12話 ファジサイト
昨日の一件で、俺はかなり疲弊していた。
「活動は宿で休んでからにしよう」
俺は近くにあった宿にチェックインして、部屋で2時間ほど休んだ。
休息後、
「さて、行きますか。」
俺は愛刀である『龍流』を身に着け、魔術管理所に向かった。
ここでは、魔術の記録の保管等をしている。
そして、魔術の採点もしてくれる。
魔術の採点をすると、自作の魔術なんかは、その魔術に階級をつけてくれる。
俺の最初の目的はそれだ。
『影の領域に階級をつける』
必要ないように見えて、かなり重要だ。
階級のない魔術は、場所によっては、発動すると罰則が発生するなんてこともある。
なので、今後のためにここで階級をつけておくのだ。
「こんにちは。どうされましたか?」
受付の人に話しかけられた。
「すみません、魔術の採点って今可能ですか?」
「確認します。少々お待ちください」
そう言って受付はスタッフルームらしき部屋に入っていった。
しかしこの街は困ったな。
魔神語だけだったらまだしも、所々で天族語使ってるんだよな。
頭がグルグルする。
「確認できました。あちらの奥の部屋にお進みください」
俺は言われるがまま部屋に進んだ。
「お入りください」
「失礼します」
中には熟年の魔術師であろうドワーフの老魔術師がいた。
「では、これより採点をはじめます。魔術を発動しなさい。」
「はい。……『影の領域』」
「……!?これは…」
老魔術師はすごくびっくりしていた。
まあ新しい魔術をみたらそれはそうか。
と、ここから質問攻めにあった。
「この魔術の範囲はどれくらいかね?」
「だいたい半径20メートルくらいです」
「分身はどれくらい出せる?」
「俺は4体ですが、魔力を込める量によってはほぼ無制限に出せると思います。」
「他の魔術と併用は?」
「できます。混合させるのは無理だと思いますが。」
「分身の強さは?」
「魔力を込める量次第ですが、俺とほぼ同じ実力です。」
「………。」
どうなのだろうか?
「結果を申します。この魔術を神級に認定します」
…へ?神級?
「神級認定に伴い、名の献上を行います。後ほど、ファジサイト王宮までいらしてください」
…お、王宮だと!?
「わ、わかりました」
俺はこの日、神級魔術師になった。
神級魔術師。
その名の通り、神級魔術を操る魔術師だ。
この世界には数多く存在してはいるが、多くの場合は戦いの前線に派遣され、死亡する。
今では50人ほどいるらしいが、おそらく認定された魔術師だけの話だろう。
おそらくもっといる。
そんな魔術師に俺はなった。
神級は影魔術のみだが、それでも神級は神級だ。
俺は王宮にて、任命式を行った。
「そなたを、神級魔術師に認定する」
そう話しているのは、この国の王、ファスト・ドーズだ。
「ありがたく頂戴します」
急にこんなことになって、国王は大変だ。
…申し訳ございません。
「では、そなたに名を与える」
認定された神級魔術師には二つ名が与えられるらしい。
俺にはどんな二つ名がつくのだろうか。
「そなたに、影纏の名を授ける」
なんかすげー、ゲームカードみたいな名前がきた。
インパクトはそこそこある。
まあ、いっか。
その後、俺は街を散策した。
いやしかし、神級か。
この技はいっても王級止まりだと思ってたが。
まあ、済んだことか。
そんな事を考えていると、何かがとんできた。
『♪~~~』
……!?
気のせい?いや、間違いない。
今のは念話だ。
それも懐かしい、聞き覚えのある声だ。
俺は走り出した。
どこだ?どこからだ?
まだかすかに念話が聞こえている。
…!?大きくなった!近い!
俺は大通りに出た。
大通りは多くの人でにぎわっている。
くそっ、こんなに人がいたら見つかるわけ…
『…嘘?』
念話が歌をやめた?
何かを見つけたのか?
『その剣を持っているということは』
ん?剣?
「レオ…ですか?」
「…!?」
俺は即座に振り返った。
そこには女性が立っていた。
買い物をしたあとなのだろう。
袋にたくさんの食べ物を入れている。
目は赤と茶色のオッドアイ。
髪は茶髪だ。
髪は前より短くなっているが、相変わらず後ろに束ねている。
………。
俺の目から、自然と涙が落ちた。
そして俺は膝から崩れ落ち、彼女に抱きついていた。
「無事でよかったです……ナナ師匠!」
「レオ…私も…会いたかったです!…」
俺は彼女の顔を見た。
彼女、ナナ師匠も、泣いていた。
「ナナさん!言われてたの買ってきました…って…え!?」
振り向くと、そこには女の子が立っていた。
髪は金髪、ショートに近い髪をしている。
年齢は6歳くらいに見える。
左目には、この世界ではまったく見ない、眼帯をしている。
「お前…もしかして…カオルか?」
「え!?どうして僕の名前を…。ナナさん、この人は誰ですか?」
そうか、そりゃ1歳の時だもんな。
覚えてないのは当然だな。
ナナ師匠が涙をぬぐって、口を開いた。
「カオル、彼があなたのお兄さんです。」
「え!?お兄ちゃん!?」
こうして俺は、ナナ師匠とカオルに再会した。




