49話 サークル本格始動
新学期を迎えて1週間ほどが経過した。
今日はこのサークルにとって今年度最初の大仕事である。
「これより、サークル紹介の会を開催します」
そう。
サークル紹介である。
去年は設立したてということもあり、俺が宣伝やら面接やらをして集めたが、今年は少し違う。
この場所で宣伝をして新メンバーを集める。
…面接の有無はまだわからんが……
それはさておき、まずは宣伝だ。
面接は後で考えよう。
「続いて、『影魔術研究会』の皆さん、お願いします」
俺達の番になった。
「『影魔術研究会』って、レオリオスさんが担当しているやつだよな?」
「このサークル紹介がすごく楽しみだった」
「どんなサークルなんだろう?」
このサークルの噂はかなり広がっているようだ。
…嫌だな〜
こういうやつ緊張するんだよな〜…
「え〜新入生の皆様、こんにちは。わたしたちは影魔術研究会です」
と、エルが紹介を始めた。
今回は生徒中心にサークル紹介を進めていく。
まあ、当然っちゃ当然なんだが…この学校、そういった概念があんまりない。
なんだったら講師が紹介するサークルもあった。
だが、それとこれとは話が別だ。
この場は宣伝であり、今のサークルメンバーの実力の証明の場でもあると俺は考えている。
なので、今回俺はこのサークル紹介の内容を一切聞いていない。
すべてみんなのオリジナルである。
「…とまあ、このような活動や研究をしています」
そう考えていると軽い解説が終わった。
時間的には1分ほどだ。
あと2〜3分くらい余っている。
さて、どうする?
「聞いただけじゃわからないでしょう。では、ここからは実演しましょう」
「「「「「「おぉ!」」」」」」
おぉ!
実演を入れてきたか。
…けど何を実演するんだ?
そう思っていると、会場の中央にモラ、エル、ラーラが集まった。
そして、カナルが新入生に結界を張った。
何をする気なんだ?
そう思っていると、中央の3人が魔術を発動した。
「「「影の領域!」」」
すると、3人を中心に影が広がっていく。
それは、俺には見覚えのある術だった。
影の領域。
俺の代名詞とも言える術だ。
これを3人で発動している。
すごい。
1年で3人がかりとはいえ、神級魔術を習得するなんて。
興奮しているのは会場の新入生も同じだった。
「私達は3人がかりではありますが、このようにあの影纏さんの『影の領域』も習得できました」
「皆さんも研究と研鑽を積めば、きっとできるようになれます」
「僕達と一緒に研究しましょう!」
パチパチパチ!
会場全体に拍手が響き渡る。
よし。
宣伝は完璧だな。
「最後に、この場で一番目を見開いていた影纏先生。皆さんに一言いいですか?」
…え?
お、俺?
………。
…あいつら、これも計画通りなのか……
これは某ノートの夜◯くんもにっこりだ。
俺は仕方なく壇上に上がった。
「え〜皆様。本日の紹介は楽しんでもらえましたか?もし興味があれば、僕らのラボもできてください。それでは…」
そう言って俺は魔術を発動する。
「さようなら。『影箱』」
魔術を発動すると、影が箱状になりサークルメンバーと俺を囲む。
そして、
「閃光移動」
俺は箱ごと閃光移動で消えた。
会場はざわついていたのは聞こえたが、あとは知らない。
もう会場からはいなくなっていたから。
「先生!?今のなんですか!?」
ラボに戻ると、食い気味にラーラとカナルが聞いてきた。
「『影箱』か?あれは結界研究のときにできた副産物だよ。囲んだ相手を自身の魔術の対象に変える術だ」
この魔術、実はとんでもないことを言っている。
言ってしまえば簡易的な「影の領域」なのである。
位としては特級か王級あたりだろう。
「さて、次はラボで待機だ。新入生を待つぞ」
「…先生」
と思っていたら、トイレに行っていたエルが青ざめて帰ってきた。
「どうした、エル?」
「廊下が…」
「……まさか」
そのまさかである。
廊下を見て俺も青ざめた。
待て待て…
サークル紹介が終わってから1時間しか経ってないぞ!?
そこにはまたもや長蛇の列である。
「またかよぉぉぉぉ!!!」
また面接の始まりである。
面接には新入生の他にも2〜6年のやつもいた。
おそらく去年のリベンジだろう。
まあいいだろう。
問題は数だ。
その数のべ200人。
募集は再び6人にした。
3/100か…
これはまた大変だ…
「よし、お前ら。ここにいる全員と俺の分身で面接するぞ」
「となると総人数は?」
「12人だな」
「去年と同じく1人5分と考えると…」
「だいたい85分です」
「よし…やるぞお前ら」
「「「「「はい!」」」」」
…てかフェイはまたバックレやがったか。
あとでしばこう。
「最初の方どうぞ〜」
「次の方はこちらへ!」
「次の…」
とまあ、こんな感じで黙々と作業した。
そして流れるまま終わった。
*ここからはしばらく会話のみをお楽しみください
「さて、集計するぞ!」
「どうやって決めるんですか?」
「全員『こいつは良かった』って思ったやつを挙げてけ。そいつを調べて最終判断する」
「わかりました」
「…出しました!」
「ざっとこんな感じです」
「候補は36人か…」
「1人ずつ調べましょう!」
「…すごい、この人神級だ!」
「年齢は判断基準にしますか?」
「それは考えなくていい」
「剣術使いと体術使いは入れますか?」
「そういえばこのサークルにいませんね」
「入れてもいいかもな」
「種族ってバラつかせるんですか?」
「あ〜…今回は考えなくていい」
「影魔術特級を発見しました!」
「いいじゃんそれ!採用じゃない?」
「他の情報も見え決めろ」
「「は〜い」」
「先生!サークルクラッシャーがいます!」
「「「「「即刻除外!」」」」」
「なんでまたいるんだよ!?」
「え!?去年もいたんですか!?」
「いたいた」
「…お疲れ様で〜す」
「………」
「え?どういう感じなんですか?」
「…フェイ……」
「皆さん…やってしまいなさい」
「「「「「はい、先生…」」」」」
「待て待て!?俺に何しようってんだ!?」
「「「「「許さない!!」」」」」
「ぎゃーーーーー!!」
翌日。
新メンバーが決まり、新体制が完成した。
今日から早速活動開始である。
「さて…全員集まったな」
「先生!フェイさんっていないんですか?」
「あ〜大丈夫。アイツは昨日から研究室にいるから気にするな」
フェイの分身は1週間研究室生活となった。
これで頼むからこりてくれ。
「うし!今日からバリバリ活動するぞ!」
「「「「「「「「「「「はい」」」」」」」」」」」
目指すは次のサークル研究発表会上位。
新体制が一体どうなるか楽しみだ。




