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影を纏う転生者 〜平凡な高校生の異世界人生録〜  作者: 仮想猫
影纏の術師編 〜ジークバルト〜
28/50

24話 仮面は狙う

旅を始めて3週間がたった。

山脈はまだまだ続いているが、山脈の残り1/3の地点で、トンネルと思われる「山中道」と呼ばれる道に入った。

山脈の中に開けられた穴を通って向こう側まで行く。

この「山中道」は非常に長く、出るのに1ヶ月以上かかるらしいが、出た先には目的地の「ジークバルト」があるらしい。

山中道の中には刻計り、すなわち時計がいたるところにある。

俺達はそれを頼りに、1日の行動時間を決め、ジークバルトに向かって進んだ。

「あの、レオさん。もうすぐ時間です」

「お?もうそんな時間か。じゃあ今日はここで休憩」

そう言うと、カオルとルカは野営の準備をし始めた。

この2人は最近、よくこうして準備をしてくれる。

まあ、料理は俺とナナ師匠がやるのだが。

食料に関しては、俺とナナ師匠が収納魔術で持ち運んでいる。

腐らないように魔術で冷凍しながら。

食料は長旅に備えて余分に持っている。

なので、特に心配はない。

そして俺達は焚き火を囲みながら食事をして1日を終える。

これの繰り返しだ。



そんなある日。

「ほう。まさかこんなところで人に会うとは」

道中で人と遭遇した。

が、俺は警戒した。

そいつは腰に剣を携え、腕は傷だらけ。

顔は鳥のような形をした白い木の面で隠れている。

明らかに怪しすぎる。

けれど、流石に無視するのは良くない。

挨拶くらいはしとこう。

「こんにちは。俺達もここで人と会うとは思いませんでした」

「いやはや。この方向ですと…ジークバルトに向かっているのですか?」

「はい。実はそうでして」

『殺気は感じられません。大丈夫だと思います』

ナナ師匠からの念話だ。

なら、大丈夫か。



…そう思えたのも束の間だった。

「ん?その剣…もしや「影纏」殿では?」

「え?はい、よくご存知で」

「ハハ〜、私は実に運のいい男ですな〜」

ん?何がそんなに幸運なんだ?


「これで、ゼイ殿の依頼がこなせる」


「依頼です…か……」


思考が一瞬停止した。

………。

…しまった。

こいつは…


「では、お命頂戴」


ゼイが差し向けた刺客だ。


「離れろーー!!!!!」


俺は剣力を込めて地面を蹴り、相手から離れ、剣をかわした。

ナナ師匠やカオル、ルカも俺の声と同時に離れていた。


ドーン!


山中道内に爆発音が響く。

なんだ?何をした?

奴は刀を振っただけだったはずだ。

なぜ爆発した?

「ほう、あの距離でかわすか」

よく見ると、奴の剣から火花が絶えず散っていた。

「じゃが、私の『魔力被り』を突破できるかあ?」

魔力被り?

そう考えていると、奴の全身が炎につつまれた。

なるほど、魔力被りの正体は魔術を剣と体に纏う技ということか。

「では改めて、我『ソオ・ラップ』。貴殿のお命頂戴する」

そう言うと、ソオは剣に炎を纏わせてこちらへと向かってきた。

まずは魔術の仕組みを見るため、俺は模倣眼を開眼した。


「…!?」


なんてやつだ。

こいつ、複数の魔術を全身に纏ってる。

それも3つとか5つとか、そういう次元じゃない。

わかるやつだけでも12種類以上、下手したら20種類以上同時に使ってやがる。

あまりに重なりすぎて、模倣眼の解析が機能しない。

…機能しない?

まさか…

「模倣眼対策か!」

「いかにも!」

俺の戦い方は、模倣眼で相手の動きを解析し、把握したうえで攻めるスタイルだ。

だが、その戦法はこいつには通用しない。

なら攻めるしかない。

「影の領域!」

俺はソオの攻撃をバックステップでかわしながら魔術を発動しようとした。

「させませんよ」

そうするとソウは風の斬撃を複数飛ばしてきた。

「援護します!」

その攻撃を後ろでカオルとルカを守っていたナナ師匠が魔術で相殺した。

その間に俺は魔術を発動し、分身を4体出した。

俺は分身2体を引き連れ、ソオに向かっていった。

「正面突破です…か…ん?」

「水の槍!」

後ろからナナ師匠が水の槍を、分身2体が光の矢を放った。

「なるほど、良い連携ですな」

そう言うとソウは、体に纏っていただろう風魔術を膨張させて魔術を弾いた。

「…!?ほう、速いですな」

俺はその瞬間に分身をソオに近づかせ、挟むように陣取らせた。

分身2体には月光斬を放たせて、俺は周花でソオに斬りかかる。


骨槍の体(ボーンランスアーマー)


「…ゴフッ」


…何が起きた?


