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影を纏う転生者 〜平凡な高校生の異世界人生録〜  作者: 仮想猫
影纏の術師編 〜ドラマルト〜
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43話 この学校に日本食を

この国に来て3ヶ月。

今日、俺は食堂にいた。

実は講師生活3ヶ月にして1度もきたことがなかった。

学食は思ったより小さかった。

どうやら種族の関係上、来る人が少ないんだとか。

だが、やはりこの世界の飯は味付けがない。

調味料という概念がとてつもないほど小さいのかを実感させられる。

白米はあるが、前世のものよりもかなり味が薄い。

…しょうがない。

俺は懐から味噌の瓶を出し、白米の上に味噌を乗せる。

………。


…あ。


ジャイフの件…忘れてた…






「前世の食事…ですか」

俺は昼食後、急いで理事長室に向かった。

理事長には講師就任時に「自分は転生者である」ということは伝えていたので、そこら辺についてはすぐ納得してくれた。

ただ、問題が1つ。

前世の食事についてはこの世界の食文化とは根本的に違うため、どういうものかが理解できないらしい。

「…まあ、それはいいでしょう」

あ…

無理やり完結させたようだ。

「それを、食堂に設置したいんですね?」

「はい…可能でしょうか?」

「もちろん可能です。ですが…」

「ですが?」

「それが果たして受け入れられるのか…」

「やっぱりそうですよね…」

…どうしようか。

「…試しに…うちのサークルに試験的に提供してみますか?」

「え?あ!なるほど!それなら感想等が把握できますね」

「では早速行ってきます」






というわけで、第1回影魔術研究会グルメ審査会のスタートである。

カナルは申し訳ないが、今回は欠場だ。

すまん。

分身は食事できないんだ。

フェイに関しては…


「あ、どうも」


ラボまで来やがった。

こいつもう、保護される意味ないだろ。

「影纏先生。今日は食事会をすると聞いたのですが、どんな料理なんですか?」

「まあ、簡単に言えば…俺の前世の飯だな」

「前世って、前に先生が話してた?」

「そうだな」

「クンクン…匂いが強いですね」

「さすが獣族…匂い判断ですか…」

「けど私、そんなにこの匂い嫌いじゃないですよ?」

「…ー・ーー…ー」

「ライナ、龍神語で喋るな」

「あ、すみませ〜ん」

このサークルの雰囲気はと言うと…まあ、いい感じだ。

全員親しみやすく接しているため、交流も盛んだ。

他のサークルを見ても、結構仲のいいサークルだと思っている。

前世のことについては、全員の採用が決定した段階で話していた。

まあ、禁忌じゃないなら隠す理由もないしな。

カオルは分身の曖昧な表情でも分かるくらい露骨に驚いていた。

クソッ…

声があったらだいぶ面白かったのに…


「はい、できたぞ」


「「「「「おぉ〜〜〜〜」」」」」


今回出したのは味噌汁だ。

具材はこの世界のもので補った。

「ただのスープだと思って飲んでくれ」


「「「「「いただきまーす」」」」」


全員が一口飲んだ。


「「「「「…!?」」」」」


全員静止した。


…え?


まずかったのか?


「先生。なんですかこの味!?」


「すごく美味しいです」


「こんな濃い味初めて食べました!」


「これ本当にスープなんですか!?」


「舌が熱い…」

あ、1名猫舌でダウンである。

さすがエル…いや獣族…いや、猫系の獣族である。

エルは走って水を取りに行った。

「魔術で出してやるぞ〜」

「んにゃ!?」

あ、語尾に「にゃ」ってつくんだこいつ。

ここ1ヶ月そんなことなかったのに。

相当、熱いものが苦手らしい。


トントン…


そんな事を考えていると、カナルが俺の肩を叩いてきた。

「………」

「………」

なるほど。

相当羨ましいようだ。

そんなこともあろうと…


「カナル。廊下見てみろ」


「え?」という顔をして、分身が静止した。

分身って、操作だけ切り離すとこうなるんだ。

だが、すぐに分身の顔が驚いた顔になった。

実は、今作った味噌汁を分身に届けさせていたのだ。

まあ、置き配のような感じだが…

接触禁止だからな。

これしかできん。

その後カナルは満足したように席につくのであった。

「…と、ここで相談なんだが……」

「なんですか?影纏先生?」

「こういった前世の料理を食堂に置きたいと思っているのだが、どう思う?」

「え!めっちゃいいじゃないですか!」

「やりましょう!私達も協力します!」

「わばしぼでづだいばす!」

「エル…まずお前は舌を冷やせ」

「ばい!」

よし、じゃあ決定だな。

早速ジルさんに報告しよう。



その日の夜。

俺はジャイフあてに手紙を書いた。

文章の紹介は省くが、学校に設置可能ということを伝えた。

これでいつ来ることやら。






ジャイフの一行が到着したのは1週間後だった。

「は、早かったな…」

「はい…急ぎ…ました…ので…」

にしても早すぎだろ。

なに?

車でも作ったのか?

流石にそんなことはなかったようだが…

「で!職場はどこです!?」

「え?ここ」


「「「「え!?」」」」


「え?だからここが学校」

ジャイフの4人は学校を見上げた。


「「「「デッカァァァァァァ!!!」」」」


ははは、さすがジャパニーズ。

反応も実にビックだ。

…何いってんだ、俺?

「とりあえず、理事長室に案内する」






「わかりました。設置を許可します」

理事長はにこやかに許可してくれた。

「じゃあ、食堂に行こう」

俺達は食堂に向かった。

まだお昼ではないので、食堂は空いていた。

「さて…じゃあ早速始めますか」

「「「了解!」」」

「一応、俺のサークルの奴らが情報を流してくれたっぽいから何人かは来ると思う」

「わかりました。じゃあ私達は準備を始めます」

俺は一旦ラボに戻った。



数時間後。

お昼だ。

俺は食堂に行った。


「ま…マジか…」


そこにはまたまた長蛇の列。

あれ?

これ…俺の面接の時みたいだ。

「あ!レオリオスさん!ご無沙汰してます!」

「調子良さそうだね…」

「はい!呼び込みしてくれたおかげで、『試しに一品』というのが多くて、大盛況です」

「なら良かった。これからも頑張れよ」

「はい!」

こうして、日本食を広める活動は学校内にまたたくまに広がった。



そして1週間後、衝撃的なことが起きた。

「食堂使用率が平均の3倍!?」

「はい、これは学校に食堂ができて以来です」

理事長との雑談で、食堂の使用率が食堂開設時並まで跳ね上がったのだ。

…これはしばらく、日本食ブームが来そうだ。

ジャイフの人〜、頑張れ。


次回の更新は1/17(土)です

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