表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影を纏う転生者 〜平凡な高校生の異世界人生録〜  作者: 仮想猫
影纏の術師編 〜ジークバルト〜
34/50

30話 招待状

国に来て2ヶ月。

最近では事業も安定し、特に危険という依頼も減った。

修行と研究もぼちぼちといった感じだ。



そんな今日は依頼に行っていた。

依頼の内容は「巨大猪ジャイアントピックの討伐」である。


巨大猪。

通称「畑荒らしの代名詞」

基本的には草食であり、人はめったに襲わないが、農作物を荒らす。

しかもこちらが襲いかかると、口から魔術で攻撃をし、猪なのに頭にある1本の角と口の2本の牙で相手を貫く。

迷惑かつ強力な厄介者だ。

討伐難易度はまさかのAだ。

幸い、こいつは群れないので単体だ。

その討伐にナナ師匠と2人できていた。

カオルとルカは事務所で留守番をしている。

カオルは「一緒に行きたい!」と駄々をこねていたが、まだ勉強があった。

だから、俺はルカに「見張りよろしく」と伝えて2人をおいてきた。

俺達は国の近くにある林に来ていた。

どうやらここで巨大猪が出るらしい。

俺は巨大猪をおびき寄せるために、野菜の匂いを充満させるおこお的なものを出した。



数分後、巨大猪が現れた。

高さ2メートル、全長3メートルの巨大な猪だ。

「レオ、すぐ終わらせましょう」

「はい」

ナナ師匠が詠唱をはじめたのを確認した後、俺も杖を構えた。

猪は俺達に向かって突進してきた。

どうやらもう敵判定らしい。

「光襲の矢・雨!」

氷破アイスブレイカー!」

猪は俺の放った光の矢に切りつけられた。

そして、その傷口から氷が生えてきた。

猪は血を吐き倒れこんだ。

どうやら氷は体内にも生成されているようだ。

周囲は夏とは思えない冷気に包まれ、猪はそのまま凍った。

「討伐完了ですね」

「はい。では猪を運んで帰りましょうか」

俺は猪を担いで帰ろうとした。

その時、


ヒュッヒュッヒュッ!


辺りの冷気を斬るような音が響いた。

その音に俺は振り返った。


ドドドッ!


「ゴハッ!」


俺の頭と胸と腹に何かが突っ込んできた。

いや、刺さった。

よく見てみると、それは鳥だった。

鳥の足には紙がついていた。

これは…伝達鳥!?

てか力…強くね!?


「ゴエーーーーー!」


俺は鳥3体の勢いのまま飛ばされた。


ドーーン!!


そして近くにあった岩の壁に衝突した。


「レオーーーーーーーー!!!」


あれ…この感じ…

昔あったような。

あ…気絶す…

……気絶した。






気絶しているさなか、夢を見た。

昔の夢だ。

ベースバックを担いで、橋の上を鼻歌を歌いながら自転車で走る。

橋は緩やかな放物線を描くような形になっていて、最初は走るのがきついが、段々と楽になり、風に当たる。

ふと、俺は後ろを振り返る。

後ろにあるはずの橋は崩れるように消え、向こう側が光りに包まれる。

光の向こう側にはエイサールの麦畑が広がる。

人も見える。

剣を振るバオス父さん。

談笑をするナナ師匠とドーラ師匠。

こちらを笑顔で見つめるニナ。

ゆりかごの中にいるまだ小さいカオル。

………。

そして、光のさらに奥に不気味な色が見える。

そこには全身ローブ姿のあの女が立っている。

なぜ…お前を夢でも見る羽目になってしまうんだ…

………。

……オ…。

レ……オ……。


「レオ!」


「…!?」


目覚めた。

俺はどうやら1時間ほど寝ていたらしい。

「大丈夫ですか?治癒はしましたが」

「はい…一応大丈夫です」

初めてじゃないからどうってこと無い。

…とまでは言わないが、まあ大丈夫だろう。

「それで…あの伝達鳥は?」

「あ、そこにいますよ」

ナナ師匠の指を指した方向を見ると、きれいに並ぶ3羽の伝達鳥がいた。

「俺に3羽とも飛んできたってことは…」

「はい…おそらく全部レオ宛です」

そんな一気に来ることがあるんか?

まずいいか。

俺は3羽から手紙を受け取った。

その後、3羽は勢いよく飛び去っていった。






手紙3枚は、質の良い紙のもの、少し古めの紙のもの、ハガキサイズの紙のものがあった。

それぞれ見ていこう。

まずは一番小さいハガキサイズのものから。

相手は…ジークバルトの王宮?

何だろうか?


〜影纏 レオリオス・パルト殿〜

3日後に行われる舞踏会へ招待いたします。

国王からの招待でございます。

ぜひいらしてください。

〜ジークバルト王宮〜


なんかかしこまりすぎじゃね?

