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影を纏う転生者 〜平凡な高校生の異世界人生録〜  作者: 仮想猫
影纏の術師編 〜ドラマルト〜
43/50

39話 講義の時間

就任の儀から1日がたった。

今日から本格的に仕事が始まる。

主な仕事としては、高等魔術のコツや構造の解説、リューと合同で剣術の指導、模擬戦の監督と実演、保護生徒の研究サポートだ。

「では、これから講義を始めます」

最初は高等魔術の講義だ。

さて…

…んで、どうしようか。

実はこの学校の講義には必修科目や教材等といったものがない。

講義はすべて担当の講師次第だ。

さらに、特別講師は自分の専門分野や得意分野を教えるのだが…

果たしてそれを押し付けていいのだろうか…


「皆さんにお聞きしたいんですが…皆さんって俺の講義で何を学びたいですか?」


「「「「「え?」」」」」


わからないなら聞くしか無い。

俺は試しに聞いてみた。

………。

………。

………。


「…プッハハハハハ!」


1人の女子生徒が笑い出した。

「ど、どうした?」

「だって、そんなこと聞く特別講師、影纏先生しか見たこと無いんですもん」

そ、そうなのか。

「ハハ…ハァ…みんな、何やりたいとかある?先生にお願いしてみよ?」

その女子生徒は笑い終わったあと、全員に呼びかけた。

そうすると、


「俺…影纏先生の影魔術学びたいです」


「私も…影魔術教えてほしいです」


「僕は昨日の火魔術学びたいです」


「あの高速移動はどうやったんですか?」


講義室内から様々な要望が飛んできてくれた。

…よし。

「じゃあ、今日は影魔術について教えよう」

「「「「「はい!」」」」」






「つまり、影魔術は他の魔術とは完全には混ざらないんですか!?」

あのあと、講義はかなり盛り上がったものになった。

全員が自由に質問できる空間ができていた。

「そうだな。光と影は混合魔術において、魔術を形作ったり、サポートをしたりはするが、他の魔術と混ざり性質を変えるというのはほぼ無い」

「ほぼってことは、例外はあるんですか?」

「あくまで仮説だが、光と影は可能なんじゃないかと考えている」

「そうなんですか?」

「あぁ。それに関しては…」


カーン、カーン…


「あ、時間です先生」

「そうか、じゃあ今日はここで終わりだ」

「「「「「ありがとうございました!」」」」」

こうして、次の場所に向かう。






「違う!もっとこうな…」

次は剣術の指導だ。

これはリューと合同で行っている。

…のだが。

「リュー。お前感覚派だろ?」

「え?そうだが?」

「説明全部感覚的過ぎて伝わってないぞ」

「な!?そんな馬鹿な!?お前だって、前は『分かる』って言ってたじゃねーか」

「俺も感覚派だからな」

「じゃあなんでお前のほうが人が多いんんだ」

周りを見てみると、俺のまわりに多くの生徒が集まっていた。

「俺にはこれがあるからな」

と言って俺は模倣眼を指さした。

「ズルすぎだろそれ!」

「生まれつきだし、しょうがないだろ」

こういった会話は久しぶりだ。

ファジサイトでの生活を思い出させる。

「影纏先生。無刀ってどういうふうにやるんですか?」

「無刀か…俺はできないんだよな…リューに聞いてくれ」

「はい…」

「今度こそちゃんと教えろよ」

「そう言われてもな…」

「ハァ…これ持っとけ」

そう言って俺は懐から紙の束を出した。

「なんだコレ?」

「剣術の構造とコツをメモったやつだ。奥義も書いてるから見て教えろ」

「どれどれ…って!何だこの量は〜!?」

そうなるよな。

あの紙には、絵も含めてとんでもない量の情報を書き込んでるからな。

解読がんばれー。

「よし!他に何か聞きたいやついるかー!」

こんな感じで剣術の指導をしていくのであった。






次は模擬戦の監督だ。

「はじめ!」

俺の始めの合図で全員が模擬戦を始める。

辺りから魔術やら剣術やらの音が聞こえてくる。

なんか…戦争の現場に来た気分だ。

実はこの業務、本来は監督に講師は必要ないらしい。

しかし、格子を設けているのには理由がある。

それは…


カーン!!


