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ファーストコンタクト

がんばります。早くファンタジー要素入れたいです。

森の周囲を調べてみると、獣道があった。生き物が何度も行き来しているようなので、これを辿って行けば動物か人間に接触できるだろう。

時間はわからないが、太陽がほぼ真上にあるのでおそらく正午あたりだろうか。日が暮れるのも怖いし、早く探索を始めよう。


少し薄暗いが木の心地よい香りが肺を満たす。周りは高さ20メートルぐらいの針葉樹が続いている。


「なあ、アスール。食べられる植物と毒のある植物は見分けられるか?」


左手の指輪、アスールに話しかける。


「ぼくは、このほしのなまえと、ぼくじしんのちからにいちぶしかわからないんだ。ごめんねあるじさま……」


道中話してわかったのだが、アスールは自分ことと、この星がエルガイアという名前だということしか知らないようだ。


「まあ、そう落ち込むなよ。とりあえず今はこの力があればなんとかなるんじゃないか?」


さっきから時速60キロぐらいの速度で狭い森の中を30分以上走っているのに全く疲れない。

我ながら大したスペックだ。これで余裕がなきゃパンピーはどうやって生きればいいのかね?


「あるじさまは、どきょうがあるのか、ないのか、わからないね」


まあさっきまで自分の身体能力に驚いていたが、今は便利だな、程度にしか思わない。昔から順応性だけは高いのだ。


「ここまで来たら、腹据えるしかないだろ?」


っと話していると近くに泉のようなものが見えた。とりあえず泉に近づく。

きれいな水だったので、ほとんど汗もかいてないが顔を洗う。


「ふう……冷たくて気持ちいい。この水飲めるかな?」


「たぶんだいじょうぶだとおもうよ。あるじさまのないぞうも、いまはかなりつよくなってるはずだし」


「全く便利だな。じゃあ毒草も食えるんじゃないか?」


両手で水をすくい、がぶがぶ飲む。少し火照った体が程よく冷やされた。

こんなに水がうまく思えたのはいつ以来だろう。


少し泉のそばで休憩をしていると、なにか聞こえる。意識的に聞こうとすると、今度はかなり鮮明に聞こえる。

一時的に聴力が上がったのだろう。指向性マイクかっての。


「ひとのこえ……みたいだね。どうするのあるじさま?」


とりえあず情報が欲しいし、こっちの人間にも興味はある。


「声のするほうに行ってみよう」


立ち上がって、ジーンズについた土を掃い、声のするほうを見据える。


「ごー!だね!!」


アスールの声を合図に走りだした。





木々の間を走りぬけ、ときには跳び、あっというまに声の主が視認できる距離までたどり着いた。

声の主は男のようだ。短く切り揃えられた茶髪と濃い緑色の瞳。彫りの深い顔の顎には髭がたくわえられている。

日系ではないようだ。……当たり前か。下は緑の綿のズボンに革のブーツ、上は麻でできたベージュのシャツに茶色い革のベストを羽織っている。

背中には弓と矢筒があるが、すでに矢はないようだ。猟師かきこりって感じだな。


「チクショウ!離れやがれ!!このっ、このぉ!!」


男の周囲は、茶色い毛並みの狼のような生き物が取り囲んでいる。数は10匹程度。大きさは1.5メートルぐらいだろうか。

低い唸り声で威嚇しながら、じょじょに男に近づいている。男は手に持ったナイフを振り回して叫んでいるが、あまり効果はないようだ。


「たすけないの、あるじさま?」


正直助けたいが、どうしたものか。と思いながら観察していると、狼の群れからすこし外れたところに、他の狼より一回り大きい狼が一際大きい声で吼えていた。


「あれが群れのボスかな。あいつをどうにかすれば、なんとかなるかも。ちょっと試してみるか」


足元に落ちている手ごろな石を拾い、大きく振りかぶって……


「ふんっ!!」


投げた。


距離は50メートルほどあったが、投げ放たれた石はとんでもないスピードで群れのボス胴体へと突き刺さり、ボスの体を10メートルほど吹き飛ばした。


「よっしゃ!成功だ」


統率者をなくした群れの狼は、落ち着きなくきょろきょろしながら右往左往している。


「完璧に浮き足だってんな。でも、まだ終わらねぇぞ」


そのまま周囲の石をかき集め、投げまくる。


ある狼は、体に音速レベルの石を叩きつけられ、吹き飛ぶ。ある狼は、それを見て逃げ出す。


足元の石を投げ終わるころには、男の周りに狼の死体が何体か転がっているだけになっていた。


なにがあったのかわからず、ナイフを手に持ったままポカーンとしている男に駆けより、声をかけた。


「大丈夫でしたか?」


