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和の心、商人の罠

こういうサイトに投稿するのは初めてなので、今更怖くなってきました。



ゼクトにもらった地図を頼りに、ワノクニ亭までたどり着いた、が


「これって……」


(どうしたの、あるじさま?)


「旅館じゃね?」


ほかの建物がレンガ造りなのに対して、ワノクニ亭は木造2階建て。しかも屋根は瓦で、扉は引き戸ときたもんだ。


「どういうことだ?」


(ねぇ~はやくはいろうよ、あるじさま!)


「う、うん」


アスールに促されて中に入った。


「いらっしゃいませ。お一人ですか?」


出迎えてくれたのは、和服をきた妙齢の女性。


髪と目の色は黒。


女将さん?


「ああ、一人だ。その服は?」


「ああこれは和服って言って、私の出身地の民族衣装なんですよ」


女将さんはノムライジ自治国のワノクニ出身らしい。


この宿もワノクニの建築方法で建てたものらしい。


「申し訳ないんですが、玄関から中に入る際は、お履物を脱いで上がっていただけませんか?」


(本当に日本みたいだな)


(にほんってなぁに、あるじさま?)


(この世界に来る前に俺が住んでいた国だよ)


(へぇ~)


ブーツを脱いで中に上がり、カウンターまで案内される。


「料金は1泊3食つきで4000フレになりますが、何日ほどお泊りになりますか?」


一応しばらくはザインにいるつもりだし、1ヶ月ぐらいにしとくか。


「1ヶ月でいくらになる?」


「そうですね、そんなに長くいられるならお値段少し引きまして……10万フレってとこでしょうか?」


まぁそれぐらいならいいか。


袋から銀貨10枚出して渡す。


「……はい、たしかに。それではお部屋ご案内します」


女将さん後ろについて歩く。中も本当に日本家屋だな。


2階の部屋に案内される。


うわ、畳部屋だ。


大きさは8畳。部屋の中央には四角いちゃぶ台と座布団。


あとは押入れが一つ。


「変わった部屋でしょう?初めて来られる方は大抵驚かれますよ」


「ほかに客はいるのか?」


「いえ、今はお客さん一人ですね。少し中身に凝りすぎたせいであまり宿泊される方はいないんですよ」


「じゃあどうやって稼いでるんだ?」


「宿の隣に夫と娘が働いている食事処がありまして、ワノクニ料理を出しているんですが、そちらは評判がいいようで、なんとかやっていけてます」


「なるほど」


「では、ちょうど時間もよろしいようですし、お話しにあがりましたワノクニ料理をお持ちしますね」


「頼む」


(ワノクニ料理……これはもしかしたら米が食えるかもしれん)


(ほんとに!?)


(まぁアスールはもの食えないけどな)


(しってるよ、あるじさまのいじわる!)



待つこと数分。料理が運ばれてきた。


ご飯、味噌汁、魚の煮付けに野菜の煮浸し。漬物まで付いてきた。


「完璧だ……」


「ワノクニ料理は、この箸を使っていただくんですが、もしよろしければスプーンとフォークをご用意しますか?」


「いや、箸で大丈夫だ……いただきます!」


言うのが早いか、茶碗を持ってお米を一口。


あぁ……白米だ!夢にまで見た白米だ!!


そのまま味噌汁や魚の煮付けにも手をだす。


本物の醤油と味噌の味!幸せ!!俺幸せ!!!


喜んでガツガツ食っていたら女将さんにぽかんとされた。やべ、がっつきすぎたか?


「その髪の色といい、箸の使いかたといい、もしかしてお客さんはワノクニ出身ですか?」


えっと、グレオにした説明でいいか。


「実は、俺は自分の名前以外に記憶をなくしてしまっていてな、もしかしたらそうなのかもしれないが、今はなんとも言えない」


「失礼なことを聞いて申し訳ありませんでした。あの、ご飯のおかわりございますが、どうしますか?」


「もちろん頂く!」


「はい」



満腹になった俺は、食休みをしてから1階の浴場に来ていた。


「檜風呂だと!?どこまで俺を喜ばせる気だ!!」


(ぎゃくぎれ?)


