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フライ・ハイ

二話目です。あれ、一話目と文体が……

草原に立ち、周囲を確認する。ここは小高い丘の上らしく、遠くまで見渡すことができた。

20キロほど先に森がある以外はぽつぽつと岩が点在している程度であとはなにもない。


「困った。なにもない」


頬をかきながら、少し呆然とする。とりあえず食べ物を探すにしても、森まで行かなければならないだろう。

あっちでは部屋にいたのに、ここでは靴を履いている状態で送られてきたのは幸いだったが、森まで歩くとなると結構キツそうだ。

靴もただのスニーカーだし、服装はジーンズにTシャツとその上からパーカーが一枚だけ。

持ち物は、ここでは使えない携帯に喋る指輪だけ。


思わずため息が出た。するとポケットに入れた指輪から声をかけられた。


「どうしたの、あるじさま?」


心配そうに聞かれた。


「いや、あの森まで歩くと思うとちょっと憂鬱でな」


とりあえずポケットから指輪を出し、森の方向へかざす。


「なるほど。でもだいじょうぶだよあるじさま。とりあえず、ぼくをゆびにはめてみてよ」


指輪を見据えてちょっと考えた。


「はめたら呪われたりしないよな?」


今度は指輪がため息をついた。


「ぼくはあるじさまのおともだよ?そんなことするわけないじゃないか」


ちょっと怒っているようだ。ここは大人しくはめるか。


サイズ的に人差し指がよさそうなので、とりあえず左手の人差し指にはめてみた。


嵌めた瞬間、指輪が淡く光りだした。指輪の宝石と同じ青い光が指を伝って全身を包み込んだ。


「ぐ、あぁ……!?」


全身が光に包まれた瞬間、今まで経験したことのないような激痛が体を襲った。

体中の血管という血管にマグマを流しこまれたような熱さと痛みだ。

思わずその場に倒れこみ、のた打ち回った。


1分ほどして、光と痛みは治まった。それから荒い呼吸で指輪を睨みながら叫んだ。


「はあ、はあっ……つぅ、やっぱり呪いか!」


「ちがうよ、あるじさま。からだのちょうしはどう?」


「さっきまで死ぬほど痛かったよ!」


「いまは?」


確認してみると、なんとなく体が熱い以外は、いつも以上に力がみなぎるようだった。

腹を触ると、いつもと違う感触だった。あわててTシャツをめくると、若干ビール腹気味だったはずが、なんと見事に6パックに割れていた。

そのほかの部分もいつもとは筋肉の付きかたや体の締まりが格段によくなっている。


「これは指輪の力か?すごいな……」


正直驚いた。これならたしかにあの激痛に見合うかもしれない。


「あるじさま、おどろくのはまだはやいよ。ちょっとジャンプしてみて」


なんとなくいたずらっぽい口調に少し気が引けたが、一応跳んでみた。


「それじゃあ……せ~のっ、ぉおおうわあぁぁああっ!?」


イメージは間違ってなかった。俺は「跳んだ」はずだった。


「飛んでるううぅぅ……よ?」


「ただすごくじゃんぷしてるだけだよ、あるじさま!」


愉快そう指輪が話しかけてきたが、それどころではない。

上昇は止まったが、ここは地上から40メートルほどの空中。


一瞬の静止。


そしてこの世界にも重力はあるらしく、落ちていっている。


「いやああぁぁ死ぬ!俺しぬぅぇええあああああ!!!」


「あははははっ!だいじょうぶ、あるじさまはしなないよ。ぼくがまもるから」


手元で指輪が某包帯少女のようなセリフはいているが、だからそれどころではない。

地上が迫ってきている。残り15メートル、10メートル、5メートル――


(妙に世界がゆっくりだ。走馬灯ってやつか。あぁ、母ちゃんが恋しい。

母ちゃん、俺あんたの息子でよかったよ。せっかく異世界に来たっていうのに、ものの5分で死んじまうような息子だけど、生んでくれてありがとう。

最後に母ちゃんの手料理食べたかった……な)


――0。






ッドオォォォン!!!


……


…………


………………?



あれ?生きてる??


辺りは土煙がたって、いまいち見えづらいが、どうやら俺は五体満足のようだ。

いや、それどころか痛みもなければ擦り傷も打ち身もない。


「あっ……アーメン!ハレルヤ!ピーナツバターだぜっ!ひゃっほーう!!」


思わず出たけどなんだっけ、このセリフ?まあいい。生きてるってすばらしい!


「そんなによろこぶことじゃないよ、あるじさま」


水を差すように指輪が話かけてきた。


「どういうことだ?」


「えっとね、ぼくのちからで、あるじさまのからだは、とってもつよくなってるの。ちからもじょうぶさも。だからあのくらいじゃどうにもならないよ」


「ほかにもなにかかわってるのか?」


「えっとねぇ……」


それから指輪に話を聞いたところ、とりあえず体の耐久性と筋力、反射神経や動体視力も向上しているらしく、

近場に岩を素手で叩き割ったり、新幹線レベルの全力疾走でも息切れはまったくおきなかったりした。

ほかにもなにかしらの恩恵はあるようだけど、指輪にもまだわからないらしい。

あと指輪はもう俺の指からはずせないようだ。


「チートだな。なんのコマンドも入力してないけど」


「まあ、あってこまることはないとおもうよ?じぶんでじゆうにちからはおさえられるし」


「よっと……ほんとだ、さっきみたい跳ばない」


本当に自由に制御できるようだ。これなら周りにも被害はでないだろう。


「ところで、いままでぜんぜんきにしてなかったけど、あるじさまのなまえってなんていうの?」


そういえばそうだった。てっきり知ってるもんだと思って自己紹介してなかった。


「武藤 真。武術の武に藤の花の藤でムトウ、真実の真でマコトだ。おまえの名前は?」


「むとう まこと。うん。おぼえた!ぼくのなまえは『あすーる』よろしくね」


「アスールか。おう。俺も覚えた!これからよろしくな」


握手ののかわりに指のアスールをなでてやった。少しくすぐったそうな声をあげて喜んだ。かわいいな。


「それじゃあ改めて、森までゴーだ!」


「ごー!だね!!」


そのまま軽くランニング程度な感じで走って、結局森まで15分もかからなかった。


次はバトルが……。戦闘描写ってどうやるんですか?

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