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影を纏う転生者 〜平凡な高校生の異世界人生録〜  作者: 仮想猫
影纏の術師編 〜ジークバルト〜
38/50

34話 日本の生活を広め隊

この国に来て5ヶ月。

俺は呼び出しをくらい、街の中にある事務所らしき建物にいた。

3階建てのやや大きな建物だ。

看板にはこの世界では見られない文字が所々に書いてある。

俺は迷わずに中に入る。

そして3階へと向かう。

中に入るとそこには男女計20人程度の人がいた。


「来たな…」


すると、中央にいた男が俺に向かってきた。


「ここまでたどり着いた貴様には、我々の計画を…」


「純、いやジン。何してるんだ?」


俺に話しかけてきたのは、ジン・ゴートこと、進藤 純である。

前世の俺のバンド仲間の転生者だ。

「んで…もしかしてここにいるのは全員…」

「あぁ。全員日本からの転生者だ」

「他の国の人はいなかったんだな」

「そうだな。国籍が違うやつは多少いるが、全員転生前は日本で死んだらしい」

やはり転生の鍵は日本らしい。

まあもう滅んじまったから確かめられないが。

「…で?俺を呼んだ理由は?」

「今から俺達の活動方針を決める。お前も参加してくれ」

「…1つ聞く。このグループの名前は?」

俺は正面の看板を見て不安だった。

それは、


「『日本の生活を広め隊』だ」


「なるほど。相変わらずのネーミングセンスの無さだな」

「何を言う!俺はセンスの塊だぞ!」

「全員リア充のバンドに、『クラッシュ・ハート』なんて名前つけようとしたやつがネーミングセンスの塊なわけねーだろ」

「グッ…」


よし…

まずは名前を決めさせよう。


「なら守が決めてくれよ」

「なんで俺なんだよ?」

「だってバンドの名前もお前の案で決定したじゃないか」

「けど俺メンバーじゃないんだが」

……まあいいか。

………。

………。

「…なら『ジャイフ』で」

「どこから出てきたその名前…」

「『ジャパン・ライフ』から文字取って『ジャイフ』だ」

「「「「「おーーー」」」」」

「なら俺の名前と守、てかレオリオスの名前、どっちがいい?」


「「「「「レオリオスさんで」」」」」


「ちくしょーーー!!!」

こうして、グループ名は「ジャイフ」となった。






「んじゃ、話を戻すゾ」

「………」

「おらたちの目的は、日本の生活を広めることだゾ。だからまずは…」

「おい。まずはクレ◯ンし◯ちゃんのマネをやめろ」

「何を言ってるんだ組長。真似っていうのはこういうや…」

「その流れで前世と同じくケツを出してみろ。今度こそケツをぶっ飛ばしてやる」

「はい、すみません…」

こいつはこんな性格だ。

グループの人〜。

早くリーダー変えたほうがいいですよ〜。

「ゴホン、ということでまずは何をするかを決めます。何か案はありますか?」

ジンが呼びかけると、各々話し合いを始めた。

「文化活動は」

「似たような文化も根付いちゃってるし、インパクト薄いでしょ」

「アニメは?」

「そもそも映像技術がない」

「漫画もむずかしいね。この世界の本はほぼ小説か辞典だし、漢字とかスペルとかのまとまった単語を表す字がないから、セリフが長過ぎる」

「日本の学問!」

「「「却下!!」」」

話は盛り上がっているが、肝心の名案が出ないらしい。

なにか無いだろうか…

………。

………。

……あ。


「日本食…とかは?」


「「「…!?」」」


「たしかにそれなら…」

「けど、味付けとか調味料なくね?」

「たしかに、じゃあ…」


「いや、待ちなされ」


「レオリオスさん。何かあるんですか?」


「味はある」


「「「「「え!!?」」」」」


俺は懐から2つの瓶を出した。

「…!?こ、これは…」


「味噌と醤油だ」


「え!?」

「実は市場で大豆を見つけて、作ってたんだ。短期間熟成だから試作品だが…どうぞ」

