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6話 卒業

翌日、俺は早めに準備を始めた。

今日からしばらくは魔術交換会に行く。

…はずだったが予定変更だ。

「まずは自分のレベルを確かめましょう」

というナナ師匠の提案により、今日1日は魔術試合にひたすら参加するということになった。






街に出ると、

「おい、あれって…」

「特徴一致、間違えねぇ」

「あいつを真似しようなんて思うやつはいねーしな」

「マジか、ナナ・リーフがこの街に来たのか。」

「ナナ・リーフってあのノーボックスの!?」

どうやらナナ師匠、更にいうと冒険者パーティー『ノーボックス』というのはとんでもないほど有名らしい。

パーティーについて、広場の飲食店の人に聞いてみたら、

「知らねぇのか坊主?『ノーボックス』ってのは5年前に『凶龍』っつうドラマルトの2割を壊滅させた20体規模の竜獣族の集団をチームの5人で打ち負かしたパーティーなんだよ」

『凶龍』ね…。

え!?大陸王都の2割を!?

やば…

そんな奴らをたった5人で…

「今はもうその2割は修繕済みだが、そのままだったら今ごろ大陸王都は中央街以外は火の海だったらしいぜ」

救世主じゃねーか。

やばいな、ドーラ師匠とナナ師匠…。

『レオー、行きますよ』

念話でナナ師匠に呼ばれた。

「ありがとうございます。」

「ん?もしかして坊主、ナナ・リーフの連れか」

「え?あ、はい、一応」

「こりゃたまげた!弟子かなんかか?」

「そんな感じです」

「こいつはいい!坊主、夜なったら師匠と一緒にまたこの店に来な!」

「…?なぜ?」

「おりゃナナちゃんに店を守ってもらったことがあんだよ。あっちは覚えちゃいねーみたいだが。その恩返しだ。サービスしてやる」

「…!ありがとうございます!」

そして俺はナナ師匠のもとに走った。

いやー。

こういう巡り合わせもあるもんなんだねー。






気づけば夜になり、俺とナナ師匠は約束どおり、朝の店のおっちゃんのところに行った。

「いやーしかしレオには驚かされます。まさか10戦7勝1分とは…」

「まだまだです。師匠は全勝じゃないですか」

「いや、やっぱすげーなナナちゃんは。坊主もすげーぜ。この試合の出場者はほぼほぼ坊主の年上で上級以上、下手したら王級もいるはずなのによー。」

どうやら俺は、大人とためを張るレベルの実力があったらしい。

5歳児がすげーぜ、これは。

「そういえば、レオは一か月前に5歳になったんですね。おめでとう!」

「うぇ!?坊主、お前まだ5歳なのか!?」

「はい、そうですが」

「ハハッ、こりゃ将来が楽しみだぜ。」

店のおっちゃんと仲良くなった。

そして、俺とナナ師匠はしばらくこの店に通い続けることになるのだった。






次の日。

俺は今日は魔術交換会の広場に来ていた。

今日はひたすらに模倣眼を開く。

『炎戒の龍』に似た作りの技や、それの参考になりそうなものをひたすらに探す。

2つの広場を行ったり来たりする。

最終日はナナ師匠とまわることにしたから、残り滞在期間的に、20日か。

頑張ろう。


1日目、成果なし

2日目、成果なし

3日目、成果なし

4日目、5日目、6日目…


9日目、見つけた。


突然だった。

空間獣スカイビースト!」

「「「「「おーーーー」」」」」

パチパチパチパチ…

それは模倣眼にとまった。

解析完了。

マジか…近い!

それは、今魔術を使用している、クロス・クロルのオリジナル魔術だった。

どうやら、風で魔獣を型取り、影と光で操っているようだ。

……光!