アスールのつっこみを聞きつつ、お湯で汗を流して浴槽へ。


「あぁ~……生き返る。お風呂ってやっぱこうじゃなきゃ」


(きもちよさそうだね)


(気持ちいいぞ)


いい湯だなぁ~はははん……



「まさか浴衣まであるとは……」


部屋に戻って浴衣に着替えた。本当にここ異世界か?


窓から町並みを眺める。


「やっぱ異世界だな」


下の通りには獣人やドワーフ、鎧を来た戦士が歩いている。


「う~ん。不思議」


(これからでかけるの?)


(いや、もう暗いし寝る)


押入れから布団を出して敷き、天井のランプを消す。


(明日は町の探索するぞアスール)


(わ~い!)


(おやすみ)


(おやすみ、あるじさま)


布団と枕が合っていたおかげか、グッスリ眠れた。





美味しい朝ごはんをいただいて、町の探索に出掛ける。


武器屋、防具屋、魔術書店。へんな店のオンパレード。


「はぁ……どこ見ていいかわからん」


(あるじさま、あのおみせは?)


「うん?」


あれは……マジックアイテムショップ?看板に冒険者御用達と書いてある。


「入ってみるか……」


店内に入ると一見普通のものや、なにに使うかわからないものがズラっと並んでいる。


「お兄さん!駆け出し冒険者かい?」


威勢のいい店員に声をかけられた。


「わかるか?」


「そりゃ、そんなにきょろきょろしてればな。それに俺は何年もここで店員やってんだ。客の冒険者の錬度ぐらいわかるさ!」


むう、今度から気をつけよう。


「なにかお探しかい?」


「今度はじめての依頼に行くんだが、なにを用意すればいいのかわからなくてな」


「なるほど。じゃあとりあえずこの三つは持ってて損はないぜ?」


店員が持ってきたのは本と地図と袋の三つ。


「なんだそれは?」


「よくぞ聞いてくれた!まずこの本は魔物図鑑だ。だが、ただの魔物図鑑じゃねぇぞ?この本は魔物が近づくと自動的に名前、ランク、生態、果ては高価で買い取られる部位まで教えてくれるってしろものだ!」


「ほうほう」


「次にこの地図!当然ただの地図じゃない。これはフェアレイド大陸の全ての地理が中に入ってる。行きたい場所の名前を地図の裏に書き込めば、その場所までの道のりと距離を示すって便利なもんだ。ちなみに、地図の拡大や縮小もできるぞ!」


「ほうほうほう」


「最後にこの袋!これも一見なんの変哲もない袋に見えるが、なんと見た目の30倍は中が広くて、テントから食料、防具や武器なんかも丸々しまえる。しかも、いくら入れても重さは増えないと来たもんだ!」


「な、なんだって!どれも凄い。でも、高いんだろ?」


「三つあわせて20万フレでどうだ!!」


「買ったッ!!」


「まいどあり~!!」


商品を受け取って、店をでる。


あれ?俺なんでこんな簡単に買っちゃったんだ。


(もしかしたら、まじっくあいてむつかわれてたんじゃない?)


恐るべし。マジックアイテムショップ……





少し疲れた上に、かなり金を使ってしまったので一度ワノクニ亭に戻る。


「はぁ……」


買ったものを見て、思わずため息が出る。


(おちこまないで、あるじさま。これすごいんでしょ)


「まぁな。適正価格だったかは怪しいけど」


でも、使わなきゃ損だよな。


「よし!アスール。明日、依頼をこなしに行くぞ!」


(うん!)


とりあえず今日は飯食って、風呂入って、寝る!






ザイン南西門前で地図を確認する。


「目的の村は、ここから西に315キロか」


地図を袋(四次元袋と命名)にしまい、西の方角を見据える。


「今日中に終わらせたいから、かなり飛ばすぞアスール」


(うん!)


「そんじゃまぁ」


(ごー!だね!)








サクッと狩ってきますか!




ふぅ……もっとがんばろう……

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