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冒険者 ホントの私デビュー!

やっと町についた、そろそろ女の子ださないと。

ザインに着いて、まずは衛兵のいる門に向かった。


「冒険者の方ですか?」


衛兵の一人に話しかけられた。


「はい。といってもまだ駆け出しですが」


「ギルドカードはお持ちですか?」


ギルドカード……身分証みたいなもんかな?


「いえ、これからザインのギルドに行って登録なんかをしようかなって思ってたんですけど……」


「ということはザインに来るのは初めてですか?」


「はい」


「では、ザインについて軽く説明します」


衛兵から軽く説明を受けた。


交易都市ザイン。


シルフィア王国の物流の中心。町の規模は王都に続き2番目に大きい。


ザインを治めるシュタイン公爵家の居城『ザイン城』を中心に作られた城下町。


形は外周200キロの城壁に覆われた円形の町。


内部の区分は、ザイン城を中心に貴族たちが住む『中央街』、衛兵や騎士の詰め所や図書館などの公的施設がある『内周街』、そして俺の目指す冒険者ギルドを初めとした各ギルドと多くの店、宿ががある『外周街』の三つで構成されている。


外周街は通行料さえ払えば身分証がなくても誰でも入れる。内周街の入場には、国か各ギルドの発行する身分証が必要。中心街にいたっては基本的に平民は入場禁止だそうだ。


そして、この門は全八つあるうちの一つ、北東門。


「こんなところです」


「なるほど、ありがとうございます。通行料はいくらになりますか?」


「5000フレです」


それなら大丈夫だ。


「じゃあ……はい。お願いします」


「はい、通行料たしかにいただきました」


お金を受け取った衛兵は人用の小さい門をあけてくれた。


「この門を抜けて、まっすぐ進むとザイン大通りに出ます。あとは大通りを右に曲がって道なりに進めば冒険者ギルドがありますよ」


「親切にありがとうございます」


「いえ、仕事ですので。それにしても、あなたのように丁寧な冒険者は初めて見ましたよ」


う~ん。やっぱりもっと横柄な態度じゃなきゃ逆に目立つみたいだな。


「それじゃあそろそろ行きますね」


「はい、お気をつけて」


衛兵に手を振り、門をくぐる。





「やっぱりジーマル村とは全然違うな」


(そうだね。たてものがりっぱ)


住宅街と思われる細道を進みながら感想をこぼす。


建物はレンガ造りで色もみんな違う。道も舗装されて、石畳がひかれている。


ジーマル村とは町の造りが1世紀近く違うように見える。


(あるじさま、あれ!)


おっ、人が沢山見える。あれがザイン大通りか!


小走りで通りまで駆け寄る。


((うわぁ~……))


2人揃って思わず圧倒された。


幅10メートルほどの通りには屋台や店、そして行き来する沢山の人、人、人。


服装、髪の色、目の色、肌の色、体の大きさ。まさに十人十色。そして、


「あの耳はエルフか……?あのちっちゃい髭生やしたおっさんたちはドワーフだよな……獣人までいる。グレオの言ってたことは本当だったんだ」


ザインにはいろんな種族がいるって言ってたけど、本当に目の当たりすると感動ものだ。


「うわぁ、それにしてもエルフめっちゃ美人だな!獣人の女の人も超かわいい!!」


思わず口に出てしまった。


(みんなこっちみてるよ)


(……やっちゃった。とりあえずギルドに行こう……)


(うん)


そそくさとその場を立ち去る。


(いっやぁあ……こっちの女の人はみんな美人だな)


(そうだね!じーまるには、わかいおんなのひといなくてわからなかったけど)


(こりゃ、これからが楽しみだ)


(あるじさま、よこしまなかおしてる)


おっとっと、いかんいかん。気を引き締めないと。


露店や怪しげな佇まいの店を横目にギルドまでの道のりを歩く。


(ギルドに行って登録すませたあとは、いろいろ見て回ろうなアスール)


(たのしみだね、あるじさま!)


(ああ!)


意気揚々と進んでいく。ザイン大通りは外周街に沿って環状にあるらしく、ずっと歩けば一周できる。


建ち並ぶ建物をきょろきょろと見ていると、一際大きい建物が目についた。


(あれは……冒険者ギルドだ!)


開けっ放しの大きなドアから、鎧を着た大男や弓を背負ったエルフなど、いろいろな人物が出入りしている。


(いざ……!)


(ぼうけんしゃぎるどへ!)


意を決して中に入る。





大きさは50畳ぐらいで中には30人ほどの人が併設されたバーカウンターや食堂のイスに座って談笑している。


何人かは俺のほうを見て警戒しているようだが、とりあえず無視して正面の受付へ。


「……冒険者ギルドに登録したいんだが、どうすればいい?」


受付嬢に声をかける。意識して敬語は使わないようにする。


「はい、冒険者登録ですね?ギルドに来るのは初めてですか?」


「ああ」


「それではこちらの契約書の項目に目を通していただいて、よろしければサインをお願いします」


受付嬢から紙を受け取る。


(なになに、冒険者ギルド契約内容と……)


