Act.18「揺るぎない想い」
離したくない。
それだけが、俺を支配していた。
「・・・・・・んっ、んんっ」
吐息が漏れ、彼女の腕が俺を押しのけようと抵抗する。
俺は抱きしめる腕に力を込め、貪るように唇を塞いだ。
やがて彼女の身体から力が抜け、俺は安心したように唇を離した。
パンッ!
乾いた音が響き、俺の頬が熱くなった。
「ばかっ!!」
叫んだかと思うと、彼女は外へ走り去って行った。
「あっ!おい、待てよ!!」
彼女を追いかけ、俺は雨の中走り出した。
ほどなくして彼女に追いつき、その手を掴んだ。
「離して!!」
「逃げるなよ!!ちょっと落ち着けって!!」
「いや!離してってば!!」
暴れる彼女の身体を強引に引き寄せ、俺は再び唇を塞いだ。
「んっ、んんっ・・・・!」
初めは抵抗していた彼女も、やがて大人しくなり、俺はようやく唇を離した。
「ほら、戻るぞ。ここじゃ濡れるし、自転車、置きっぱなしだろ」
俺の言葉に、彼女は黙って頷き、俺達はそのまま駐車場へと戻った。
雨の檻を眺めながら、彼女はボソリと何かを口にした。
「ん?何だ?」
俺の問いに、彼女は顔を真っ赤にして叫んだ。
「バカって言ったのよ!何であんな事!?」
俺は微笑みを浮かべながら言った。
「ん、嫌だったか?」
彼女は顔を真っ赤にして言い淀んだ。
「・・・・い、嫌っていうか、その・・・・と、突然過ぎて、どうしていいか・・・・」
うつむき加減でそんな事を言う彼女に、俺はにっこり笑った。
「可愛いな」
「――――なっ!何言って!?」
「お前のそういうとこ、俺、凄く好きだぞ」
彼女の顔が、ますます赤く染まっていくのが見えた。
それを見て、俺は故意に笑顔を浮かべた。
もう照れも遠慮も見せない。
コイツの手を離す気は、毛頭ないんだから。