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影を纏う転生者 〜平凡な高校生の異世界人生録〜  作者: 仮想猫
影纏の術師編 〜ジークバルト〜
35/50

31話 お決まりの戦い

〜前回までのあらすじ〜

俺のもとに3通の手紙が届いた。

1つ目はジークバルト王宮からの舞踏会招待状。

2つ目はドーラ師匠からの竜獣の動向調査依頼。

3つ目はドラマルト国本学校からの特別講師のお誘いである。

そんな中、今はジークバルトの舞踏会に来ている。

国王戴冠の周年イベントらしいが、なにやら嫌な予感がする。

開会の挨拶の後、俺は舞踏会の食事が並ぶテーブルへ向かった。

立食式らしく、椅子はない。

「お、お兄ちゃん…僕達…これ…食べていいの?」

カオルは見たこと無いほど豪華な料理を目の前にしてびっくりしている。

「あぁ。構わないそうだぞ」

「「いただきます!」」

それを聞くと、カオルとルカが食事を皿に取り、勢いよく食べ始めた。

かなり興奮しているな。

「いや〜。こういう2人の表情を見ると、舞踏会も新鮮味がでますね」

ナナ師匠がそういう。

「ナナ師匠はこういうのは慣れているんですか?」

「はい。何度か呼ばれたことがありますから」

さすが元ノーボックスのパーティーメンバー。

色々と経験済みのようだ。



そんな話をしながら食事をしていると、

「あ、あの!」

声をかけられた。

振り向くと、そこには7〜10歳くらいの子どもたちがいた。

よく見ると、片手には30センチ位の長さの杖を持っている。

あぁなるほど。

この子達は初心者の魔術師といった感じのようだ。

「なにか用かい?」

「あの…その…」

質問してみるが、全員体をモジモジさせ黙ってしまう。

数秒後に答えが返ってきた。


「サ…サインください!」


…へ?

「サイン…ですか?」

「は、はい!」

俺…そんな価値ある者ではないのだが…

「まあ…俺でいいなら」

「…!ありがとうございます!」

子どもたちは次々と自分の杖を俺に渡してきた。

「あ、でも私たち筆持ってない…」

どうやらペンを忘れたらしい。

「いいよ。貸してごらん」

「は、はい」

俺はもらった杖に、イメージしたサインを火魔術できれいに焼き入れた。

「はいどうぞ」

「あ、ありがとうございます」

「じゃあ次の子」

俺は次々とサインを焼き入れていった。

それにしてもこの舞踏会…結構子供も来るんだな。

多分呼ばれた親とかの連れなんだろうけど。






「ではこれより、国王謁見を始める」


そうこうしているうちに、国王謁見が始まった。

「ナナ師匠。先に謁見してきても構いませんよ」

「そうですか?ならお先に」

そう言って、ナナ師匠は謁見に向かった。

謁見は長蛇の列になっていた。

様子を見ていると、頭を垂れてあいさつをする人や楽しそうに会話をする人、持参品を差し出す人なんかもいる。

謁見にこれといったルールは無いようだ。

ふと、ナナ師匠の方を見ると、念話が聞こえてきた。


『1、2、3、5、7、11、13…』


そ、素数を数えて落ち着いているだと!?

めちゃくちゃ緊張してるやん!

『ナナ師匠…素数を数えても状況は変わりませんよ』

『えぇ、そうでしょ…って!?聞いてたんですか!?』

まあ…あれだ。

頑張れ、ナナ師匠。

そして俺は、杖へのサインをしながら謁見の様子を見る。


(ん?あいつは…)


俺は次の謁見人物に目が止まった。

あれは確か…国王を睨んでた男だよな。

………。

………。






ー失脚貴族の従属視点ー

私は前国王の長男の従属者である。

先の政権争いにて、前国王の長女にして、国王第3候補であったローザ・ジークに敗退した。

まさか、国王第2候補であった次男がローザ側につくとは思わなかった。

だが、ここで終わらせるわけにはいかない。

私は長男であるシーザー・ジーク殿に政権の獲得を約束した身。

この謁見のタイミングを逃すわけにはいかない。


「次の者、謁見を許可する」

私は案内に従い謁見に向かった。

「よくぞいらっしゃい…あら!ビート卿ではありませんか」

「は!ごきげん麗しゅうございます。ローザ殿」

私は淡々と謁見を続けた。

「してビート卿。本日はどうなさいました?」

「実はお願いがありまして…」

「お願いですか?」

「はい…」

私は見えないように剣を召喚した。

「シーザー様を、国王にいたします」

「…え?」

「なので…」

私は一呼吸おき、


「お命頂戴いたします」

(無刀)