内容はこんな感じ。


冒険者ギルドに登録すると、ギルドカードがもらえる。

ギルドカードには名前とランクが記載されており、特殊なマジックアイテムで読み取るとギルドに所属してからの功績がわかる。

ギルドカードには身分証の役割もあり、ほかの都市に行った場合は通行料が免除される。

さらに、ギルドカードを持っていることで、冒険者ギルド直営の宿や店の割引特典がある。


依頼について。


冒険者ギルドでは一般の人間から依頼を受けており、その依頼を冒険者に仲介する仕事をしている。

依頼は壁の依頼ボードに貼り付けられていて、自分のランク以下の依頼は自由に受けられる。

依頼を受けて、成功したにせよ失敗したにせよ、依頼が終わった場合はギルドに報告しなければならない。

成功した場合は報酬をもらえるが、失敗した場合もらえない。

そして、依頼中に死亡または怪我をしてもギルドは、その一切の責任を負わない。

なお、ランクが高かったり大きな功績を残した冒険者にはギルドから依頼の逆指名がくることがある。受けるか受けないは自由。


なるほど。とりあえず大丈夫そうだな。


ささっと名前を書いて、受付嬢に契約書を渡す。


「えっと、お名前はマコト=ムトウ様でよろしいですか?」


「ああ。大丈夫だ」


「では、マコト様。現在あなたのランクはFランクになります。ランクは、達成した依頼を加味してF・E・D・C・B・A・Sの順番で上がっていきます」


「なるほど」


「高ランクの冒険者は王侯貴族の目に留まって直属の騎士として召抱えられる場合もあります。ぜひがんばってください!」


まそんなことには興味ないんだが、とりあえず頷いておく。


「ほかに質問はございますか?」


そういえば……


あることを思い出して荷物の中からあれを取り出す。


「これを冒険者ギルドで買い取ってもらえると聞いたんだが?」


ブラッドオークの角を見せると、受付嬢の目の色が変わった。


「それは……ブラッドオークの……。それをどうやって手にいれたんですか?」


「俺が倒したときに折れたから、持ってきたんだが……なにか?」


「いえ、とりあえずお預かりします」


ブラッドオークの角を受け取ると、受付嬢はギルドの奥へ消えていった。


(なんだったんだ?)


(とりあえず、かってもらえそうだね)


(……うん)


受付嬢の態度がが急に変わったのは気になるが、今は待つしかないか。



10分後ぐらいに受付嬢が袋を持ってやってきたが、なぜか後ろに背の高い男性がついてきていた。


「こちらが換金したお金になります。金額は150万フレになります」


150万!?


「……そんなにもらえるのか?」


困惑しているところに後ろの男が話しかけてきた。


「それにつきましては私からご説明させていただきます」


男は身長190センチぐらいで細身。年齢は50手前ってところか。メガネをかけているが目つきは異様に鋭い。

服装は黒のズボンに黒い革靴、仕立てのいい白いシャツの上に黒いベストをキッチリ着ている。


(できる執事って感じだな……)


(かっこいいね……)


「紹介が遅れました。私は冒険ギルドザイン支部の副支配人をしております。ゼクトと申します」


ゼクトはきれいなお辞儀をしてきた。思わず俺もお辞儀で返してしまった。


「さきほど渡していただいたブラッドオークの角ですが、魔導器の核として大変貴重なものでして、この金額は妥当なものでございます」


そうなんだ。


「ただし一つ問題がありまして……」


「問題というと?」


「さきほど伺った話によると、この角の主であるブラッドオークをご自身で倒したということですが?」


「ああ、そうだが」


「ブラッドオークはBランクに相当する魔物です。それをお倒しになるということは、マコト様もBランク相当ということなります」


なるほど、と理解の意味で頷く。


「ですが、基本的にギルドに登録した冒険者は、Fランクから始めることになります。しかし、もしBランクの実力をお持ちであればこのようなランクに留まるのは大変もったいない」


「俺にどうしろと?」


聞き返すと、ゼクトは俺を試すように笑いながら言った。


「今回特例として、Bランクの依頼をマコト様に受けていただけるような措置をとりました。もしこの依頼を受けていただいて、成功しましたら晴れて正式にBランクに認定しようと考えているのですが、いかがでしょうか?」


なるほど、お互いの利益になると。だけど、俺が死んでも予定調和だし、仮に成功したらめっけもんってとこか。


したたかだな。


「依頼の詳細は?」


「ザインから300キロほど離れた村の近くの森で、ジャイアントモスが卵を産んでいるのが発見されました。ジャイアントモスは大きな蛾のような魔物です。成体は肉食ではないのですが、卵からかえった幼虫は肉食で人を襲います。このまま孵化を待っていては村の住人たちが皆殺しにされてしまいます。ですので、今回の依頼はジャイアントモスの卵の駆除及び、卵を守っているであろう成体の討伐となります。成功報酬は100万フレ。期間は卵の孵化予想日である1ヶ月後までに依頼を完遂していただければ結構です。ギルドに帰還する際にジャイアントモスの額についたクリスタルを忘れずに持ってきてください」


(どう思うアスール?)


(あるじさまならよゆーだよ!)


(なら……)


「その依頼、受けるよ」


「左様でございますか、では出発のときはギルドにお寄りください。馬を用意いたいします」


「馬はいらない。それより宿を探しているんだが、どこか紹介してくれないか?」


「条件などはございますか?」


「そうだな……風呂がついている宿はあるか?」


「はい、一軒ございます」


お、あるんだ!


「『ワノクニ亭』でいかがでしょうか?部屋と食事は少し変わっておりますが、値段は3食つきで1泊4000フレほどですよ」


高いのかどうかわからないが、まあブラッドオークの角で手に入れた150万があるから大丈夫だろ。


「わかった。とりあえずそこに行ってみる」


「では地図を用意いたします」


ゼクトから地図を受け取り、ギルドを出ようとする。


「よい報告をお待ちしておりますよ」


うしろからゼクトに声をかけられたので、一応手をあげてからギルドを出た。


(さて、じゃあワノクニ亭へ……)


(ごー!だね!)






いろいろ疲れたし、早く風呂に入りたい。




女の子だそうと思っていたら、でたのはおっさんでした。

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