表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レインキス  作者: 七瀬 夏葵
第一章「始まりの雨」
9/75

Act.8「いただきますの前に」

やがて彼女が戻って来た。


「出来たよ~。ご飯よそってくれる?」


彼女の手には丼が一つ。


「あれ?一つだけ?お前のは?」


「あたしはお風呂入るから、その間に食べててもらおうと思って」


「そうか。わかった。じゃあ、お言葉に甘えるよ」


俺は丼を受け取り、ご飯をよそった。


「運ぶのってそこのテーブルでいいの?」


彼女はテレビの前に置かれた小さなテーブルを指して尋ねた。


「ああ、そこ置いて」


ガラスの器に盛られたポテトサラダと、木の器に入ったみそ汁が運ばれて来た。


「へー、けっこう美味しそうだな」


ポテトサラダはゆで卵の黄身を潰したものだろうか、黄色の粒状の物が上にかかっていて、まるで市販のやつみたいだった。


「ふふーん。あ、丼貸して。具入れて来るから」


俺は彼女にご飯の入った丼を手渡した。キッチンから戻って来た彼女が持って来た丼には、卵でとじられた具が入っていた。


「おお、親子丼か」


「そうだよ~。ふふふ。けっこう自信作なんだから。見てよこの半熟具合」


テーブルに置かれたそれは、確かにぷるぷるの半熟具合が見て取れた。三つ葉のアクセントが美しい、まるで食堂で出て来るようなちゃんとした親子丼だ。


「うん、見た目はスゴイ美味そうだ。味はどうかな?」


「あはは。食べて驚きなさい。あたしはお風呂入って来るから」


「おう。入って来い。タオル、これ使っていいから」


俺は彼女にバスタオルを手渡した。


「ありがと。じゃあお風呂借りるね」


扉の向こうへと消える彼女を見送り、俺はテーブルに並んだ料理を前に座った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