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影を纏う転生者 〜平凡な高校生の異世界人生録〜  作者: 仮想猫
影纏の術師編 〜ファジサイト〜
14/50

11話 早すぎる遭遇

旅が始まって1週間。

俺はウェストンを経由して魔族世界に向かっていた。

もちろん理由はある。

俺が修行をしている間に、転送結界により飛ばされた村人が何人か帰ってきていた。

その人達は全員、人族世界の各国に飛ばされた者たちだった。

飛ばされた人は、同じ場所に飛ばされた者たちでまとまり、村まで帰ってきた。

だが、カーラ、カオル、ニナ、ナナ師匠は帰ってこなかった。

これにより、彼らは魔族世界に飛ばされたのだと考えられた。

俺はその推測の下、海国ファジサイトに向かっている。

ファジサイトの首都は、村から1ヶ月と2週間移動した位置に存在する。

海と山に囲まれた国は、魔族世界の中で一番人族との交流を盛んに行っている。

そして、ファジサイトに向かう理由はもう1つある。

ファジサイトは、かつてニナの故郷が存在した場所だ。

彼女ならもしかすると、縁の地に戻っているかもしれない。

そんな事を考えながら、俺はウェストンを出発した。






更に3週間後。

俺は種族界境(人族、魔族、竜族の世界を分ける境目)にたどり着いた。

検問のようなものはなく、ただ道が続いていた。

しかし、警戒しとこう。

薄っすらとではあるが、あたりの林から魔獣の気配がする。

ここからはあたりの生態系も変わるようだ。

その日は水辺の林で夜を明かすことにした。

林に入った途端、「赤狼せきろう」という狼の魔物の集団に襲われた。

が、そんなに手強くはなかった。

俺は周辺に魔獣避け(の煙)をばら撒き、焚き火のそばで武器の手入れをした。

ファジサイトまで行くには山を越える必要がある。

山には強力な魔獣もいると聞く。

更に注意していかなければ。






魔族世界に入って1週間後。

山脈の頂上にたどり着いた。

そして、オレはそれを目にした。

山脈の下に広がる無数の屋根。

それは向こう側まで果てしなく続き、中央には貴族の住んでいそうな建物も無数存在している。


「これが…海国『ファジサイト』…」


鑑賞に浸っていると、どこからともなく声がした。



「ナニモノだ、キサマ」



聞こえたのは、魔神語だった。

俺は3メートルを超える巨体の男に声をかけられた。

彼は…鬼族だった。

俺は即座に模倣眼を閉じた。






俺は頂上から1時間ほど行った所にある集落に招かれた。

この集落には鬼族とドワーフが住んでいるらしい。

集落はかなり立派なもので、エイサール村の2倍くらいの規模だ。

俺はそのまま、この村の村長のもとへいざなわれた。

「どうも、私はこの村を治めるムエルと申します」

彼女は魔神語でそうな乗った

女性だった。

鬼族の特徴とドワーフの特徴を持っている。

姓を名乗らないということは…混血のようだ。

「お初にお目にかかります。人族のレオリオス・パルトと申します」

「あら、魔神語を使えるんですね」

「はい、一応」

俺は警戒していた。

鬼族と聞いて思い出したことがある。

昔聞いた「模倣眼持ちの女性に禁術を見られた鬼族が、その女性を処刑した」という話だ。

殺されると決まった訳では無いが、隠しておきたい。


「…なるほど。模倣眼持ちですか」


彼女は笑顔を崩さずにそう呟いた。


「はい……え!?」


なぜバレた!?


あまりに突然で俺は驚いた。

そうしていると、隣にいた鬼族が口を開いた。

「村長。危険と判断しましたらまた殺しますが、どうされますか?」

最悪だ。

模倣眼持ちの女性の話は、ここでの出来事らしい。

旅を始めてまだ1ヶ月。

もう終わりか。

「いえ、彼は大丈夫そうです。それにおそらく、彼と争えば、私達は滅びます。」

「な!?…」

何者なんだこの村長は?

「申し訳ありません。私は鑑定眼を持っているため、人の能力や情報がわかってしまうんです」

鑑定眼。

異能眼の1つであり、相手の使用する技や、出身地、属種までわかる便利な眼だ。

「安心してください。よっぽどのことがない限り、あなたを襲ったりしません」

「はあ、なら良かったです」

まさかこんなところであの事件の村に遭遇するとは思わなかった。

けどまあ、大丈夫そうだ。

俺は1日この村に泊まり、再びファジサイトに向かい始めた。






10日後。

山脈を下り終え、森についた。

あと少しだ。

もう少し歩こうとも思ったが、体力温存のため、早めに焚き火を焚いて休むことにした。

夜もふけ、眠りにつこうとしたときだった。

ゾワッ…

「…!?」

俺の背筋に寒気が走った。

気のせいではない。

暗い森の木の裏だ。

…なにか、いや、誰かがいる。

「誰だ!」

俺は飛び起き、収納魔術でしまっていた杖を取り出した。

「…おや?驚かせてしまったようだ」

木の裏から人らしきやつが出てきた。

灰色のローブに身を包み、顔を隠している。

声は高くもなく低くもない。

だが、なぜか少し安心する。

「この距離だと魔術は無理か…」

俺は杖を魔術でしまって、剣に持ち替えた。

「お前は何者だ?」

得体のしれないローブのやつに、俺は問う。

「私?私は通りすがりの女だ」

なんなんだ、こいつ。

発言がなぜか嘘くさい。

「そして私は…」

そう言うとやつは不敵な笑みを浮かべて言った。


「君の…仇だ」


…は?

何いってんだこいつ。

冗談で済む話じゃない。

…いや落ち着け。

なにか裏があるかも知れない。

ここは冷静に…


…そんなことをいつもなら考えていたんだろう。


今の俺には、そんな事はできなかった。



バンッ!



俺はその言葉を耳にした瞬間、理性を失った。

地面を思いっきり蹴り、やつに月光斬を繰り出した。

「…っと。危ない危ない」

宙にまったやつに、俺はつかさず断地の剣力を飛ばした。

キンッ

剣力がなにかの力で相殺された。

(結界魔術か…)

ここで俺の理性が戻った。

(確実に仕留めるためなら影の領域を使うのが妥当だが、まだ未完成だ。使うのは危険すぎる。なら…)


「周花」


結界と剣力がぶつかり合う音が響く。

「ハハッ!速い速い」

やつは楽しそうに笑う。


(今!)


「炎戒の龍」


渾身の一撃は見事命中した。

結界を割った。

が、やつには傷一つなかった。

「ま、今日は様子見だから、帰らせてもらおうか〜」

「…!?逃がすわけね…」



「バイバーイ、『佐々ササキ マモル』くん」



……は?

今なんつった?

『佐々木 守』だと…

それは俺の…前世の名前だ。

「待て!!!!」

やつは俺の攻撃を避け、空に飛び上がり、そのまま飛んで逃げていった。






朝になった。

俺は昨日のことをファジサイトに向かいながら昨日のことを振り返った。

あいつは一体何者なのか。

最後に使った、あの飛行魔術はなんなのか。

なぜあいつは、俺の前世の名前を知っていたのか…。

ただ、これは失敗ではあるが収穫だ。

あいつが本当に仇なら、俺の第一目標が明確になる。

今回はまずそう思っておこう。

今は家族が優先だ。

その3時間後。

俺は海国『ファジサイト』に到着した。

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