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影を纏う転生者 〜平凡な高校生の異世界人生録〜  作者: 仮想猫
影纏の術師編 〜ドラマルト〜
60/66

56話 9年 2

ーニナ/カナル視点ー

レオが学校に到着したと聞いて、私は急いで分身をむかわせた。

レオは室内運動場にいた。


背は高かった。

聞くと、もうすぐ年齢は15になるらしい。

髪はところどころに白があった。

相当な修行をした証だろう。

そうか…あれが…

「影纏のレオリオス…レオくんなんだ…」

私は少し、笑っていた。

なぜだかはなんとなくわかった。

嬉しいんだ。


親友の成長が…


好きな人の背中を見れたのが…






時系列は事件前である7年前に遡る。

とある日の夜のことだ。

その日はレオの野営訓練のために、男性陣は全員外出していた。

カーラさんも仕事が忙しくて、家にいなかった。

この日は私とナナさん、カレラさんだけが家にいた。

「さて、男性陣がいない今…」

「やるんですか?カレラさん…」

「やるわよ」

…やる?

「何をやるんですか」


「恋バナよ!」


「やっぱりやるんですね…」

こ、恋バナ!?

「カレラさん…ほんとに飽きませんね…それ…」

「だって私ノーダメージなんだもん!」

え…ズルい。

「じゃあ私から始めるわよ〜」

こうして、女性陣による恋バナが始まった。






「…と、こんな感じです」

「…なるほどね~」

「ナナさんって、ドーラさんのこと好きだったんですね…」

「あわわ!あ、改めて言わないで!恥ずかしいから!」

恋バナは結構盛り上がった。

それも、お酒もないのにかなり泥酔したみたいになるまで。

ナナさんの敬語が崩れるの…初めて見た…

「さ!次はニナちゃんね!」

「ニナは何か恋バナあるんですか?」

「わ、私は…」

私は言葉に詰まってしまった。

「そもそも、ニナって好きな子とかいるんですか?」

「…たしかに…ニナちゃんって、あまり村の人と一緒にいないものね」

やめて……

探さないで…


「レオとかどうですか?」


「うぇ!?うちの息子!?」

………。

私は耐えきれなくなってしまった。

そして私は、いつもレオが座っている席を指差して、コクリと頷いた。

………。

………。

………。


「「えーーーー!!!?」」


2人は沈黙したあと、ぽかっと口を開けたままの顔を見合わせて驚いた。

「ニナってレオのこと好きなんですか!?」

「なんで!?そんな素振り、今までなかったじゃん!?」

「いや…その…」


「「どこが好きな…」」

「の!?」

「ですか!?」


かなり勢いのまま詰められた。


「その…好きなのかどうなのかと言われると…わからないんです」

「「え?」」

「もしかしたらこの感情は、親友だからなのかもしれない…けど…」

「けど?」

………。

「…レオくんを見てると…心が揺れるんです…そして…安心するんです…」

「「………。」」

「ずっと見てたいなって…思えちゃうんです…」

私は自分の気持ちをそのまま伝えた。

「ニナちゃん…」

「これは間違いないですね」

「…え?」

「ニナちゃん、それはね…」


「「恋だよ」」


…そうなんだ。

これ…恋なんだ…

その後、カレラさんは静かに微笑んで、

「もっと聞かせて?レオのこと…」

こうして、夜は更けていった。






話は冒頭へ。

そんなこんなで、私は密かにレオに想いを寄せていた。

しかしそんなことはもちろん、正体すらも明かすことはできない。

保護生徒という立場は、利点もある一方、私の足かせになってしまった。

けれど、諦めるつもりはない。

私は、レオが気づいてくれるように、努力することにした。



春になり、レオはこの保護生徒エリアにも来た。

「…では、皆さん各々研究を進めてください。何か聞きたいことがあれば、俺を部屋の前に呼んでください。こちらに近づいて何かアピールしてくれたら行きます」

そう言ってレオは講義室から出た。

…接触するなら今!

そう思い、私は後をつけた。


「あの…どうされました?」

少し歩いたところで、後ろの存在に気づいたレオに声をかけられた。


(…あ)


面と向かって顔を合わせた瞬間、私の顔が赤くなるのがわかった。

気まずいのだろうか?

照れているのだろうか?

