53話 骨は影を貫く
「影分身!」
「敵襲か!?」
「あぁ!」
「俺達は何をすればいい?」
「3体は避難誘導!もう3体はついてこい!」
「「「「「「了解!」」」」」」
俺は分身に指示を出して、外に向かった。
敵襲。
俺の脳内には嫌な思い出が蘇る。
約9年前のエイサールの襲撃。
その日も雪が降っていた。
因果が巡っているようだ。
『影纏先生!?』
走っていると、ラーラが念話で話しかけてきた。
『私達はどうしたらいいですか!?』
『…俺の分身を1体向かわせる。そいつと一緒に避難誘導をしてくれ!』
『カナルや保護生徒は!?』
『残りの分身2体に任せる!気にせずにいけ!』
『けど…』
『俺を信じろ!』
不安になるのは分かる。
けれど、俺はコイツらも心配だ。
『いけ!!』
『…はい!』
こうして、影魔術研究会の生徒を避難させた。
走っていると、他の講師や学生も慌ただしく動いている。
俺はふと窓の外を見た。
「…!?」
敵だ。
それも大量に。
『ナナ師匠!!』
俺は念話でナナ師匠を呼んだ。
『聞こえてます!なんでしょう!?』
『学校全体を「内透結界」で囲んでください』
『無茶言いますね。わかりました!』
内透結界。
前に出てきた外透結界の逆。
外側からの干渉を防ぎ、内側からの干渉を通す。
これによって外側からの侵入を防ぐ一方、出たら戻れない。
「内透結界!」
学校内に声が響き、結界が張られた。
俺は外を目指していたが、それを確認してから、俺は理事長室に向かった。
「ジルさん!」
「レオリオスさん!ご無事でしたか!」
「はい、それより…」
「わかってます。お二人が作った時間をつかって、講師たちを配置します!」
「お願いします!」
「レオリオスさんは?」
「俺は今から学校のてっぺんに行きます」
「牽制ですか?」
「似たようなものです」
「わかりました」
俺はそれを伝えて上に向かった。
「影纏!」
向かってる最中、リューと遭遇した。
「この襲撃…何事だ!?」
「わからん。だがかなりの量だ」
「お前はどうする?」
「俺は学校のてっぺんから牽制する」
「わかった。じゃあ俺は下で敵を迎え撃つ」
「この学校で剣術と体術の二刀流はお前だけだ。頼りにしてるぞ」
「言われるまでもねーよ。お前も頼りにしてるぞ」
「あぁ!任せろ!」
学校の一番高い塔の上に着いた。
下を見ると、講師たちが配置につき、敵を迎え討っていた。
流石、ベテランの術師だ。
動きが早い。
しかしなぜ襲撃してきたのだろうか?
ここは世界でも有数のセキュリティと戦力がある。
あまりにも無謀すぎる。
…考えてもしょうがない。
「分身たち、行くぞ」
「「「了解」」」
俺と分身は塔を中心に四方を向き、杖を構えた。
「「「「炎戒の龍!」」」」
そして十八番の龍を放つ。
龍は結界を通り抜け、敵の団体に命中した。
よし…
「このまま行くぞ」
「了解」
もう一度杖を構えた。
「「「「炎戒の…」」」」
パリン!
俺達が再び魔術を出そうとした時、突然結界が崩壊した。
…何事だ?
なぜ結界が壊れた?
ナナ師匠がやられた?
いや、それはない。
ナナ師匠は今学校の中にいる。
やられるはずがない。
ということは…
力ずくで割られた?
そう考えていると、ふと結界の割れ方に目が止まった。
結界は上から崩れていっている。
上…だと…
上から!?
ドーーン!
俺は咄嗟にバックステップで避けた。
が、分身たちは反応できず、上からの”何か”に巻き込まれた。
そこには人がいた。
フードを被り、俺と同じか少し低いくらいの身長だ。
そして顔には白い面。
忘れもしない…鳥の面だ。
「ようやく会えましたな。今度こそ、お命頂戴いたします。レオリオス・パルト殿」
「ソオ…ラップ…」
ーナナ・リーフ視点ー
「皆さん!急いで室内運動場に逃げてください!」
「ナナさん!お兄ちゃんは!?」
「大丈夫です。彼ならきっと…」
なにが起きているのかがわからない。
襲撃が起きてから、頭が混乱している。
しかも今、結界が破られた。
おそらく地上では凄まじい戦いが起きている。
私はどうしたら…
「な、ナナさん…」
そう考えていると、ルカが震えながら私に呼びかけた。
「どうしましたか?」
「あ、あれ…」
ルカは震えながら指を指した。
その先には…
「…!?レオ!」
レオが…誰かと戦っていた。
そして、相手を見て私はゾッとした。
忘れもしない…あれは…
「ソオ・ラップ!」
「…待って!!ナナさん!!」
私はいつの間にか走り出していた。
「ですが…」
「お兄ちゃんなら大丈夫なんでしょ!!」
…私は自分で行ったことを思い出した。
そうだ。
私は自分の役目を果たさなくちゃいけないんだ。
ならやるべきことは…
「…わかりました。今は見守りましょう」
ーレオリオス・パルト視点ー
カン!
