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影を纏う転生者 〜平凡な高校生の異世界人生録〜  作者: 仮想猫
影纏の術師編 〜ドラマルト〜
40/50

36話 あっという間の旅路

季節は極寒の冬。

俺達はドラマルトに向かって出発した。

今回の旅は馬車があるということで、2週間の旅路になる。

1回目、2回目の旅と比べてかなり楽だ。

「レオさん。そういえばなんですが」

「ん?どうした、ルカ」

「学校でレオさんは何をするんですか?」

「それが…俺もよくわかってないんだが…」

そう。

今回の旅はいつもと違う。

いつもは家族探しと仇探しという自分の目的で旅しているが、今回はあちら側から呼ばれて旅をしている。

もちろん、自分の目的のためでもある。

けれど、目的が追加されるとやはり特別感を感じる。

「ナナ師匠は特別講師に呼ばれたことってありますか?」

「ありますが…自分の研究優先だったので、いつもお断りしてました」

「そうですか」

そうか…

だとすると結局どんな仕事感かはわからんな…

…寒い。

「レオ、操縦変わりますか?」

「いえ…大丈夫です」

現在俺は馬車を操縦している。

ナナ師匠も操縦はできるが…体力がないため…

…はあ………

早くドラマルトに着かんかな…






旅を始めて5日目。

あたりに見えるのは森、森、森。

山脈に入ってからずっとこんな感じだ。

しかも雪が降っているときた。

山なのもあり、雪がとても深い。

俺は魔術で雪を溶かしながら進む。


「レオさん。あれは敵ですか?」


ルカがそう尋ねてきた。

示された方向を見ると、そこには雪の塊があった。

大きさは2〜3メートルくらい。

5個くらいある。

いや、5体いるといったほうがいいだろうか。

そして、なにかをしてくるわけでもなく、ただこちらを見ている。

雪傀儡スノーゴーレムか」


雪傀儡。

魔獣種とよく間違えるが、獣種である。

冬以外のすべての季節は眠りにつき、冬になると目覚める。

温厚な性格で、人族、魔族、竜族とはほとんど敵対しない。

さらに、山のB級以下の魔獣種を狩ってくれるため、一部の地域では「山の守護神」と呼ばれている。

「敵ではないですよ。しかし、怒らせると危険です。気をつけていきましょう」

俺の代わりにナナ師匠がそう答えた。


昔、とある出来事を聞いたことがある。

なんでも、雪傀儡に魔術を撃った10歳の少年たちが雪傀儡に襲われて、2人が全身骨折、1人が右腕麻痺というかなりの重症を負った。

幸い、治癒魔術で1週間ほどで全員完治したらしいが…

雪傀儡…恐るべし。


そんなことを考えていると、馬車の外がもう暗くなっていた。

「…今日はここで休みますか」

「そうですね。それがいいでしょう」

「「え!?」」

休もうとする俺とナナ師匠とは打って変わって、カオルとルカはかなり驚いた。

「どうした?」

「だってお兄ちゃん!ここ雪傀儡いっぱいいるよ!」

「危険なんじゃないんですか?」

「え?むしろここのほうが安全だと思いますが…」

「俺もそう思います」

「「え!?」」

2人はさらに驚いた。

「さっき言っただろ?雪傀儡は攻撃しない限り敵対しないし、むしろ守ってくれるんだ」

「私達が何もしなければ大丈夫ですよ」

「な、なるほど…」

「…わかった」

全員が納得してくれたところで、俺達は休息をとった。






旅を始めて1週間がたった。

特に事故などは起きていない。

いたって平和な旅だ。

そして嬉しい報告だ。

山脈を越えたのである。

やはり馬車があると早い。

しかし悲しいお知らせだ。

山と森を越えるのはいいが、季節は雪積もる冬である。

辺りは果てしない雪景色である。

「ここを一週間か…」

「ひえ〜〜。まだ1週間あるの〜」

「カオルさん。相当嫌そうですね」

「寒いの苦手なんですもん」

「お前…冬生まれだよな?」

「そういえば…カオルちゃんって今何歳なの?」

「この前8歳になったよ!」

「ちなみに…レオさんとナナさんは?」

「私は今年で35です」

「俺は14だが、あと1ヶ月で15だな」

「え?20歳も年離れてたんですか?」

「…まあナナ師匠はそうは見えないよな」

「ナナさんは若いように見える」

「………」

「ナナ師匠。顔赤いですよ」

「…!?レオ…ちょっと黙ってください」

…え?

初めてキレられた。

「は、はい…」

俺は再び馬車の操縦に意識を向けた。

………。

………。


「なんだい?なんか雰囲気重くない?」


(…は?)


俺が振り返ると、全員の視線が馬車の中央に向いていた。

そこには神々しく輝く何かがいた。

だがシルエットを見ればわかる。

旅をしていれば毎回のごとく現れる仇。

…ゼイだ。


「…!?」


全員が魔術やら剣やらを構えて、臨戦態勢になっていた。

俺も腰の剣に手をかけていた。

…だがやめた。

斬る気が失せた。

てか、意味がないことに気づいた。

「…今回はなんのようだ?」

「…?斬らないのかい?」

「分身斬っても意味ないだろ」

「反応早いね…さすが『影纏殿』っていったところかな?」

「レオ…いいんですか?」


「模倣眼で見てるんですが…多分こいつ…分身に実体無いです」


「「「え!?」」」


模倣眼にはただの光分身ではないように写った。

模倣も受け付けなければ、性質すら透けて見えない。

まるでこれは…

3D(スリーディー)みたいだな」

「「「すりぃでぃい?」」」

「まあ、それを参考に作った分身だからね」

「お前…俺の脳内どんくらい覗いたんだ」

「ん〜〜。暇つぶしでだいたい10年分くらい?いや〜面白かったよ。12歳の時のあの…」

「それ以上言ってみろ。殺すぞ」

「まあ、言うつもり無いけどねぇ〜」

「んで!目的は!!」


「え?無いよ」


「「「「…は?」」」」


「この分身さ…私も干渉できないんだよね。だから技も出せないし、相手の脳内見れないし」

「…本当にお前、何しにきた…?」

まじで何しにきたんだこいつ…

「ただのテスト」

「テストで敵の前に出すな!!!」

「お…と制限時間かな」


「「「「え?」」」」


「じゃ…ね〜。ま…近…うちに〜」


そう言ってゼイは消えていった。

…まじでなんだったんだアイツ…

けど…やはり警戒心が解けてしまう。

魔術じゃないのか?

…まずいい。

先に進もう。






ゼイの出現のあとは特に何も起きなかった。

唯一あったとしたら、ナナ師匠が疲れて一時的に活動停止したくらいだ。

この人…スイッチのオン・オフ激しすぎじゃありませんか?

そして…

「レオさん。見えましたよ」

「ルカ…やっぱり目がいいな」

「多分三眼族特有です」

そうか、三眼族の特性だったのか。

まあいい。

とにかくやっとだ。

もう寒いから、とっとと学校に顔出しに行こう。

旅を始めて2週間。

俺達はドラマルトに到着した。


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