大事なファーストコンタクトだ。日本人特有の愛想笑いを浮かべながら、なるべく丁寧にゆっくり話しかけた。


「あ、ああ、大丈夫だ。あれはおめぇがやったのか?」


突然後ろから聞こえた声に男は驚いたようだったが、俺に敵意がないとわかると少し落ち着いたようだ。


言葉が通じるか不安だったが、どうやら杞憂ですんだようだ。ナイスチート。


「はい。人の叫び声が聞こえたので、駆けつけました。お怪我はありませんか?」


男はナイフをしまいながら、笑顔を浮かべた。


「ああ、特に怪我はねえ。しかし、本当に助かった。おめぇは俺の命の恩人だ!」


「い、いや、そんなに感謝されるようなことは……」


普段は人に褒められたり感謝されたりすることがないので、正直恥ずかしかった。


話を聞くと、この人はグレオという名前らしい。職業は猟師で、今日も狩りに行ったのはいいが、なぜか普段はいないはずの場所でフォレストウルフの群れに遭遇してしまったそうだ。

なんとか逃げようとしたが矢も使い切ってしまい、群れに囲まれ万事休すの状態だったところに俺が来たらしい。


「しかし、さっきのはどうやったんだ?いきなり狼たちが吹き飛んでって、なにが起こったかぜんぜんわからなかったぜ。おめぇは風系統の魔術師かなんかか?」


「風系統の、ま……じゅつ?」


おや、もしかすると、あれかな?


「ここでは魔術が普通にあるんですか?」


グレオさんは訝しげな顔をしながら、一応答えてくれた。


「普通っつうかはわからんが、だいたい100人に1人ぐらいの割合で魔力を持ったやつがいて、そいつらだけ魔術が使えるんだが……知らねえのか?」


グレオさんが首を捻ってこっちを見た。


わあ、魔法とかあるんだ……こっち来て初めて異世界チックな話聞けた。


「ちなみに、あるじさまもつかえるみたいだよ。まほう」


「マジで!?うわ、超やりてえ!!」


「まじだよ!すごいんだよ!!」


うっひょ~、テンション上がった!


とアスールと騒いでいると、あれ、グレオさんの顔が変。


「おい、その指輪が喋ってんのか!?そんなマジックアイテム見たことがねぇ……」


どうやらアスールはこの世界でもおかしいらしい。


黙って考えごとをしていると、グレオさんが不安そうな顔で尋ねてきた。


「なあ、おめぇいったいどこから来たんだ?魔法のことも知らねえみたいだし、その真っ黒な髪も目も、この辺じゃ見たことねえ。おまけに服まで変だ」


少しまずい展開になったな。どうしたもんか。う~ん、ベタにいこう。そうしよう。


「それが、俺にもわからないんです。気づいたら草原に一人でいて、覚えているのは自分の名前だけ。それ意外はなにも思い出せなくて、しょうがなく近くにあった、この喋る指輪だけ持って食べ物を探しにこの森に入ったんです。そうしたら偶然グレオさんと出会いました」


話し終えて、グレオさんのほうを見る。グレオさんは真剣な表情でこっちの瞳を覗きこんでいる。

まあ、全部嘘ではないけど、本当のことを言っても信じてもらえないだろうから、しょうがないよね。


しばらく、俺を凝視していたグレオさんだが、ため息を一つつくと、にっこり笑った。


「まあ、どんな事情があるのかわからねえけど、命の恩人には違いねえ。今日の宿とかはねえんだろ?」


「は、はい!ついでに宿どころかなんにも持ってません。なんにも知りません!!」


「わかった。わかった。とりあえず俺の村まで来い。飯も寝る場所も用意してやる」


「本当ですか!?ありがとうございます!!」


「やったね!あるじさま!!」


またアスールと騒いでいる俺を見て、今度はグレオさんに苦笑された。


「そういや、おめぇ名前はなんてんだ?」


日が落ちる前に村に戻ろうということで、グレオさんについて歩いている途中で尋ねられた。

俺は名乗りを忘れることが多いみたいだな、今度から気をつけよう。


「俺の名前はマコトです。こっちの指輪はアスール」


「あすーるだよ!」


「マコトにアスールか。よろしくな」


グレオさんが握手を求めてきたので、左手で応じる


「村まであとどのくらいですか?」


「このペースで行きゃ、あと1時間ってとこだろ」


1時間か。初めての集落を前に、少し緊張してきた。


「村の名前はなんですか?」


「ジーマリ村だ」


「ジーマリ村か……よっし、それじゃ気合入れてっ……!!」


「ごー!だね!!」



足にしっかり力を入れて、力強く歩く。






よっしゃ!異世界ライフを堪能するぞ~!!



戦闘シーン?いえ、投石シーンです。

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