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影を纏う転生者 〜平凡な高校生の異世界人生録〜  作者: 仮想猫
影纏の術師編 〜ドラマルト〜
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58話 事後報告は終わりの証

「「「「「えーーーーー!!?」」」」」


「カナルが影纏先生の家族!?」


俺達はリューの案内のもと、サークルの1期生の元にたどり着いた。

そして、簡易的な事後報告をしあった。

その中で、俺とカナル…正確にはニナのことにも触れられた。

「てか…カナルの本体、初めて見た…」

「分身よりかわいいじゃない」

「怪我とかはない?」

「大丈夫だよ。ありがとう」

みんなで楽しそうに会話している。

いいことだ。

…けどあいつら、ニナが最上級生なのに…上下関係ないよな…

まあ、年齢で見ればエルとかのほうが歳上だし…

…上下関係はないのかもな。


「よし…ここからはまた仕事だ。みんなの休憩場所を…って、うぉ!?」


俺が立ち上がり動こうとすると、サークルメンバー1期生全員に持ち上げられた。

「先生、ボロボロじゃん!」

「まず休んでください!」

「僕らでやっておくので!」

「しかし…」


「「「「「休んで!!」」」」」


「は…はい…」






みんなが作業している間、俺は暇になってしまった。

その間俺は、運動場にいた学校医に怪我の治療をしてもらっていた。

「すごいやこりゃ…」

「え?何がですか?」

「怪我だよ。あんたよく生きてたね」

「え?」

どういうことだ?

たしかに激しい戦闘だったが、そんな怪我をしたのか?