そうか。

影だけじゃなくて光も使えばいいのか。

光を使えば、型取りした技の形を保存できるはずだ。

そうゆうことか。


俺はすぐ、魔術使用者のクロス・クロルに話しかけた。

「あの!…」

「ん?お、どうした少年…って、君は!?」

「ん?」

「君、ナナ・リーフの連れの子だろ!?」

彼はめっちゃ驚いていた。

「は、はい!そうですが」

「あぁ!やっぱり!いやー、一度会ってみたかったんだよなー」

彼はとても興奮していた。

が、すぐ表情を戻した。

「んで、そんな君が僕になにか用かい?」

彼は微笑んでいる。優しそうだ。

「この魔術で使ってる光魔術の使い方を教えてほしいんです!」

彼は驚いた。

「へー、よく光使ってるってわかったね。」

「えっと、それは…」

「大丈夫、殺したりしないよ。模倣眼だろ?」

「え?よくご存じで」

「君の右目を見ればわかるよ」

しまった。

開きっぱなしだった。

「いいよー。伝授してあげよう。その代わり…」

「その代わり?」

「この伝授が終わったら、君と一戦戦わせてくれ」






そして、3日間の講習が始まった。

「作った魔法を光でそのまま囲うんだ。」

「く……こうですか?」

「惜しい。形が若干崩れてる。」

クロスの教え方は若干感覚的だがわかりやすかった。

「形を崩さないように、光経由で魔力を送るんだ」

「く…ぬぬっ………」

「そうそうその調子!」

そして、あっという間に3日が過ぎた。

「……でき…た……」

「おおーー、すげー!やっぱナナ・リーフの弟子!実力者だな」

俺は「空間獣」を1体作ることに成功した。

本来は3体作るらしいが、それでも、目標達成だ。

継続時間は…8秒だ。

「よし、これでもう大丈夫だな。」

「ありがとうございます!」

「礼はいいよ……さて。約束を果たしてもらおうか。」

「……はい。」



拮抗した戦いだった。

結果は俺の勝利だ。

彼は満足そうにその場をあとにした。

俺は深々と頭を下げて、感謝を伝えて別れた。






その後はナナ師匠と各会場をうろちょろした。

俺は「ナナの弟子」ということで結構有名になった。

まあ、名乗ってないからすぐ忘れられるだろうけど。

そしてあっという間に帰還の日になった。

俺とナナ師匠は店のおっちゃんに挨拶をして、ウェストンをあとにした。

帰りも何事もなく過ごし、1週間後、村に着いた。

「ただいま〜」

「「「おかえりーーー」」」

家族全員でお出迎えだ。

隣にはドーラ師匠も座っていた。

「…どうだった?」

「掴めました。あと半年で組み込みます!」

「そうか、頑張れよ。」

ドーラ師匠もご満悦だ。

そこからは、またいつもの日々に戻った。






半年後。

雪が降り始めていた。

そして、ナナ師匠とドーラ師匠、そして家族全員がこちらに視線を向けていた。

『レオ、行きますよ』

『……はい!』

「では、始め」

ナナ師匠の合図で俺は魔力を込め始めた。

形は龍に…

大きく…

長く…

火をまとわせて…

光で包み…

影を掴み…

魔力を送って…

………

………

「…炎戒の龍」

………

………

俺は目を瞑っていた。

そして…開けた。

目の前には火の塊があった。

後ろだからか、形は見えない。

だが、影を操り始めたら見えた。

龍だ。

過去に見たことないサイズの龍だ。

安定している。

崩れない。

………

7秒。

この技を出し続けた。

俺は、最終課題をクリアした。






「「「「「レオリオス!卒業おめでとう」」」」」

夜、いつもはあまり騒がしくない家が賑やかだ。

最終課題のクリアは俺の卒業を意味する。

最終課題が言い渡されて2年か…

長いようで、あっという間だったな。

「ということで、卒業祝いをみんな用意してまーす。」

今日卒業なんて決まってなかったのに前もって準備してたのか。

正直ビックリだ。

「まずは貴方、お願い。」

最初はバオスからだ。

渡されたのは、手袋か?

