51話 競争心は熱く燃える
新学期を迎えて4ヶ月がたった。
今日の学校は色んな意味で暑い。
気温もそうだがそれ以上に…
学校にあふれる熱気が暑すぎる。
「絶対勝つぞ!」
「「「「「おぉーーー!!!」」」」」
今日は学校内対抗があるらしい。
実はこれは去年はなかった。
なぜ今年はあるのか?
それは2ヶ月前に遡る。
「では、本日の会議内容を発表します」
2ヶ月前のある日。
特別講師も含めた学校の講師が全員集められた。
「議題は『今年のイベントは何をやる?』です」
…一瞬戸惑ったが、実はこれは事前に知っていた。
随分前に、「この学校では毎年内容が違うイベントが開かれるんです」ということをナナ師匠から聞いていた。
これか…とこの時思った。
「では、意見を出していきましょう。何かありますか?」
こうして会議は始まった。
「食事会なんてどうでしょう?」
「それは確か…4年前にやりましたね」
「じゃあダメか…」
このイベントには特に縛りはないが、1つだけルールがある。
それは「同じイベントは5年間やってはいけない」というものだ。
その後も案は出るが、「需要が低い」「昔やったが批判された」などでことごとく却下された。
「レオリオス先生。何かありますか?」
…なんだろうな。
学校らしいイベントがいいな…
前世でなにかあったっけ?
………。
…あ。
「学級対抗」
「「「「「え???」」」」」
というわけで実現したのがこの「学校内対抗」である。
内容としては、サークルメンバーが他サークルと戦い、勝ち点の合計を競うものだ。
タイトルを変えるとしたら「サークル対抗戦」だな。
さらにこの対抗戦、講師同士もやるらしい。
結構な規模になりそうだが、開催期間は1日。
この間に獲得できた勝ち点で競う。
ポイントは、勝つと2点で負けると−1点らしい。
参加チームは各サークルと無所属A〜Dの4チームらしい。
形式は個人戦。
魔術、剣術、体術なんでも大丈夫らしい。
「それでは皆さん。準備はいいですか?」
校内に放送が流れ出した。
そして、
「それでは『学校内対抗』、スタートです!!」
ドーン!
狼煙が上がり、イベントは始まった。
早速会場に行ってみよう。
室内運動場に来た。
今回の会場はここと中庭、学校周辺の広場の数カ所だ。
カン!
キン!
ドーン!
会場ではもうイベントが始まっていた。
…流石だな。
実力者だらけだ。
そう思っていると、
「おい、来たぞ!」
「影魔術研究会だ!」
どこかのサークルにマークされた。
「影魔術研究会よ。我ら光魔術研究会と勝負だ!」
ワオ…
まさかの反対属性がきた。
「…やるか?」
「ま、新人に先輩の実力見せたいし、やりますか」
お、やる気満々やん。
「じゃあ俺は止めないからやってこい」
「誰が行く?」
「先生選んで」
…誰にしようか。
「光魔術研究会の方?そちらは何人出しますか?」
「4人だ!」
4人か…
じゃあ…
「モラ、エル、ライナ、カナル。行って来い」
「「「「はい!」」」」
このサークルだと上位の実力者だ。
ラーラはどちらかと言うとサポーターだし。
フェイは…会場を壊しかねないからパス。
「じゃあ、俺はちょっと他の会場見てくるから、やっててくれ」
「「「「は〜い!」」」」
「影纏め…舐めやがって…」
こうやって闘争心を煽っておくのも戦略のうちだし、結果を待とう。
全会場をあらかた回ったので、俺はみんなの元へ戻った。
「んで、どんな感じだ?ラーラ」
「3戦全勝で、今カナルさんが始まります」
…まさかの快勝。
やっぱスゲーなあいつら。
「はじめ!」
おっと。
そう思っていると、カナルの試合が始まった。
「光源隕石!」
お、特級魔術じゃん。
さて、カナルはどうする?
「反射結界・倍」
キン!
結界に当たった隕石は大きさを増して、術者に帰っていった。
「へ?」
ピカーーーン!
凄まじい光が術者に命中し、術者は壁に吹っ飛んでいた。
そういえばこの技、音ないんだったな。
カナルが発動したのは「反射結界・倍」。
「反射結界」という特級結界の派生技であり、推定王級の試作魔術だ。
結界に当たった技を、結界が破られない限り2倍にして返す。
…凄まじいな。
「勝者、カナル!」
これで影魔術研究会4勝である。
「く…くそ…」
悪いな。
こっちはジルさんの依頼とかで実戦経験豊富なんだ。
「んじゃ、移動するか」
俺達は移動しようとした。
「か〜げ〜ま〜と〜…」
すると、どこからか声がした。
この声は…まさか…
「いー!!!」
「リ、リュー…」
「この時を待ってたぜ!」
出てきたのは「逆手のリュー・ダリウス」だった。
…まあ予想はしてたが……
「…最近やってないしな……」
俺も実は久しぶりにやりたかった。
「やるか!久しぶりに」
「あぁ!いつも通り…」
「「混術決闘!」」
「「「「「おぉーーー!!!」」」」」
混術決闘。
説明は省こう。
いわば近距離戦闘だ。
「それでは、『逆手のリュー・ダリウス』対『影纏のレオリオス・パルト』…はじめ!」
「二流流し(ツインフロー)!」
「影の領域!」
こうして、2時間の戦いが始まるのだった。
2時間後…
「断地!」
「界外剣!」
「え!?しまっ…」
キン!
俺の攻撃はリューの剣を弾いた。
「そこまで!勝者『影纏のレオリオス・パルト』!」
「「「「「おぉーーー!!!」」」」」
今回は俺の勝ちだ。
「これで同点だな」
「まじかよ…次は勝つからな」
「負けるかよ」
俺達は握手して試合を終えた。
「先生、楽しそうですね」
「そうか?」
「ニヤケ顔ですよ」
「カナルとモラもニヤけてるぞ」
「「え!?」」
和やかな会話をしながら、俺達は次の会場に向かった。
「それでは…結果発表に移りましょう!」
気づけば日が落ち始めていた。
俺達は俺の1敗を除いてほぼ無敗だった。
「まさか先生が…」って言われたが…
しょうがないじゃん。
混合魔術研究会の先生、強すぎるんだもん。
けどまあ、全体で20戦くらいして失点1。
これはいけただろう。
「時間も時間なので、1位のみ発表して、あとは掲示します」
く、来る。
「今回の1位は…」
ゴクリ…
「影魔術研究会!34ポイントです!」
「「「「「「やったーー!…ん?」」」」」」
1位だったが…なんだ?
ポイントおかしくね?
失点は1のはず。
39ポイントじゃないのか?
2位と2ポイント差になっている。
「あ、1位だった。寝ぼけて負けたからどうしようかと思ったけどよかった〜」
後ろから声がした。
この声…間違いない。
「…フェイ?」
「は、はい?」
「お前…どこに行ってたかと思えば…」
「あ、先生怒ってる」
「やっちゃったねフェイ」
「ご武運を」
「許可なしに動いて負けたはやばいよフェイさん」
「み、みんな…助け…」
このあと、会場は一瞬影につつまれ、2人ほど姿を消したのだった。