ソオを攻撃しようとした寸前でピタリと動きが止まった。

そして、腹と足に何か生暖かい感覚が走った。

俺は、ソオを改めて見る。

やつの体からは、白い何かが何本も出てきている。

それが俺の分身を貫通している。

さらに俺は、自分の体に視線を移す。

両足に3箇所、腹部に2箇所、それが刺さっていた。

「おや?心臓も刺すつもりでしたが、外しましたか」

白い何かに、俺の血が流れていく。

体が痺れている。


毒…か…


気が…遠のいて…いく。


「では、さようなら。若き術師よ」


まずいとわかっているのに…


体が…動…かない…


「「光襲の矢・雨!!」」


「…何?」

2つの声が同時に聞こえたあと、ソオは術を解き、飛んでくる光の矢をかわした。

術の解除とともに白い何かはソオの体に吸い込まれるように消え、俺は地面に落ちた。

腹と足には計5箇所の穴が空き、腕には光の矢の浅い切り傷が数カ所あった。

「まさか、味方に当てる勢いで攻撃してくるとは…」

「お兄ちゃん!大丈夫!?」

「カオル!まずは相手に集中してください!」

光の矢を放ったのはナナ師匠とカオルのようだ。

「攻撃は急所を避け、味方の援護のタイミングも良い…なるほど、貴殿も運が良いようだな」

みんなを守らなくちゃ…

けど…体が…

「ふむ…今日のところは引くとしよう。さらばだ、標的よ。また会おう」

そう言うと、ソオはナナ師匠やカオルの間を走り抜け、去っていった。

それと同時に、俺は気を失った。






ールカ視点ー

衝撃だった。

戦いはレオさんたちがおしているように見えた。

けど、レオさんは体を貫かれた。

相手から出てきた白い槍みたいなものに。

私はあまりの出来事に声も出せなかった。

「…!?」

私が何もできないでいると、隣にいたカオルさんが駆け出した。

「ナナさん!」

「…!?いきます!」

カオルさんの動きに気付いたナナさんは杖を構えた。


「「光襲の矢!!」」


2人は息を合わせて魔術を出して、相手を追い払った。

レオさんは…気絶していた。

「カオル!治癒魔術を!」

「は、はい!」

2人はそのままレオさんの治療を始めた。

カオルさんは中級、ナナさんは特級の治癒魔術で傷を塞ぎ、体内にあった毒を抜いていく。

私は急いで2人に駆け寄り、私の魔力を2人とレオさんに送る。

かなり高度な治療だと感じ、「このままだとみんなの魔力がなくなる」と反射的に感じたから、そうした。






治療はなんとか終わった。

レオさんはまだ起きていないけど生きている。

けど、あともう少し遅かったら危なかったらしい。

無事で良かった。

ナナさんとカオルさんも魔力の使いすぎで疲れてしまい寝ている。

今日はその場で休むことになったので、私は焚き火を用意して、横になった。

その時、

「………」

「…!?レオ…さん?」

レオさんが起きた。

顔には疲れが見えた。

「ルカ…か…。みんな…無事みたいだな」

レオさんは安堵していた。

まだ本調子ではないないと思うけど、大丈夫そうだ。

「ルカ。あのあと何があったか、教えてくれないか」

「…はい」

私はレオさんに事の顛末を説明した。






ーレオリオス・パルト視点ー

俺はあのあと何があったかを聞いた。

ソオは他の全員に何も危害を加えずに去ったこと。

ナナ師匠とカオルが治療したこと。

ルナが魔力を回復してくれたこと。

俺の傷は深いが、命に別状がないこと。

俺は自分の体を見る。

体は包帯に包まれていた。

血の跡が少しあるが、出血はしていないようだ。

包帯を少し緩め、覗いてみると、傷はほとんど無くなっていた。

この世界の魔術の凄さを改めて実感する。

そして、俺の実力がまだまだだと感じさせられた。

俺は負けた。

しかも仲間を危険に晒した。

………。

急ごう、ジークバルトへ。

そして強くなろう。

仲間を守るために。

仇を討つために。

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