「それは剣士がよく身に着けている『手守』というものだ。魔力がこもった繊維で作られているから、剣が手から抜けることもなく、手を相手の攻撃から多少守ってくれる。大事に使え」

へー、これまた便利だねー。

「ありがとうございます。」


次は、

「じゃあ次は私が…」

「母さん。私からでもいい?」

そういったのはカーラだ。

「あら?いいわよ。」

「じゃあレオ、私からはこれ」

……!?

こ、これは……!?

「集音石!?」

「あら、よく知ってるわね。レオは昔から音楽の話になると目を輝かせていたから、今回は3種類買ってきたわ。暇なときにでも聴いてなさい。」

「ありがとう姉さん!」


集音石。

魔力を乗せて奏でた音楽を記録する石。

そう、録音機だ。

まさか、手にする時が来るとは…

めっちゃ嬉しい。


「じゃあ今度こそ私ね」

次はカレラだ。

「じゃーん。『魔術書ー特級・王級編ー』よ!」

わお。

ウェストンで手に入らなかったやつだ。

この世界随一の人気本だ。

「ありがとうございます!」

さて、これで家族3人は終わりだ。


あとは…

「俺だな。」

ドーラ師匠だ。

「この日のために打ってもらった」

これは…剣だ。

「曲牙剣『龍流』だ。これをお前にやる。」

曲牙剣。

この世界の日本刀だ。

若干反った刀身が特徴だ。

しかも名剣(名前付きの剣)。

相当な傑作だ。

「ありがとうございます、ドーラ師匠!大事にします。」

「うむ、期待してるぞ。」

俺は自前の剣を手に入れた。


そして最後は…

「最後は私ですね。」

ナナ師匠だ。

ナナ師匠には誰よりもお世話になった。

何が来るのか…

「私からは魔術杖を」

なるほど杖か。

確かに持ってなかったな。

ただ、ナナ師匠は取り出すのに手間取ってるな。

なぜだろう。


「よいしょ!」


え、デカ。

今の俺の身長よりでかいのが来たんだが…。

ちなみに俺の身長は104センチ。

杖は大体150センチといったところだ。

「これはこの前、私が依頼して作ってもらいました。先端の枠には集魔石をつけました。これで魔術効率も上がると思います。」

オーダーメイドだ。

「…2年間、本当にお疲れ様。」

「ありがとうございます!」

「あ、持ち運びが大変なので、後で収納魔術教えますね。」

「あ、はい。」

そんな便利なのあったのか…。

ともあれ、これで俺も卒業だ。

これからは研鑽を積むのみ。

気になるのは…

「ドーラ師匠とナナ師匠はこれからどうするんですか?」

「俺は竜人の村に寄ってから、大陸王都に行く。そこでまた剣術指南をしようと思う。」

「そうですか。寂しくなります。」

「気にするな。行くと言っても俺は様々な国を転々としながら剣術指南をしている。また近い内にこの村にもよるさ。」

「はい。では頑張ってください」

「お前もな。」

そうか。

ドーラ師匠は村をたつのか。

寂しくなるな。

「ナナ師匠は?」

「昨日まで悩んでいましたが、この村に残って魔術研究をしようと思います。ここの環境は研究にぴったりなので。」

「なら、うちに寝泊まりすればいいさ。部屋は何個かあるし、今のままのほうが生活しやすいだろ?」

「わかりました。よろしくお願いします。バオスさん。」

ナナ師匠は残るらしい。

なんだかんだ言って嬉しいもんだ。

そこからは趣味の話、武勇伝、昔の話なんかをしていき、夜は更けていった。






翌朝。

「じゃあ、元気でな。」

「ドーラ師匠もお元気で。」

ドーラ師匠は村を出た。

家族全員とナナ師匠と一緒に見送った。

さよなら、また会う日まで。

こういうのは、前世から変わらず泣けてくるもんだ。

………。


家に帰って、ドーラ師匠に餞別のものを用意していなかったことに気づいたのは、ドーラ師匠が村を出て2時間後のことであった。

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