「肋骨がボロボロになってるし、肺も片方傷ついてるよ。こんな状態で戦闘してたなんて信じられんね」


「え?やば…」

「…とりあえず治療はしたけど、まだ骨は脆いから安静にしてな!」

「はい…」

学校医が去ったあと、俺はその場に椅子を魔術で作り、座った。

…流石に疲れた。


「レオ…」


すると、誰かが俺に声をかけてきた。

見てみると、そこにいたのはニナだった。

「体は大丈夫?」

「あぁ。しばらく安静らしいが」

「そう…よかった…」

俺はその場に椅子をもう1つ作った。

「まあ、座れよ」

そして、ニナを座らせた。

「なあニナ…」

「ん?」

「お前のこれまでの話…教えてくれないか?」

「え?かなり長いよ?9年だし」

「知りたいんだ。お前がどんな暮らしをしていたのか」

「…分かった」

俺はこのあと、ニナの9年間を聞いた。

それは平和で穏やかだった一方、自分を偽りながら生活することの大変さがにじみ出ていた。






それから1週間がたった。

学校は復興に向けての工事が進んでいた。

そんな中、俺は図書館にいた。

図書館は少し散らかってしまっていたが、特に壊れたりはなく、被害はこの学校内で一番小さかった。

そこで俺は、ソオについて調べていた。

最初は調べても無駄と思っていたが、情報が多く出てきた。


「ラップ家」について。

ラップ家とは、バルト家が世界を統治していた頃、バルト家専属の騎士として仕えていた家計の1つで、剣術を得意としていたらしい。

バルト家壊滅後は、一族は魔族世界を転々としながら暮らしていた。


そんな中、一族内で「人体変異」の実験をした者が現れた。

人体変異は禁術の1つとされていたため、使用はもちろん、研究も禁止されていた。

その禁忌を破ったとして、ラップ家はその人物を処刑しようとした。

しかし、すでに人体変異の魔術を完成させていたその人物は、断頭されたのにもかかわらず生きながらえ、逆に一族を皆殺しにした。

その人物こそが「ソオ・ラップ」であったそうだ。

ソオ・ラップはこれにより、世界中で指名手配されたが、その直後に消息が絶たれたらしい。

年齢はおよそ120を超えていたそうだ。

それにもかかわらず動けたのは、やはり人体変異のおかげだったのだろう。

話を聞くと、後始末で見つかったソオの亡骸は、まるで骨のような顔だったらしい。

まったく…

俺もとんでもないやつに命を狙われてたもんだ。






事件から2週間が経った。

俺の生活には変化があった。

「おはよう…」

「あ、おはようございます。レオ」

「お兄ちゃんおはよう!」

「レオさん…おはようございます」

いつもと変わらない顔ぶれだ。

しかし、それに加えもう1人。


「おはよう、レオ」


「あぁ。おはよう、ニナ」


あれからニナは、ナナ師匠の部屋で暮らしている。

深い理由は特にないが、「次の旅に同行すること」と「部屋が壊れてしまったこと」があったため、一緒に暮らすことになった。

俺は少し嬉しかった。

これでやっと、全員揃ったのだ。

「そういえばレオ?今日の表彰式はいつからですか?」

「昼からですね」

「お兄ちゃん。それって僕達も行っていいんだよね?」

「いいはずだぞ」

今日は表彰式があるのだ。

なんでも、「学校を守るために主体となった3人を表彰したい」ということで、俺とナナ師匠、そしてリューが表彰されることになった。

リューも今回の戦いでは、下の戦力への指示出しを全てこなし、死者をゼロに抑えたそうだ。

流石だ…

いつもはああだが、やはりやるときはやるらしい。

「んじゃ行くか」

「うん!」

そして変化はもう1つあった。

ニナが直接学校に行くことができるようになったのだ。

と言っても、活動は基本保護生徒エリアの中のみではあるが…

簡単に言えば、今までのフェイのように動くことが可能になったのだ。

これにより、ニナが直接ラボに来ることも増え、より一層賑やかになった。






そしてお昼。

広場の中央。

そこにある壇上に、ジルさん、リュー、ナナ師匠、そして俺がいた。

「代表して『影纏のレオリオス・パルト』殿。前へ」

表彰式が始まった。

俺はジルさんの前に立った。

「影纏のレオリオス・パルト殿。貴殿は先の襲撃において、学校のため、我らのために命をはり、強大な敵を負かし、勝利を収めてくださいました。その健闘と有志に感謝し、ここに感謝状を贈呈します」

そして俺は、その感謝状を受け取った。


「本当に…ありがとう。それと、ニナをどうかよろしく」


ジルさんは小声で、俺にそう伝えた。


「はい。どうかお任せください」


こうして、表彰式は終わった。

長くもなければ短くもない。

しかし、そこには多くの意味が込められていた。



このあと、この事件は「ドラマルト学舎襲撃事件」という言葉で語り継がれ、石碑まで残ることになった。

そしてその石碑には、俺とナナ師匠、リューの名前も刻まれるのだった。






「レオ…」

「どうした?ニナ」

表彰式が終わり、日もくれた頃、俺はニナと部屋に戻っていた。

「もう一度、いや…改めて聞いてもいい?」

「なんだ?急に…」

「いや…もし場の状況で言っちゃったとかだったら恥ずかしいし…確認しておきたの」

そう言って、ニナは俺の前に立った。

ニナは顔を赤くして、言葉を続けた。


「私は…レオのことが好きです。ずっと一緒にいたいです。だから…」

「………」


「付き合って…くれない?」


………。

「…フッ…ハハハ…!!」

「え!?なんで笑うの!?」

「いや…ごめん…だって…」

俺は深呼吸して言葉を続けた。

「それの答えが『場の流れだった』っていう発想にびっくりしちゃって…」

「え!?」

ニナの顔はさらに赤くなっていった。


「答えは変わらないよ。こちらこそ…よろしくな…」


「…ッ!!」

それを聞いた瞬間、ニナは泣いてしまった。

「泣くなよー!ほら、帰るぞ!」

「…え!?ちょ…もうちょっと待ってよ〜!」

こうして俺達は部屋に戻った。

そしてまた、平和で新しい生活が始まるのだった。


次回の更新は3/7(土)です

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