1人が恐る恐る瓶を開け、ひとくち食べた。

「あぁ…味噌だ…」

彼は泣いてしまった。

そりゃそうだ。

10年以上前から食べていなかったふるさとの味だ。

泣くのは当然だ。

「じゃあこっちは…」

もう1人、女性がもう1つの瓶の中身を舐めた。

「しょ、醤油だ!」

ちなみに味噌と醤油はまだ試作品だ。

この世界の大豆は日本のものよりも発酵スピードが早かったため、予定より早くできたので試してみていた。

「この味ならいけます。日本食を広めるのが」

「他の味も欲しいわ。何か無いか探しましょ!」

味噌と醤油の登場に、その場の全員が盛り上がった。

「お前はやっぱりすごいな」

「これはたまたまだよ。実際俺も10年以上探しもしなかったし」

「いや、運もそうだが、お前のアイデア力とかは前世と変わってねーなと思ってな」

「俺、昔そんなに提案してたっけ」

「成功した活動内容のほとんどはお前の提案だっただろ?」

俺は「昔の話ができるやつがいるってのは、やっぱりいいものだな」と思えたのであった。






日本食についての話し合いが終わった後は次の議題に移った。

「次は、今後の活動場所と班分けについてだ」

この活動の目的は、自分たちの「存在」と「文化」を広めることにある。

この世界に日本の技術を取り入れ発展させながら、転生者が自分たちの存在に気づくようにするのが最終目標になる。

そのため、各国を巡り自分たちの活動の輪を広げる必要がある。

となると、どこに誰が何人で行くかを決めなくてはならない。

「まずは目的地を決めよう。どの国に行く?」

「まず魔族世界はすべて巡っておきたいな」

「となると『ファジサイト』と『マントシティ』には行きましょう」

ここにいる転生者の3分の2が魔族系だ。

ならそこら辺の対応はそちらに任せたほうがいいだろう。

「人族世界と竜族世界はどうする」

あ、言っておかないとな。

「竜族世界はやめておいたほうがいい」

「なんでですか?レオリオスさん」

「今、竜族世界では竜獣が戦力増強を図っているらしく、竜獣と竜人がずっと戦争しているらしい。迂闊に近づくと死にます」

「そうか。なら残りは人族世界とドラマルトだな」

「人族世界って何カ国あるんでしたっけ?」

「5カ国だな。中央王都ケーズバルトを中心に東西南北に計4カ国」

「5カ国全部に行きますか?」

「いや。この場合、ケーズバルトに人を多くむかわせて、そこから分担したほうがいいだろう」

「となると、私達の今回の目的地は『ファジサイト』『マントシティ』『ケーズバルト』『ドラマルト』ですね」

………。

「じゃあ、これから分担を…」


「ちょっといいですか?」


俺は話し合いを遮った。

「どうした、守?」

「実は俺、1ヶ月後にドラマルトに向かうんだ」

「「「え!?」」」

「だから、ドラマルトには最初、俺が行って活動拠点を用意する。それができ次第、ドラマルトに向かうってのはどうだろうか?」

「…たしかにそれのほうが効率は良いな」

「なら『遠征組』と『留守番組』で12:8にして、遠征組はそれぞれ4人ずつの半になって出発。留守番組は守の連絡を待ってから4人で向かうということにしよう」

「「「了解」」」

「じゃあ、後は人を決めていこう。まずは…」

ここからの話し合いは1時間続き、すべてが決定した。






「今日はありがとな。来てくれて」

「全然。俺も協力するって事になってただろ?」

「そうだっけか?」

とりあえず、ここでやることはほとんど終わったな。

あとは1ヶ月後の準備といったところか。

「そういえばお前、ドラマルトに行くんだな」

「あぁ。すまんな。報告遅れて」

「いいさ。がんばれよ。家族探し」

なんだかんだ、純は相変わらず優しい。

前世と変わらずだ。

「じゃあ、また連絡する」

「あぁ、またな守」

…さて。

そろそろあいさつ回りしはじめるか。


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