…おそらく両方だ。

「………」

私が何もできないでいると、レオも黙ってしまった。


…もう…無理…


「…ハッ!!」


私はあまりの気まずさと恥ずかしさで、分身を解いてしまった。

「…何やってるんだ…私…」






翌日、私は思い切ってレオの部屋の前まで行った。

でも、ドアをノックする勇気が出なかった。


「どうされましたか?」


その時、後ろから声がした。

慌てて振り返ると、そこにはナナさんがいた。

懐かしい…

と感じた一方で、私はパニックになってしまい、

「え!?ま、待ってくださーい!?」

私は走って逃げてしまった。



そんなこんなで、レオが就任してから1週間がたった。

それは突然だった。

中庭で空を眺めていると。


ブンッ!


…え?

私は結界に囚われた。

なんで!?

誰か出して!!

私は必死に結界を叩いた。

するとすぐに結界が解けた。


(…あ)


そこにはレオがいた。

どうやら結界の主はレオらしい。

「君はたしか…初日に俺を追いかけてた」

あ、どうしよう…

どんな反応をすれば…


「君…もしかして『カナル』さん?」


え?

なんでレオが、私の偽名を知ってるんだ?

…じゃなくて!

ここは反応しなくちゃ!

私は慌てて首を縦に振った。

「君に結界魔術について教えてもらいたいんだけど、部屋の前まで…」

それはまだ心の準備が…!!

私は首を横に振った。

「さてどうするか…」

どうやらレオは結界について聞きたいらしい。

けど、今は会えない。

どうしたら…

…あ、そうだ。

レオは分身で喋れると聞いた。

なら、喋り方を教えてもらえばいいんだ!

私はレオの肩を叩いた。

「ん?どうした?」

そして私は自分の口を指さした。

お願い…!

伝わって…!


「喋り方を教えてってことか?」


そうだよ!

伝わった!

私は首を縦に振った。

「そうか…なら、2日に1回、昼過ぎに俺のところに来てくれ。そうしたら教えよう。その代わり、喋れるようになったら、俺に結界魔術について教えてくれ」

こうして私は、レオとの交流がスタートした。






その後のレオとの交流は多かった。

サークルに入り、一緒に分身の練習をして、研究して…

けれど、一向に正体には気づいてもらえなかった。

自分の種族を伝えようとしたけれど、うまくいかなかった。

面接の時も、最後の質問で「いつか、友達の役に立つため」と書いてみたけれど、伝わるわけがなかった。



そんな中、私に転機が訪れた。

それは冬のことだった。


「あー、あー、聞こえてますか?レオ先生?」


「聞こえたぞ〜。今『あー、あー、聞こえてますか?レオ先生?』って言ったな?」


私はついに、分身越しに喋れるようになったのだ。

純粋に嬉しかった。

これでやっと、ほんとうの意味で会話ができる。


「やった!ついに喋れる!やっと…やっと……」


私は思わず泣いてしまった。

「おいおい泣くにはまだ早いぞ〜。まだ他のやつと話してないんだから」


「はい…すみません…って、え?」

見ると、レオも泣いていた。


「レオ先生。なんで泣いてるんですか?」


「…わからん。多分俺も嬉しかったんだろう。なにせ1年の集大成みたいなもんだからな」


ついに喋れるようになった。

けれど、私は正体を明かさなかった。

保護生徒だからというのもある。

けれど、一番の理由としては…

…明かすのが、怖くなってしまったからだろう。






それから更に時が過ぎ、再び冬がやってきた。

レオの夜勤での会話なども得て、更に親しくなれた。

そして同時に、レオの目的が「私」であることも知った。

「ジルさん、お願いがあるの」

「なんですか?」

「今度、部屋にレオを呼んでもいい?」

「…もう、正体を明かす覚悟ができたんですね?」


…正直怖い。

私はこれまで、レオに嘘をついてきた。

立場上しょうがないとはいえ、嘘は嘘だ。

嫌われないだろうか?

軽蔑されないだろうか?

考えれば考えるほど、被害妄想が膨らむ。

その時、ジルさんは私を抱きしめ、こういった。


「あなたがやってきたことは、決して悪いことではありません。そして、レオリオスさんも、あなたのことを、「ニナ」も「カナル」も大事に思っています」


その言葉を聞いて、私はホッとしたのか、自然と涙が溢れた。

「だから、あなたは勇気を出して、悔いのない選択をしなさい」

「…はい」

こうして、私の情報公開の許可を得ることができた。






このあと私は、レオに師弟卒業を言い渡され、それと同時に、レオを部屋に招待することに成功した。

そして物語は戻り、私はレオと再会するのであった。


次回の更新は2/28(土)です

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