カン!
キン!
ボーン!
ガラガラ…
俺は戦っていた。
戦闘は久しぶりだ。
ましてやその相手が過去に敗北した敵だとは思わなかった。
ソオ・ラップ
「魔力被り」という魔術を剣に纏わせる魔術を使いながら剣術を使うのを得意としている。
その魔術は何重にも重なっていて、模倣眼でも見切れない。
さらにもう1つ。
「骨槍の体」という正体不明の技も使う。
攻撃を受けた感じだと…多分骨だ。
奴はおそらく骨を操れる。
それしか分かっていない。
この技はおそらくもっとある。
骨の攻撃がこれだけのはずがない。
「隙が見えますね」
「じゃあなぜ攻撃しない?」
俺は戦いながら会話をする。
状況を知るためだ。
「カウンターを警戒してるので」
「…お前…いつからここにいた?」
「4ヶ月ほど前から…骨の欠片で見てましたよ」
…キモいなこいつ。
俺とソオは剣と魔術をぶつけ合いながらだんだん下に降りていく。
まるで壁を走るように、落ちていきながら。
「なぜここを狙う?俺だけが目的なら、ここ以外にもあったはずだ?」
「他にも目的がありまして…」
目的だと?
「目が欲しいんですよ」
目だと?
…まさか。
「異能眼か?」
「いえ…もっと希少な…」
……。
「…エルフの眼を」
……舐めやがって…!
「させてたまるか!!」
俺とソオは研究エリアの屋根まで降りてきた。
やっと安定した場所まで来た。
下に行くと他の講師の邪魔になる。
ここでやるしかない。
「光襲の矢・雨!」
「炎頭」
魔術の撃ち合いが始まった。
そう思ったが。
「分身ですぞ」
「…!?」
ソオはいつの間にか俺の懐にいた。
「骨槍の体!」
「閃光移動!」
ズッ!
ソオの体から骨の槍が無数に生えてきた。
俺はそれを後ろに下がって回避した。
「なるほど。2度は受けませんか」
当たってたまるか。
ここでダウンしたらもう終わりだ。
「なら…はじめから本気で…」
そう言うと、ソオはローブを脱ぎ去り、中の服も脱いだ。
…何をする気だ?
そうすると、その年からは考えられない力がこもり、血管が浮き上がり、力み始めたのがわかった。
…なんだ?
「骨媒創造!」
ズッ!
「…嘘だろ?」
ソオが術を発動すると、ソオの背中から6本…いや、8本の骨が生えてきた。
そして、その骨にまとわりつくように筋肉ができていく。
間違いない。
腕だ。
ソオの腕は2本から10本になった。
「骨剣」
さらに奴は4本の骨の剣を作り、それを握った。
「さあ…第2ラウンドです」
こんなのただの…
「いざ…」
「怪物じゃねーか!!」
「参る!」
ソオは猛スピードでこちらに突っ込んできた。
「…っ!炎戒の龍!」
俺は龍を放った。
が、それを4本の腕で弾いていく。
「効きませんな」
「化物が…」
「魔力の嵐」
ソオの剣の一振り…いや、五振りは大量に纏っていた魔術を巻き上げ、俺を打ち上げた。
「クソ…体が痺れて…」
「取りましたな」
クソ…体制が直らない…!
「骨人の一槍」
その瞬間。
俺の体に骨の剣が向けられ、突っ込んできた。
俺は死を覚悟した。
せめて反撃を…
俺は剣に剣力を込めて、飛ばそうと構えた。
俺に剣が刺さるのと同時に…こいつに攻撃を…
キンッ!!
「「…!?」」
俺とソオの攻撃は間で止まった。
これは…結界?
誰だ?
ナナ師匠の結界か?
「レオ先生!!」
俺は声の方向を振り返った。
そこにいたのは…
…カナルの分身だった。
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