私は修行し、得意としていた無刀で切りかかる。

私がもしバレてしまっても関係ない。

私が後に殺されようと、国王がいなくなれば、また新しい国王を決める。

そうすれば…きっと…

私はローザの首めがけて刀を振った。

………。

………。


「困るんだよな…こういうのがイベントにいるの」


目の前には突如として黒い影が現れ、私の腕をつかみ、攻撃を止めた。

「…ッ!?貴様!!!」

「おっと、動くな」

「な!?」

自分の首元を見ると、そこには刀が3本、私の首を囲むように構えられていた。

今、私の腕を掴んでいる黒い影と同じようなやつだ。

…負け…だ。

私はそのまま、牢屋につれていかれた。






ーレオリオス・パルト視点ー

やつを見た瞬間、なんとなく状況が理解できた。

こういった世界の漫画や小説では、このような状況は定番だ。

政権争い、派閥対立、クーデターなんかは異世界物ではよくあるイベントだ。

国王が就任してまだ1年ということは、国王を殺して権力を奪うという考えが出るのも不思議ではない。

一応警戒して模倣眼を開いていたが、模倣眼が収納魔術の発動を捉えた瞬間、可能性から確信に変わった。

幸い、席が近くだったため、即座に影の領域を発動して、分身を向かわせた。

反撃されることも考え、分身1体に攻撃を受け止めさせ、3体を相手を囲む形で配置した。

国王の方に視線を向けると、彼女は口をぽかんと開け固まっていた。

ボーっとしているようにも見えたが違った。

彼女の額には汗が見え、瞳孔が大きくなったり小さくなったりを繰り返している。

数秒後には、彼女は腰を抜かし、地面に座り込んだ。

後ろに自身の玉座があるにもかかわらずだ。

相当動揺している。

つまり、この1年は対立なく平和だったのだろう。

だから対立派のものであるにも関わらず警戒していなかった。

いや、警戒する理由がなかったのだろう。

「国王!」

彼女が座り込むのを見て、護衛騎士であろう武装集団が駆け寄る。

どうやら騎士団側も予想外だったのだろうな。

しばらくすると、

「…大丈夫です。再開しましょう」

まだ少し混乱しているだろう国王は、表情を作り、再び謁見を始めた。

こういった事ができるのは少し尊敬するな。

「さて、サインもし終わったし、俺も謁見に向かおう」


…あれ?

そういえばナナ師匠は?

俺はさっきナナ師匠がいた場所の方を見た。

ナナ師匠は…立ったまま気絶していた。

「………」

俺は無言でナナ師匠を椅子に座らせて、謁見の列の最後尾に向かった。






「最後の者、国王謁見を許可する」

俺は最後の謁見者になってしまった。

そんなつもりはなかったのだが…

まあいい。

謁見を済まそう。

「お初にお目にかかります。私はエイサール出身、影纏のレオリオス・パルトと申します」

「なるほど、あなたが」

国王は平常心を取り戻したようだ。

言葉が少し軽くなっていた。

「先程はお見苦しいものをお見せしてしまい、申し訳ありませんでした。そして、私どもを助けていただきありがとうございます」

国王、ローザ殿は頭を下げた。

「頭を上げてください。私は少し彼を警戒していたから反応できただけです。そして何より、国王を守るのは当然のことです」

そして俺は1つ質問する。

「そういえば、なぜ私をこの舞踏会に招待したのですか?」

ずっと気になっていた。

この国に来てまだ2ヶ月の段階で舞踏会への招待。

さらには自由なはずの謁見の強制。

明らかになにか目的があり行われている。

それが俺にとって有益なのか、はたまた有害なのかはまだわからない。

どちらにせよ、俺は目的について知っておきたい。

「単純な話です。この世界で名を馳せているあなたが一体どうな人で、どんな事ができるのかを見定めたかったのです」

…裏はありそうだが、真実なのだろう。

嘘はついていない。


ん?なぜわかるかって?

それは、どうでもいいことだ。

考えなくてよろしい。


ともあれ、両者ともに謁見の目的は果たされた。

「では、私はここで失礼します。何か所要がありましたらいつでもお声がけください」

「はい。では、最後まで舞踏会を楽しんでください」

こうして謁見は終わり、舞踏会も何事もなく終えた。






舞踏会から1ヶ月後。

俺達が国に来て3ヶ月がたっていた。

俺は前日の依頼の疲れで寝ていた。


「キイーーーー!!!」


グサッ!


「…!?痛ぁぁぁぁ!!」


俺の頭に何かが刺さった。

飛び起きて刺さったものを見ると、それは鳥だった。

「また…伝達鳥…」

毎度毎度この伝達鳥ってやつは…

俺は怒りながら伝達鳥の足についていた手紙を見た。


〜影纏 レオリオス・パルト殿へ〜

国王ローザ・ジーク様がお呼びです。

本日中に王宮殿に起こしください。

〜ジークバルト王宮〜


呼び出し…だと……。

………。

おまけ話

レオリオスの前世、守は中学の頃いじめにあい、一時期人間不信になっていた。

高校になったときには克服してはいたが、今後同じ目に会いたくないという防衛意識から、相手の言動や動作を見ることで、多少ではあるが相手の真意を察知する謎能力に目覚めてしまった。

なお、その正当性は90%ほどらしい。

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