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4話 試験期間

真剣術、戯剣術、流剣術にはそれぞれ3つの奥義が存在する。

真剣術の奥義は『月光斬』『断地』『天地突き』である。


月光斬げっこうざん

前方に動きながら超速で刀を振る抜刀術。

命中率が非常に高い、スピード重視の技だ。

太刀筋が月を連想させたことが名前の由来である。


断地だんち

刀を振り下ろす、または振り上げる攻撃。

通常の剣術の3倍ほどの剣力をまとわせる。

更に、それを飛ばすことによって遠距離にいる敵をも斬る。

この技を作ったやつは、断地により大地を割ったとの逸話もある。


天地突き(てんちづき)

剣力を足に込め高く跳躍し、とんでもないスピードで上空から落下し敵を攻撃する突き技。

この世界の落下死の定番らしい。

落下の運動エネルギーと剣力で空中を蹴ることで成立してるらしい。



戯剣術の奥義は『蛇長斬』『龍剣昇』『周花』である。


蛇長斬じゃちょうざん

剣にまとわせた剣力にうねりを加えて攻撃する。

この技は他の剣技と併用して使う。

当たり判定がわかりづらいのがみそだ。


龍剣昇りゅうけんのぼり

飛ばした剣を龍のように動かす技。

剣力がそれを可能にするらしい。

やり方は影魔術の物体操作に近い。


周花しゅうか

相手を中心に高速で移動し続け、ひたすら切りつけていく。

その軌道はまるで花のようらしい。



流剣術の奥義は『放浪剣』『無刀』『界外剣』である。


放浪剣ほうろうけん

流れるように移動し相手に迫る型。

途中の攻撃は全て受け流すんだとか。


無刀むとう

抜刀術。

ただし高速。

抜刀が見えないらしい。

剣力が飛んできて突然胴体泣き別れだとか。


界外剣かいがいけん

これは流剣術の基盤であるカウンターの究極形だ。

視界に止めていない攻撃を剣術で捕捉し、剣力がほぼオートでカウンターするらしい。

勿論剣も使うらしいが。


この中から俺は『断地』『周花』『放浪剣』を学ぶことになった。






修行は過酷そのものだった。

まず剣術だ。

系統はわざとバラけさせられた。

そのほうが応用が効くらしい。

剣術は各剣術奥義をそれぞれ1つ使えれば上級、2つで特級、3つで王級、独自開発成功で神級になるらしい。

以前俺は真剣術を上級までマスターしたといったが、それはあくまで技の話であり。正式に名乗れるのはそれができてかららしい。

剣力は不安定。

足もまだ遅い。

規模も小さい。

形は少しずつできてきているようだがまだ先は長そうだ。



そして魔術だ。

「炎戒の龍」はとんでもない難易度だ。

これは特級魔術にあたるらしい。

形は安定せず、すぐ暴発する。

維持時間も1秒にも満たない。

そして一番の問題は、消費魔力量だ。

めっちゃ多い。

完壁にできるようになれば、模倣眼の力で効率の良い技にできるが、まだできてないからそれは無理だ。

1日10回が限界だ。

それでも一般人の2倍以上できているらしい。

これをひたすら反復練習だ。

…頑張ります。







月日は流れて半年。

俺は今日もナナ師匠にアドバイスをもらいながら「炎戒の龍」の練習をしている。

俺はもう4歳になった。

『まさか4歳児がこの技を練習しているとは世の中の人は想像つかないでしょうね』

いつもの念話だ。

『ナナ師匠はいつこの技を知ったんですか?』

『ダンジョンにメンバーで潜った時に、ダンジョンの守獣と戦いまして…その時に』

『やりたいとは思わなかったんですか?』

『私はその時からいくつかの特級魔術を使えましたから、あまり使いたいとは思いませんでしたね』

『なるほど…』

こんな話をしながら修行をしている。

そんな日々が続く。






2人とはこの1年で深い仲になった。

特にナナ師匠とは、ドーラ師匠のことや魔術のこと、歌の話なんかで夜に盛り上がった。

この世界にも音楽はあるらしい。

そして、ナナ師匠の昔話、いわゆる青春時代の思い出なんかも話してくれた。

「あまり聞いちゃだめかも知れないんですが、そういえばナナ師匠っておいくつなんですか?」

「全然気にしなくていいですよ〜。今年で25ですね」

最近になって、ナナ師匠はたまに俺に友人のように話しかけるようになった。

多分これが素なんだろう。

「ちなみにドーラは102ですね」

「102!?さすがですね。」

「……あ、そろそろいい時間ですね。じゃあまた明日」

「はい、おやすみなさい。」

何気ないこういうひと時が、俺は好きだ。






こうした日々を送り、さらに半年。

俺は剣術奥義3つのマスターに成功した。

突然だった。

3つの中で唯一出来が悪かった周花に対して、模倣眼の解析が完了したのだ。

いや、成功したと言うべきだな。

そして今日は剣術試験の日。

ドーラ師匠との実戦試験だ。

「レオ、これはお前の集大成だ。俺を殺すつもりでかかってこい」

「……はい!!」

「返事はよし、来い!」

その後、数秒の静寂が訪れる。

雪が屋根から落ちる音、家族の息の音、自分の心臓の音、そして、ナナ師匠の声が響く。


「はじめ!」


(放浪剣!)

俺は流れるようにドーラ師匠の懐に入った。

そして次の…


「…蛇長斬」


「!?」


俺はその流れのまま後ろに下がった。

見るとドーラ師匠は剣で薙ぎ払いをしていた。

周りの雪には不規則な形の剣の跡がある。

それも…3つ。


(あの一瞬で3撃!?)


(考えてる暇はない。攻めろ!)

俺は真剣術と戯剣術の初級、中級、一部上級の型を繋ぎ合わせて攻める。

ドーラ師匠は守りに徹する。

(この試験は奥義マスターの確かめだ)

(つまり急所は…)

俺はドーラの薙ぎ払いを受け止め飛ばされた。

それを利用する。


(周花!)


俺は着地とほぼ同時に足を剣力でまとい、最大スピードで縦横無尽に駆け回った。

ドーラ師匠に接近する都度に攻撃を入れていく。

ドーラ師匠は受け止め、流しを繰り返す。

「さあどうする?これでは俺を殺せんぞ」


(ここ!)


俺はその言葉の後、タイミングを見つけた。

ドーラ師匠の後方、少し離れた位置で動きを止めた。

ドーラ師匠は少し遅れて反応した。

目が合った。



(…断地!)



俺はドーラ師匠の態勢が整いきっていないタイミングで渾身の一撃を飛ばした。


キンッ!


ドーラ師匠の手から刀が消えた。

いや、宙を舞っていた。


ズボッ


剣は5メートルくらい離れたところに刺さった。

おそらくドーラ師匠ならすぐ取りに行き反撃するのは容易いだろう。

しかし何もせずこちらを見た。

「…見事だ。お前の全剣術上級取得を認める」

「…え?」

「良く…頑張ったな」

ドーラ師匠は微笑んだ。

とても優しい目をしていた。

俺の目からは自然と涙が出た。

「ありがとう…ございます」

「うむ、これからも励め」

こうして俺は、1つの課題が終わった。


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