Act.19「告白」
※病気・医療・ドナーに関する描写は現実と異なる場合がございます。
恐れ入りますが、予めご了承の上お読み頂けますよう宜しくお願い致します。
「あ、あんた・・・・」
わなわなと身体を震わせる彼女に、俺はこれ以上ないくらいの笑顔で言った。
「こらこら。俺の事はお兄ちゃんと呼べと言ったでしょ」
「あ、兄があんな事するかーーー!?」
彼女の叫びに、俺は至極当然、というように返した。
「だって、血は繋がってないんだし。問題ないでしょ?」
「そ・・・・」
「そ?」
「そんな理屈、あってたまるかーーーー!!」
最早我慢の限界、とばかりに叫びまくる彼女に、俺はごく冷静に笑顔を浮かべた。
「だって、お前の事好きになっちゃったんだから、仕方ないだろ」
その言葉に、彼女が目を点にしてフリーズした。
「・・・・・今、なんて?」
「いや、だから、仕方ないだろ」
「その前っ!!」
「好きになっちゃったんだから」
けろっとして言う俺に、彼女は先程までの怒りが嘘のように、にっこりと笑顔を浮かべて尋ねた。
「好きになっちゃったって・・・・誰を?」
「お前を」
「誰が?」
「俺が」
すると彼女は、しばらくその固い笑顔のまま沈黙し、やがておずおずと口を開いた。
「あの・・・・笹宮さん?」
「いや、だから俺の事はお兄ちゃんと―――」
「そんな事はこの際どうでもいい!誰が誰を好きだって!?」
「いや、だから、俺がお前を」
「えぇぇぇーーーー!?」
静かな駐車場内に、彼女の叫び声が響き渡った。
雨はもう、小降りになり始めていた。