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影を纏う転生者 〜平凡な高校生の異世界人生録〜  作者: 仮想猫
影纏の術師編 〜ファジサイト〜
22/130

19話 大嫌いなタイミング

バンバンバン!

バンバンバン!


「……?」


祭りが始まり、10日がたった。

今日は最終日だ。

闘技大会が終わった後、俺達はいろんなイベントに参加したり、屋台を巡ったりした。

今日もいろんな場所に行き、夜にある花火を見に行く予定だったのだが…

朝からなんだか騒がしい。


バンバンバン!

バンバンバン!


「ごめんくださ〜い」


ん?人?

朝から客人?

今祭り中なのに?

なぜ?

「はい。どうされましたか?」

俺は扉を開けて対応した。

「すみません。私は王宮騎士のものなのですが、影纏のレオリオス殿、ならびに、不可視のナナ・リーフ殿に王宮へ集まっていただきたい。緊急の案件があります」

不可視の…

ナナ師匠の二つ名…初めて聞いた。

てか、緊急の案件だと?

嫌な予感しかない。

「わかりました。準備ができ次第向かいます」






数分後。

起きてきたナナ師匠にあった出来事を説明し、カオルも一緒に王宮へ向かった。

流石にカオルを1人には出来ないからな。

そして出てきたのは、なんと国王ファスト・ドーズと騎士団だった。

「国王様。本日はどのようなご要件で」

「すまぬな。祭り中に呼び出して」

「いえ、問題ありません」

「早速で申し訳ないが、依頼だ」

さて、何の依頼なんだか…

「今朝、この国に竜獣の集団が向かっていることが確認された。総勢10体の中規模集団だ。そなたらと他数名の神級術使いに、そやつらの撃退を依頼したい」

「竜獣…ですか」


竜獣。

二足歩行だが、体は竜そのもの。

全身が鱗に覆われ、背中には翼を生やし、口からは魔術を吐く。

竜人とは別の種で、世界と敵対し続けているやつらだ。

そんな集団がこの国に向かっている。

非常事態だ。

「わかりました。その依頼、謹んでお引き受けします」

俺の前にナナ師匠がそういった。

「やつらの到着時間は夕暮れ時だと予測されている。それまで備えておいてくれ」






その後、俺達は準備のために家に戻った。

「ごめんなカオル。今日は一緒に回れそうにないや」

「気にしないでお兄ちゃん。2人ともお仕事頑張って」

準備中、俺は1つ疑問が湧いた。

「ナナ師匠。どうして竜獣は侵略を続けているのに、三眼族は侵略をしないんですかね?」

「私にもわかりません。彼らは差別される前から行動パターンが読めない種族だったそうなので」


三眼族。

世界で恐れられている2種の1つ。

額に第三の目を持ち、その額の目には異能眼と膨大な魔力が宿っている。

そんな彼らは昔、竜獣と共に魔神カスラの戦争に加担したとして警戒されている。

同じ事をした種族で、こんなに行動が違うと、なんだか不思議な気持ちになる。

…おっといかん。

まずは竜獣の事を考えよう。






夕暮れ時。

俺とナナ師匠はファジサイトの国門の前にいた。

国王に召集された他のメンバーは前線に向かっている。

俺とナナ師匠はいざとなった時に備えて、最終防衛ラインにいることにした。

が…

『『……!?』』

竜獣8体がこちらに向かってきた。

どうやら前線はやられたらしい。

2体は削ったが、全員は無理だったようだ。

「ほう…まだ人がいたか」

「だが2人。我らの敵ではない」

「この国ごと焼き払ってやろう」

『行きます。ナナ師匠』

『はい。援護します』

念話で合図を出し、俺は相手に向かっていった。

「は!正面から来るか!」

「月光斬!」

「ッ!?」

俺は最高スピードで敵1体に突っ込んだ。

相手はカウンターができないと悟り、慌てて身をそらした。

「外透結界(アウトインパクトウォール)」

ナナ師匠は結界を展開した。

「わざわざ援護を遮断するとは、バカもいたもんだ」

甘いな、そこのトカゲ君。

ナナ師匠が「遮断した」なんて言ったかな?

「水の槍(ウォーターランス)!」

ドドドドド!

水の槍は結界を通り抜け、竜獣2体の心臓に命中した。

「何!?」

「外から攻撃入ってくんのかよ」

「構うな。まずは術者を殺せ!」

竜獣5体が一斉に俺に突っ込んできた。


「影の領域」


キン!


その攻撃を、俺は影の分身に1体ずつ、残りを俺が受け止めた。


「「「「「!?」」」」」


「悪いけど、今俺は妹と師匠との楽しい時間を取られて腹が立ってんだ」

俺は一呼吸すって、


「一瞬で、終わらせる」


(光襲の矢・雨!)


ドドドドド!


身動きが取れないまま、竜獣5体は光の矢に貫かれた。


「岩塊の龍(ボルダードラゴン)」


最後の1体が岩の龍を飛ばしてきた。

これはまさか…竜族秘伝の技!?

なら…模倣眼を開いておこう。

これは覚えておきたい。

それと同時並行で、


「炎戒の龍!」


俺は竜族秘伝の技で対抗した。

完成度は俺のほうが上だった。

よって、

バラバラバラ…!

岩の龍は粉々になり、破壊した炎の龍が相手に迫る。

「…!?なぜ…お前がそれを…」


ドーーーン!


炎戒の龍は見事命中した。

相手は丸焦げになり、身動き一つ取れなくなった。

まだ生きてるのがすごいな。

まあ、あいつは投獄だな。

その頃、日は完全に落ちた。

「まもなく、花火を開催します」

ファジサイト内からアナウンスが聞こえてきた。

「レオ。今から行けば間に合います。後は王宮の人たちに任せて行きましょう」

そうナナ師匠が言ったのと同時に、門から救護班と騎士団が出てきた。

うん…もう大丈夫そうだな。

「そうですね、行きますか」






ドーーーン!

ドーン!

ドーーン!

「わあ~綺麗…」

カオルを連れて、広場まで花火を見に行った。

俺とナナ師匠は花火にぎりぎり間に合った。

家に帰るとカオルは満面の笑みを浮かべて迎えてくれた。

「カオル。私たちは来年からはレオと一緒に旅に出ることになります。祭りは見納めです。しっかり、目に焼き付けておきましょう。」

「はい、ナナさん!」

この街にいるのもあと僅か。

冬が明ければ、俺達はジークバルトに向かって旅に出る。

だからこそ今は、この休息を大事にしていこう。

そう、俺は思った。

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