19話 大嫌いなタイミング
バンバンバン!
バンバンバン!
「……?」
祭りが始まり、10日がたった。
今日は最終日だ。
闘技大会が終わった後、俺達はいろんなイベントに参加したり、屋台を巡ったりした。
今日もいろんな場所に行き、夜にある花火を見に行く予定だったのだが…
朝からなんだか騒がしい。
バンバンバン!
バンバンバン!
「ごめんくださ〜い」
ん?人?
朝から客人?
今祭り中なのに?
なぜ?
「はい。どうされましたか?」
俺は扉を開けて対応した。
「すみません。私は王宮騎士のものなのですが、影纏のレオリオス殿、ならびに、不可視のナナ・リーフ殿に王宮へ集まっていただきたい。緊急の案件があります」
不可視の…
ナナ師匠の二つ名…初めて聞いた。
てか、緊急の案件だと?
嫌な予感しかない。
「わかりました。準備ができ次第向かいます」
数分後。
起きてきたナナ師匠にあった出来事を説明し、カオルも一緒に王宮へ向かった。
流石にカオルを1人には出来ないからな。
そして出てきたのは、なんと国王ファスト・ドーズと騎士団だった。
「国王様。本日はどのようなご要件で」
「すまぬな。祭り中に呼び出して」
「いえ、問題ありません」
「早速で申し訳ないが、依頼だ」
さて、何の依頼なんだか…
「今朝、この国に竜獣の集団が向かっていることが確認された。総勢10体の中規模集団だ。そなたらと他数名の神級術使いに、そやつらの撃退を依頼したい」
「竜獣…ですか」
竜獣。
二足歩行だが、体は竜そのもの。
全身が鱗に覆われ、背中には翼を生やし、口からは魔術を吐く。
竜人とは別の種で、世界と敵対し続けているやつらだ。
そんな集団がこの国に向かっている。
非常事態だ。
「わかりました。その依頼、謹んでお引き受けします」
俺の前にナナ師匠がそういった。
「やつらの到着時間は夕暮れ時だと予測されている。それまで備えておいてくれ」
その後、俺達は準備のために家に戻った。
「ごめんなカオル。今日は一緒に回れそうにないや」
「気にしないでお兄ちゃん。2人ともお仕事頑張って」
準備中、俺は1つ疑問が湧いた。
「ナナ師匠。どうして竜獣は侵略を続けているのに、三眼族は侵略をしないんですかね?」
「私にもわかりません。彼らは差別される前から行動パターンが読めない種族だったそうなので」
三眼族。
世界で恐れられている2種の1つ。
額に第三の目を持ち、その額の目には異能眼と膨大な魔力が宿っている。
そんな彼らは昔、竜獣と共に魔神カスラの戦争に加担したとして警戒されている。
同じ事をした種族で、こんなに行動が違うと、なんだか不思議な気持ちになる。
…おっといかん。
まずは竜獣の事を考えよう。
夕暮れ時。
俺とナナ師匠はファジサイトの国門の前にいた。
国王に召集された他のメンバーは前線に向かっている。
俺とナナ師匠はいざとなった時に備えて、最終防衛ラインにいることにした。
が…
『『……!?』』
竜獣8体がこちらに向かってきた。
どうやら前線はやられたらしい。
2体は削ったが、全員は無理だったようだ。
「ほう…まだ人がいたか」
「だが2人。我らの敵ではない」
「この国ごと焼き払ってやろう」
『行きます。ナナ師匠』
『はい。援護します』
念話で合図を出し、俺は相手に向かっていった。
「は!正面から来るか!」
「月光斬!」
「ッ!?」
俺は最高スピードで敵1体に突っ込んだ。
相手はカウンターができないと悟り、慌てて身をそらした。
「外透結界」
ナナ師匠は結界を展開した。
「わざわざ援護を遮断するとは、バカもいたもんだ」
甘いな、そこのトカゲ君。
ナナ師匠が「遮断した」なんて言ったかな?
「水の槍!」
ドドドドド!
水の槍は結界を通り抜け、竜獣2体の心臓に命中した。
「何!?」
「外から攻撃入ってくんのかよ」
「構うな。まずは術者を殺せ!」
竜獣5体が一斉に俺に突っ込んできた。
「影の領域」
キン!
その攻撃を、俺は影の分身に1体ずつ、残りを俺が受け止めた。
「「「「「!?」」」」」
「悪いけど、今俺は妹と師匠との楽しい時間を取られて腹が立ってんだ」
俺は一呼吸すって、
「一瞬で、終わらせる」
(光襲の矢・雨!)
ドドドドド!
身動きが取れないまま、竜獣5体は光の矢に貫かれた。
「岩塊の龍」
最後の1体が岩の龍を飛ばしてきた。
これはまさか…竜族秘伝の技!?
なら…模倣眼を開いておこう。
これは覚えておきたい。
それと同時並行で、
「炎戒の龍!」
俺は竜族秘伝の技で対抗した。
完成度は俺のほうが上だった。
よって、
バラバラバラ…!
岩の龍は粉々になり、破壊した炎の龍が相手に迫る。
「…!?なぜ…お前がそれを…」
ドーーーン!
炎戒の龍は見事命中した。
相手は丸焦げになり、身動き一つ取れなくなった。
まだ生きてるのがすごいな。
まあ、あいつは投獄だな。
その頃、日は完全に落ちた。
「まもなく、花火を開催します」
ファジサイト内からアナウンスが聞こえてきた。
「レオ。今から行けば間に合います。後は王宮の人たちに任せて行きましょう」
そうナナ師匠が言ったのと同時に、門から救護班と騎士団が出てきた。
うん…もう大丈夫そうだな。
「そうですね、行きますか」
ドーーーン!
ドーン!
ドーーン!
「わあ~綺麗…」
カオルを連れて、広場まで花火を見に行った。
俺とナナ師匠は花火にぎりぎり間に合った。
家に帰るとカオルは満面の笑みを浮かべて迎えてくれた。
「カオル。私たちは来年からはレオと一緒に旅に出ることになります。祭りは見納めです。しっかり、目に焼き付けておきましょう。」
「はい、ナナさん!」
この街にいるのもあと僅か。
冬が明ければ、俺達はジークバルトに向かって旅に出る。
だからこそ今は、この休息を大事にしていこう。
そう、俺は思った。




