グレオさん!!」


グレオさんは照れくさそうに頬をかいている。


「よせやい。こっちも命助けられてんだ。あと、さんづけと敬語はやめてくれ。なんかむず痒い」


「わかりまっ、わかったグレオ。これでいいか?」


「ああそれでいい。さ、メシだメシ」





それから2週間ほどはグレオとともに行動した。

まずは基本的な知識をいくつか教えてもらった。


このエルガイアにはいくつかの大陸があり、俺がいるのはそのうちの一つである『フェアレイド大陸』

フェアレイド大陸には五つの国があり、その5カ国が微妙な均衡を保って今の平和な状態にあるようだ。

大陸中央の『神聖フェアル教国』を囲むように『ノムライジ自治国』『サラエド帝国』『シルフィア王国』『ウンディン公国』がある。

その中でもジーマリ村はシルフィア王国に属している。


通貨は5カ国共通の『フェアレイド硬貨』種類は金貨、銀貨、銅貨の三つ。価値は、銅貨100枚=銀貨1枚、銀貨100枚=金貨1枚。

銅貨1枚でパンがひとつ買えるぐらい。


あとはギルドについて。ギルドは基本的に『冒険者ギルド』『魔術師ギルド』『僧侶ギルド』『商業ギルド』の四つ。まあ『盗賊ギルド』なんてのも暗黙の了解であるらしい。

各ギルドは国家に関係なく、ある程度大きな都市にはどこにでもある。この村から一番近い都市で俺の目指す冒険者ギルドあるのは『交易都市ザイン』

ザインまでは馬で3日、歩きで10日前後。


路銀やサバイバルの知識が必要だろうということで、俺はグレオの狩りについて行くことにしている。



「これがフェンの葉。煎じて飲めば腹痛の薬になる。売りゃ1束銅貨4枚ってとこだな」


「なるほど」


道中で見つける草やキノコの名前、効能、値段などをグレオに教えてもらう。

なぜか一度聞けばそのへんが完璧に記憶できるのは、おそらくチートスキルだろう。


おかげでこの森に自生している草やキノコはだいたい把握できている。


それ以外にも、気配の消し方や、風の読み方、狩った獲物の解体方法や調理法などは完璧にマスターした。


「グレオ、あれ」


「ん、ありゃぁ……またフォレストウルフか?今までこんな村の近くには絶対に来なかったのに、最近は頻繁に見るな」


確かに俺が狩りに参加し始めてから妙に見かける。グレオが言うには、普通もっと森の奥にいるはずの獣だ。


なんでだろうな。現代日本なら人に住処を追われてってパターンは多いけど、この森に入っていく人間なんて俺とグレオぐらいしかいないはずだ。


(なんかおかしいね、あるじさま)


(アスールもそう思うか?)


(うん。なんだかおびえてるみたい……)


俺におびえてる、ってわけじゃなさそうだな。警戒してるのはわかるが、こっちに対して恐怖心はあまりないように思える。


「というかマコト。よくあんな遠くにいるフォレストウルフに気づいたな」


「ああ、気配が近づいてきたからな。正直俺の100メートル圏内に動物が入ればだいたいわかる」


グレオは唖然としたあと、ため息をついた。


「つくづく人間離れしてんな、おめえ。もう教えることねえよ……」


「そんなこと言うなって。グレオがいなきゃ俺きっと飢え死にしてたよ」


「そうか、そう言ってくれりゃ……どうしたマコト?」


俺が遠くを突然睨んだのを見て、グレオは言葉をとめた。


「なあグレオ、この森にフォレストウルフより大きい生き物はいないよな?」


「ああ、俺たちものぞけばいねえはずだぞ」


気配探知に大きな反応があった。デカイ。4メートル近くある。どんどんこっちに近づいてくる。

フォレストウルフもそちらを警戒し始めたようだ。


「グレオ。こっちにかなりデカイやつが来てる。警戒したほうがいい」


グレオも森のただならぬ雰囲気に気づいて警戒を始めた。



……ッン。



……スン。



……ズンッ!


音が近づいてきた。


バカンッ!!



木を薙ぎ倒しながら、30メートルほど先のフォレストウルフたちの前に、それは現れた。



大きさは大体4メートル。赤い肌は筋肉で盛り上がり手には石の棍棒。


二足歩行だが、腕は妙に長い。口からはよだれが滴り落ち、目は狂気に縁取られている。


そしてなによりも特徴的なのは額に生えた真紅の角。



「ブ、ブラッドオークッ!?」


グレオが慌てた様子で叫んでいる。


「やばいのか?」


「やばいなんてもんじゃねえ!あいつは腕利き騎士20人がかりでも倒せるかどうかって魔物だぞ!?」


顔面を蒼白にして震えながらグレオはブラッドオークを見ている。


(やばいな、この感じじゃグレオはだめそうだ)


(どうするの、あるじさま?)


(そうだな、とりあえず……)


「グレオ!おまえは今すぐ村に戻って、このことを伝えてこい!!」


「……マコトおめえはどうすんだ!?」


「どうにでもなるよ」


わざとらしく口角をあげてニヤリと笑う。


それを見たグレオは、一瞬唖然としたが、すぐに同じようにニヤリと笑って、


「ったく……つくづく人間離れしてんなおめえは!!」


そう言いながら一目散に村へ走っていった。


「……さて、アスール。俺はアレに勝てそうか?」


「う~ん……だいじょうぶだとおもうよ?」


「そっか。じゃあ、よっ、ほっ……」


体をほぐしながらブラッドオーク見据える。

うん。大丈夫。


見据えたまま、クラウチングスタートの体制をとる。


「それじゃ……」


一気に全身に力をこめる。爆発しそうだ。限界まで溜める……3、2、1――


「ごー!だね!!」



――爆ぜるように走り出した。




さ~て、初めて本気の魔物退治と行きますか!


いよいよ戦闘ですね。憂鬱ですね。

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