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影を纏う転生者 〜平凡な高校生の異世界人生録〜  作者: 仮想猫
影纏の術師編 〜ドラマルト〜
52/65

48話 新学期

季節は移り春となった。

今日から新学期だ。

といっても、俺がやることは基本変わらない。

午前は講義をして、昼を食べたらサークル活動。

その後に個人の剣術と魔術の研究をして、残りを家族たちと過ごす。

このサイクルは変わらない。

のだが……


「あ!あれって!?」


それは廊下を歩いているときだ。

その瞬間はやってくる。


「「「「「「影纏さーーん!!」」」」」」


「やべっ!?」


新入生が入ってきたことにより、俺は毎日追い回される。

家族探しのために、「影纏のレオリオス・パルト」の名前を広めようとはしていたが、少々拡散しすぎてしまったようだ。

「影魔術のプロ」みたいに認識した人たちが、俺を見るなり走ってくる。

確かに影魔術については誰よりも研究したつもりだ。

だが「なにか教えて?」と言われてもほぼほぼ今は感覚で術を使ってるからできない!

だから逃げる。

前世の異世界者だったら、これに浮かれる主人公や、ものともしない主人公が王道だろ。

俺は違う。

俺はこんな状況、ごめんだ!

「あれ?どこいった?」

俺はこういう時、ラボに逃げるようにしている。

ラボの入口は魔術で開閉する壁だ。

一見するとただの廊下の一部だ。

ラボの場所をまだ把握していない1年生には見つけられまい。

「サークル紹介の日までしか使えませんよ。それ」

「それまでは使わせてもらうさ。それと、勝手に脳内の独り言を聞くな。ラーラ」

ラボにはだいたいラーラとエルがいつもいて、その他もちょくちょくきてる感じだ。

あと、カナルも毎日のように通っている。

基本は女性陣3人がラボにいる感じだ。

…男どもは何してるんだ?

と思っていたが、


ドーーン!


中庭から爆発音がした。


「またか…」


「またですか…」


「またなんだ…」


「相変わらず焦げ臭いにゃ」


「「「にゃ?」」」


「あ、また口が滑っちゃった」


俺達は中庭に行く。

中庭にはぼろぼろになったモラとライナがいた。

「2人とも、実験はラボでやれって言ってんだろ?」

「閉鎖空間が苦手なんですよ」

「あと、でかいことやるとラボ爆発しちまうぜ?」

「常時結界張ってんだから大丈夫だろ」

「「あ、そっか」」

「ここ壊したら、弁償は俺なんだから勘弁してくれ」

「「はい…」」

とまあ、日常はこんな感じだ。


…ん?

誰か忘れてるような…

「おい。フェイはどうした?」

「フェイなら『動物が騒いでる!』って言って、どっか行きました」

「あいつ…レポート出さずに…」

「あ、影纏先生がキレてる!」

「珍しい。さすがこのサークル一番の問題児」

「…カナル…学校を結界で囲めるか?」

「いつも通りですね。わかりました」

なれた手つきでカナルは結界を張った。

「逃がすな、お前ら」

「「「「「はい。先生」」」」」

このあとフェイがどうなったかは、言わなくてもいいだろう。

証言によると、結界が張られたと思ったら、校舎内から男の悲鳴が響いたのを聞いたらしい。

別の証言によると、悲鳴の前に一瞬だけ辺りが暗くなったんだとか。

これは後に、「この学校名物の暗転心霊現象」と言われるようになったんだとか。






「レオの仕事は順調なようですね。研究の方は?」

「まだまだです。結界の研究は多少進んだのですが…」

とある夜、俺は家族で飯を食っていた。

「カナルさんが話せるようになったので『禁忌の結界』の研究を再開してんでしたっけ?」

「はい。今は神級結界について学んでいます」

「進捗の方は?」

「2割くらいですかね?」

「レオさんの研究…楽しみです」

「なんでルカが乗り気なんだ?」

「なんとなくです」

なんとなくか…

それは果たして当たるのか否か…

「そういえばカオル。体術はどうなった?」

「とりあえず衝術の奥義1つと、他の体術の上級までは覚えたよ」

「…お前、そっちの才能のほうがあったか?」

「けど魔術好きだしな〜」

「なんだったら、三刀流ってのもありますね」

「魔術と剣術と体術全部使えるっていう人、あまり見たことないんですが、いるんですか?」

「いるにはいますね」

「じゃあ僕は三刀流を目指そうかな」

ここ最近はあまりカオルとルカのことを見れてなかったが、それぞれの気になることややりたいことがあるようでよかった。

…ん?

「ルカはやりたいこととかないのか?」

「私…ですか?」

そう聞くとルカは少し考え込んだ。

「じゃあ…」

「なんだ?言ってみろ」


「レオさんとナナさんの助手になりたいです」


…ん?


「「え?」」


突然の申し出に、俺とナナ師匠は固まってしまった。

助手?

手伝いってこと?

それとも他にも何か意味が?

「つまり…私たちの研究や活動を手伝いたいということですか?」

「はい!そうです」

ナナ師匠が尋ねてくれた。

なるほど…


…なぜ?


「どうしてルカは手伝いたいんだ?」

「単純に興味があるんです」

「何に?」

「助手という役目に」

…え?そういうこと?

手伝いがしたいんじゃなくて、「手伝い」という名目に興味があるってこと?

「まあ、俺はいいよ」

「私も構いませんよ」

というわけで、小さいが凄腕の助手の誕生である。






そして翌日、ラボにて。

「ルカ、全員分のお茶を淹れてくれ」

「は〜い」

早速ルカはラボで助手を始めた。

「影纏先生、あの子が前に言ってた?」

「あぁ、三眼族のルカだ」

「純血は初めて見ました」

「混血は…まあ、気にしないでおこう」

「「はい」」

こうして、新体制として新たに活動を始めるのであった。


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