「あ!?」

「まずっ…!?」


ドーーン!!!


………。

………。

「大丈夫か?」

「はい…ありがとうございます。影纏先生」

この模擬戦は全力に近い戦いをしたり、研究と開発をしている魔術のお試しなんかでも使われたりする。

となると起こることがある。

技の暴走だ。

講師はそれによる死者を出さないように監督を務めている。

まあ、「研究メイン」の学校だから、そういったトラブルはつきものだ。

だが、死なれたら困る。

どうか、失敗が続かないことを祈るばかりだ。






それが終われば保護生徒エリアの見回りに移る。

この仕事が一番楽だ。

何事もなければただの見回りだからな。

だが…

…分身、多くね?

なんか注目の的になってるんだが。

落ち着かないな…


トントン


そう考えていると、一体の分身が俺の肩を叩いてきた。

「ん?どうした?」

そう聞くと、分身は「ついてこい」と言わんが如く俺に手でサインをおくってくる。

俺は指示通りについていく。

そしてドアの前につく。

「どうした?」

俺は軽くノックをして問う。

「すみません影纏先生。影魔術の研究をしているんですが、形が保てなくて…」

「…入っていいか?」

「はい。どうぞ」

中に入ると、そこには男子学生がいた。

年齢は8歳くらいに見える。

そして…耳が長い。

…なるほど。

「純血エルフですか」

「はい。それで商人に狙われてしまい、ここにいます」

まあ、こういった事情の人がここにはゴロゴロいるんだろう。

気にしないでおこう。

「んで?影の形がたもてないって?」

「はい。実は…」

そう言って彼は魔術を発動した。

そして、影で剣を作った。

が、すぐ崩れた。

「影で物を作るってことか?」

「はい。これができなくて」

「なら、光魔術を使ってみるといい」

「光…ですか?」

「ああ」

そう言って俺は小さな「炎戒の龍」を出した。

「俺はこの魔術の形を光で保っている」

「え!?どうやって?」

「光を作りたいものの形にかたどって、結界魔術の容量で魔力を囲むんだ」

「なるほど…やってみます!」

こんな感じの活動を続ける。

まあ言わばお助けお兄さんだな。






「ハァ…疲れた」

業務を終えて、俺は自室に行った。

ここからは自分の時間だ。

研究としては、残りの剣術の奥義習得と新たな魔術開発をするつもりだ。

魔術開発は今のところネタが無い。

これから考えることにしよう。


コンコン…


考え込んでいると、部屋の中にある扉がノックされた。

入口の扉じゃない。

部屋の横にある扉だ。

その扉の先は隣の部屋だ。

『レオ。入りますよ』

念話が飛んでくる。

『どうぞー』

俺とナナ師匠達の部屋は隣接し、つながっている。

理事長であるジル・エンターさんのはからいである。

なのでここは自分の部屋というよりは、俺が普段使っている共同スペースのようになっている。

食事のとき、だいたいみんな俺の部屋に来る。

「食事です」

「いつもありがとうございます」

「いえいえ。こちらは基本暇ですから」

ナナ師匠達は今回も「便利屋」として活動しているが、まわりに魔獣がいないので簡単な依頼ばかりらしい。

「2人は大丈夫ですか」

「はい。2人とも、仕事と修行を頑張っていますよ」

「なら良かったです」

俺はカオルとルカが来る前に、こうしてナナ師匠と近況を報告し合って雑談をしている。

「そういえば、先程私達の部屋に入る前、レオの部屋の前に保護生徒らしき分身がいたのですが…誰かきました?」

「え?特に人は来てませんでしたが?」

「じゃああれは…なんだったのでしょう?」


保護生徒か…

もうちょっと接し方を考えないとな。


こうして俺の1日は終わる。


次回の更新は1/5(月)です

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