13話 ナナとカオルの5年間
ーナナ・リーフ視点ー
朝、目を覚ますと、それは起きていた。
異変に気づいた私は、杖を持ち、外に出た。
村のいたるところから煙が立ち、悲鳴と怒号が騒がしく聞こえてくる。
私は察した。
(これは…襲撃だ。)
私はここ数日、魔獣種の活性化により村から動けずにいた。
レオの迎えもあったが、「落ち着くまで待て」と言われ、行けずにいた。
その結果、村で襲撃が起き、私はとうとう迎えに行けなくなってしまった。
けれど、申し訳ないが、それは後回しだ。
私は急いで、村の入り口、戦場の前線に向かった。
そこにはカレラさんとバオスさんがいた。
「カレラさん!バオスさん!」
「ナナさん!」
「加勢に来ました。何かできることは…」
そこで、遮るようにカレラさんが口を開いた。
「ナナちゃん。今から私は転送魔術を発動するわ。あなたは村の人達の護衛をお願い」
転送魔術?
聞いたことがない。
カレラさんのオリジナルか?
「ッ!?駄目だカレラ!やはりその魔術の発動は駄目だ!」
いつになく怒りを感じる言葉がバオスさんから発せられた。
「みんなを助けるには、これしかないのよ」
「しかし、ッ……」
…私は魔術師だ。
この流れまでくると、想像がついてしまった。
「それは…禁術なのですか…?」
「……ええ…私の命を糧とした…転送魔術よ」
カレラさんは死ぬ気だ。
村のために、私たちのために。
「………。」
「そんな顔しないでナナちゃん。私一人の力で、みんなを救えるの。これが全滅は絶対しない、最善策なの。だからお願い。ナナちゃんは、みんなを守って」
その言い方は…ずるいですよ。
「わかりました。その任務、謹んでお受けいたします」
私は涙を浮かべながら、カレラさんに誓った。
この計画に関しては、家に戻り、カーラとニナにも説明した。
2人は反対した。
当然です。
身内が命を捨てようとしているのですから。
しかし、あとから来たカレラさんに説得され、計画は実行されることになった。
術発動寸前。
「みんな、母さんとはもう二度と会えないけど、諦めずに、生きてね」
………。
術は発動された。
眩い光が私たちを包み込み、各魔法陣にバラバラに転送された。
「………ッ」
転送が終わったようだ。
私はゆっくり目を開いた。
「あぁぁぁぁ~~~」
私はこの声の主に目を向けた。
まだ1歳のカオルだ。
ここには私とカオル、他2人が転送されたようだ。
場所はどこだろう?
考えていると、ある看板と景色が目にとまった。
「居酒屋…魔神語で書いてるということは…」
更に見える絶景の海。
間違えない。
ここは、魔族世界の海国ファジサイトだ。
ファジサイトと知り、村人2人は安堵していた。
なんでも、「ファジサイトには親友がいる」とのこと。
私たちはここで別れ、それぞれで生活することにした。
カオルはもちろん、私が預かった。
さて、子育ては未経験なのですが、どうしましょうか…
カオルを育てる上で注意することは3つ。
1つ目はトイレ。
彼女はまだ自力でトイレに行けません。
定期的におむつを替えます。
おむつはこの国でも売ってたので良かったです。
2つ目は食事。
離乳食は卒業していますが、まだ自力では食べれません。
そういったことに配慮します。
3つ目は模倣眼。
彼女の左目はレオが作った「眼帯?」というもので隠しています。
決して外れないように注意します。
私はまず、貸家を借りました。
お金を結構持ってかれました。
どうしましょう、金欠です。
稼ぐ手段も考えなくては。
と思っていたら、エイサールでの事態を知った貴族の方々が私たちに支援金を配布してくれました。
それもかなり高い額を。
これで5年はやっていけそうです。
しかし、少し仕事もしておきましょう。
帰れるのはいつになるかわかりませんから。
私は魔術を活かし、この街の便利屋として、ゆったり働くことにした。
はじめてみると、案外評判がよく、多くの資金を得られた。
こんな感じで生活は大丈夫そうですね。
「よろちくおえあいします」
「よろしくお願いします、ですね」
あれから1年がたちました。
カオルは2歳になり、それと同時に1人で歩いたり、言葉を話したりできるようになってきました。
『かわいいーーーー』
私は周りの迷惑にならないように、よく念話でこういったことを叫んでいます。
いやー、子供の成長は、見てて飽きませんね。
私はというと変化はありません。
毎日子守をし、たまに来る依頼をこなす日々です。
(他のみんなはどうしてるのだろうか)
一緒に飛ばされたカーラとニナ、そして、標的にされたレオは今どうなっているのか。
そんな事を日々考えている。
いつかまた、会いたいです。
更に1年が過ぎた。
カオルは3歳だ。
3歳
聞いた話によると、レオが修行を始めたのは3歳の時だった。
なら、私は彼女に魔術を教えるとしよう。
「カオルさん」
「なんですか、ナナさん」
カオルは立派になった。
まだ3歳なのによく喋って、私を手伝ってくれる。
いい子だなー。
おっといけない。
また念話で叫ぶかもしれない。
「カオルは魔術に興味ありますか?」
「あります!お兄ちゃんの話を聞いて、僕も気になり始めました」
「では、明日から魔術の基礎訓練と座学をやろうと思っていますが、やります?」
「やりたいです!いいんですか?」
彼女は目を光らせて頷いた。
「いいですよ。私に任せなさい」
「やったーー、ナナさんありがとう」
『かわいすぎますーーー』
思わず念話で叫んでしまった。
月日は流れ、事件から5年が経った。
彼女はもう6歳、とても元気そうだ。
カオルはすべての魔術を中級まで使い、今は上級を教えている。
「ナナさんは、私の母様ではないんですよね」
笑顔で聞いてきた。
「そうですよ、あなたにはほかに父と姉、そしてお兄さんがいるんですよ」
「へ〜〜そうなんですね」
いつかカオルに家族を紹介しなければ。
私もカオルについて家族に伝えなきゃ。
そんな他愛もない話をして生活をしていた。
これより1ヶ月後。
私達はレオと再会した。




