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影を纏う転生者 〜平凡な高校生の異世界人生録〜  作者: 仮想猫
影纏の術師編 〜ジークバルト〜
39/50

35話 感謝と努力に魔術を

この国に来て6ヶ月。

雪の降る冬である。

俺は修行場に来ていた。


「では、最後の稽古…というかテストを始めます」


「「はい」」


俺は杖を持って立つ。

そして目の前には2人の女性がいた。

1人は我が妹にして一番弟子のカオル・パルト。

もう1人はジークバルト現国王であるローザ・ジークである。

「今から2人には、俺に全力で向かってきてもらいます。魔術、剣術、体術、何でも使用可です。俺の終了の合図で試合終了です」

「「はい」」

これは二人の実力を確かめる、ジークバルト最後の稽古である。

「お兄ちゃんは魔術だけ?」

「そうだ」

「この前みたいにすぐ終わっちゃうんじゃない」

挑発か。

おもしろい。

「問題ない。今回は俺も本気でいく」

「え!?」

「ここでは死亡レベル以外の怪我は治るらしいからな」

「これは…まずいかも…」

「…気を引き締めていきましょう」

「は、はい」

審判役がいればやりやすいのだが、今ナナ師匠とルカはあいさつ回りに行っている。

なので、今回は俺が取り仕切る。

「それじゃあ…」

………。

………。

………。


「はじめ!」


氷狙撃アイスショット

「月光斬」


合図の直後、カオルが剣術、ローザさんが魔術で攻めてきた。

良い連携じゃん。

「岩石壁」

俺は土の壁ですべてガードする。

カキンッ!

向こうから壁と剣がぶつかる音がした。

「まだまだ甘いなカオル」


屈折光リフレクションライト!」


「…!?」

気がつくと、俺の背後には無数の光のレーザーが飛んできていた。

そうか。

カオルは囮か。

影球体シャドースピア!」

俺は咄嗟に全体を影で覆い、防御した。

…あの2人、出会って2〜3ヶ月とは思えない連携力なんだが。

そんなことを考えていると、


光襲の矢(シャインアロー)・点(・ポインター)!」


聞いたことの無い魔術が聞こえてきた。


ピキッ!


それと同時に、影球体にヒビが入った。


え、マジ?


パリンッ!


影球体は崩壊し、光のレーザーが俺の肩を貫いた。

光はカオルの杖からでていた。

嘘だろ。

カオルの杖へのシフトチェンジもそうだが違う。

影球体は上級の影魔術で、防御力は上級結界並だぞ。

…これってまさか……

だが、それを考えている暇はなかった。


巨人(ジャイアント)の氷槍(アイスランサー)!」


俺が怯んだ瞬間、ローザさんから巨大な氷の槍が放たれた。

待て待て!

この魔術は…!

「地獄の炎!」

俺は上級の火魔術で相殺した。

「ローザさん!お兄ちゃんが体制を整える前に攻めます!」

「はい!」

2人は同時に攻撃を仕掛けようとした。


「影の領域!」






ーカオル・パルト視点ー

まずい…

お兄ちゃんがついに本気になった。

畳み掛けようとしていた僕達は慌てて距離を取った。

影の領域を展開したお兄ちゃんと近距離戦をするのは殺されに行くようなものだ。

近距離において今のお兄ちゃんは無敵だ。

なら遠距離攻撃しか無い。


そう思ったのはつかの間だった。

(…え?)


「カオルさん…これ…」


「お兄ちゃんの影が…広すぎる」


前までのお兄ちゃんの影の広さは半径20メートルだった。

だから僕達はその倍の40メートル離れた。


けど僕達は影の中にいた。


それどころか、僕らのさらに10メートル先まで影が広がっていた。

お兄ちゃんの影の範囲は50メートルになっていたのだ。

それだけじゃない。

お兄ちゃんの周りには分身が6体いた。

2体…増えている。

「どうしましょう、カオルさん」

もはや僕達には逃げ道がない。

なら、

「次で決めます。僕が多段攻撃で牽制するので、魔術の準備を」

「は、はい」

そう聞くとローザさんはさっき出した「巨人の氷槍」の詠唱を始めた。

「光襲の矢・雨!」

私は無詠唱でさっき出した「光襲の矢・点」を出せることを逆手に取り、ギリギリまで牽制した。

「いけます」

「じゃあ同時に行きます」

僕はお兄ちゃんの方を見た。


…嘘だ。


お兄ちゃんの全分身が一点に魔力を溜めていた。

そしてお兄ちゃんはその魔力を変形させて火の龍にした。

お兄ちゃんもここで決めきる気だ。

「いきます!」

「はい!」

一瞬目をローザさんと合わせて…技を出す。


「巨人の氷槍!」


「光襲の矢・点!」


「炎戒の龍!」


それと同タイミングでお兄ちゃんも技を出した。

技は全部一直線に進み、僕らとお兄ちゃんの中央で衝突した。


ドーーーン!


そして相殺された。

僕らはもう魔力切れだ。

足がガクガクして動けない。

ローザさんも地面に座り込み、立てないでいる。


「そこまで!」


術の爆発で生まれた煙の向こうからお兄ちゃんの声が響いた。

終わ…り…

「「はぁ〜〜〜……」」

僕とローザさんは安堵の息を漏らした。






ーレオリオス・パルト視点ー

…しまった。

思わず「炎戒の龍」まで出してしまった。

だって強いんだもん、2人。

「レオリオス…さん…終わりました…か…?」

「はい。すみませんガチになっちゃって」

「いえ…そう宣言…していましたから」

それよりもだ。

「セリーヌさん」

「はい」

木の裏から、隠れていたセリーヌさんが出てきた。

「あの2つの技…どう思います」

「ローザ様のは確定です。見た感じはカオルさんも確定でいいでしょう」

「「え?何が?」」

そうあの技。

「光襲の矢・点」と「巨人の氷槍」は…


「2人とも、特級魔術師に認定します」


「「え!?」」


2人のあの魔術。

あれは威力的に認めざるおえない。

「2人とも。これからは自信を持って魔術師を名乗りなさい」

「「はい!師匠!」」

やめてください。

カオルはまだしもローザさんは…






「レオ。あいさつ回り終わりましたよ」

数時間後、俺らは国門でナナ師匠とルカと合流した。

「行かれるんですね。ドラマルトへ」

ローザさんとセリーヌさんが見送りに来てくれた。

「寒い中、ありがとうございます」

「はい。こちらこそ、短い間でしたが、ありがとうございます」

「あ、そういえば」

俺はカオルとローザさんに布の塊を渡した。

「なんですか?これは…」

「は!!」

カオルはなにか気づいたようだ。

「開けてみてください」

2人は布を開くと驚きの表情を浮かべた。

「魔術杖ですか!」

「僕は剣だ!」

「特級昇進のお祝いです」

「ありがとうございます。師匠!」

だからやめてくれ。

「では、ご達者で」

「ご武運を」

「はい。また来ます」

こうして、俺達は流れるようにジークバルトを出た。

荷物を購入した馬車に乗せて門を離れる。

ローザさんとセリーヌさんは俺達が見えなくなるまで見送ってくれた。

本当に、ありがとうございました。


おまけ話

事務所は撤去せずに残してきた。

なんでも、ジャイフの人たちが今後の活動拠点として使うらしい。

だが、管理者であるサンダさんは日本語がわからず、裏で聞こえてくる会話を少しキモがっているらしい。


ジークバルトー完ー

      ドラマルトに続く


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