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レインキス  作者: 七瀬 夏葵
第二章「加速する想い」
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Act.18「揺るぎない想い」


離したくない。

それだけが、俺を支配していた。


「・・・・・・んっ、んんっ」


吐息が漏れ、彼女の腕が俺を押しのけようと抵抗する。

俺は抱きしめる腕に力を込め、貪るように唇を塞いだ。

やがて彼女の身体から力が抜け、俺は安心したように唇を離した。


パンッ!


乾いた音が響き、俺の頬が熱くなった。


「ばかっ!!」


叫んだかと思うと、彼女は外へ走り去って行った。


「あっ!おい、待てよ!!」


彼女を追いかけ、俺は雨の中走り出した。

ほどなくして彼女に追いつき、その手を掴んだ。


「離して!!」


「逃げるなよ!!ちょっと落ち着けって!!」


「いや!離してってば!!」


暴れる彼女の身体を強引に引き寄せ、俺は再び唇を塞いだ。


「んっ、んんっ・・・・!」


初めは抵抗していた彼女も、やがて大人しくなり、俺はようやく唇を離した。


「ほら、戻るぞ。ここじゃ濡れるし、自転車、置きっぱなしだろ」


俺の言葉に、彼女は黙って頷き、俺達はそのまま駐車場へと戻った。

雨の檻を眺めながら、彼女はボソリと何かを口にした。


「ん?何だ?」


俺の問いに、彼女は顔を真っ赤にして叫んだ。


「バカって言ったのよ!何であんな事!?」


俺は微笑みを浮かべながら言った。


「ん、嫌だったか?」


彼女は顔を真っ赤にして言い淀んだ。


「・・・・い、嫌っていうか、その・・・・と、突然過ぎて、どうしていいか・・・・」


うつむき加減でそんな事を言う彼女に、俺はにっこり笑った。


「可愛いな」


「――――なっ!何言って!?」


「お前のそういうとこ、俺、凄く好きだぞ」


彼女の顔が、ますます赤く染まっていくのが見えた。

それを見て、俺は故意に笑顔を浮かべた。

もう照れも遠慮も見せない。

コイツの手を離す気は、毛頭ないんだから。


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