まあこの世界、敬語とかの使い方が前世の世界と違うみたいだし…違和感あるのは俺だけか…

ナナ師匠も普通に見てるし。


次だ。

次は古い紙のものからいこう。

誰からか…は実は正直わかっている。

前にもこの紙でもらったからな。


〜レオリオスへ〜

まずはナナとカオルの発見を嬉しく思う。

そして仇を名乗った女についてだ。

こちらも今捜索を始めている。

しかし、情報が少なく、捜索は難航している。

何か情報があれば随時連絡しよう。

だが、今回手紙を送ったのは別件だ。

どうやら竜獣の奴らに動きがあったようだ。

戦力増強を図ってか、竜人との争いが起きているらしい。

そこで、レオリオスに竜獣についてを探ってほしいと依頼が来た。

旅もあるだろうから後回しでいいが、できれば探ってほしい。

また何かあれば手紙を送る。

気をつけろよ。

〜ドーラ・コンドル〜


やっぱりドーラ師匠だったか。

しかし竜獣…

厄介な奴らが動き出したな。

探ってみよう。

そして最後は…


〜影纏殿〜

初めてお手紙差し上げます。

私は、ドラマルト国本学校の理事長でございます。

影纏殿の噂はかねがね聞いております。

ファジサイトでの活躍は、こちらドラマルトにも広まっております。

神級の影魔術を開発し、剣術も操り、竜族の秘術等も使えるとか。

そんな影纏殿に、来季より特別講師についていただきたいのです。

特別講師とはこの学校独自に行なっている、外部から神級の魔術師や剣士、体術使いを招き、在校生の研究のサポートや講習等行ってもらうものです。

さらに、特別講師の皆様もこちらの学校を使い研究をすることができます。

住む場所等もこちらで用意いたします。

期間は1〜2年程をお願いしたいです。

後ほど返事をください。

快い回答を待っています。

〜ドラマルト国本学校理事長 ジル・エンター〜


なんと送り主はドラマルトの学校の理事長だった。

来季…つまり来年の春からか…

「レオ、どうするんですか」

顔なども合わせたいな。

となると…今年の冬の初めにはもう出発しないといけない。

資金の関係もあるし…

そうは思ったが、

「断る理由は…無いですね…」

「そうですね……私は構いませんが、行きますか」

この国にはローブの女もニナもいなかった。

依頼の最中に辺りの村も回ったがいなかった。

ここにいる理由はあまりない。

ならば…

「行くことにしましょう」

こうして俺達の出発期間は4ヶ月後に決まった。






「ようこそお越しくださいました。影纏のレオリオス・パルト殿、不可視のナナ・リーフ殿…と…そちらは」

「あぁ、すみません。自分の連れなのですが…だめでしたか?」

「いえ、問題ありません。しかし国王謁見はそちらのお二方はできないのですが…よろしいですか」

「はい、構いません」

「かしこまりました。ではこちらへ」

3日後の夜。

俺達は招待状を頂いた王宮へと足を運んだ。

詳しく調べてみると、どうやらこの国では定期的に舞踏会を開き、国にいる権力者や貴族、二つ名持ちといった著名人から、抽選で選ばれた100人ほどの一般市民まで幅広く参加しているのだそうだ。

さらに、著名人は国王謁見の権利が与えられるのだとか。

まあ、俺はなぜか強制されたが…



中に入るととてつもない広さの会場が広がっていた。

何ここ?ベルサイユ?

とてつもない広さに圧倒されていると、

「影纏だ…」

「初めてみた…」

「…かなり若いな」

というような声が度々聞こえてきた。

この国に来てまだ2ヶ月だが、名前が広がっているようだ。

嬉しいことではあるが、やはり噂されるのはむず痒い。

そんなことを考えながら、俺は舞踏会の開始を待つ。


「国王陛下のお見えだ!!」


全員の視線が会場の奥、玉座の方に向く。

そこには高価そうな服に身を包んだ女性がたっていた。

かなり若い女性だ。

全員がその女性の方を向き、距離が近い人は頭を垂れている。

『もしかしてあの人が?』

俺は念話でナナ師匠に問う。

『はい。あれがこの国の現国王、ローザ・ジークです』

まさか現国王が女性だとは…

しかも若すぎる。

多分ナナ師匠よりも若い。

この年で国王とは…

すごいと言うべきか、大変だなと思うべきか…

そう思っていると、国王が話し出す。

「本日はお集まりいただきありがとうございます。私は本日をもって、着任1年となります。皆様のお陰でここまでこれました。今宵はこの舞踏会を楽しんでいってもらえたら幸いです。どうかこれからもよろしくお願いします」

なるほど。

今日の舞踏会の目的は周年記念ということか。

国王が話し終えると、会場は拍手に包まれた。

いや〜。

やっぱ宴会みたいなのはこういう雰囲気が一番いいよな。


そう思いながら周りを見渡すと、所々に拍手をしていない者がいた。

そいつらはみんな国王を睨みつけるように見ている。

……なんか嫌な予感がするな。

頼むから、何も起こらないでほしいものだ。

そう思いながら、俺は食事の方へ向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