9話 旅の理由 1
ーレオリオスへー
突然ではあるが、サウンドロスで開かれる竜人の会合に参加をしてほしい。
『炎戒の龍』に関することで竜人の皆がお前と話がしたいらしい。
参加を強制してしまうことになってしまうが、よろしく頼む。
ードーラ・コンドルー
サウンドロス。
王都近衛騎士団長や王族直属騎士、剣術研究者を数多く輩出した「武器と戦士の国」。
今では騎士養成学校や多くの武器工房をかまえ、それらの影響で、多くの騎士団、冒険者がこの国に拠点を置いている。
俺は今7歳。
この世界では、冒険者としてチームの中に7歳のやつがいるなんてこともあるらしい。
そう、この世界では、ここらへんの年齢で「ひとり立ち」といった言葉も見えてくるらしい。
実際、カーラも7歳から職につき始めたとか。
しかし、それでも7歳児だ。
そんな俺に竜人達は何を話したいのか。
拒否権がないのなら行くしかない。
この手紙を見た翌日、俺はサウンドロスに向かった。
「レオ、気をつけてね。」
「はい、母さん」
俺は手短に挨拶をして、村をあとにした。
今はなんだか忙しいようで、バオスは見送りに来なかった。
今回の移動は2週間だ。
今回もナナ師匠についてきてもらったが、サウンドロスについたらナナ師匠は一旦村に戻るらしい。
今回、俺は1ヶ月の滞在となる。
迎えにはまた来てくれるらしい。
2週間はあっという間だった。
俺はサウンドロスに到着した。
「じゃあレオ、頑張ってください」
「はい、また1ヶ月後に」
「はい。」
俺は早速ドーラ師匠のもとに向かった。
ドーラ師匠は中央街で剣術指南をしているらしい。
俺はすぐに中央街に向かった。
1時間ほど街をさまよったところで、ようやく中央街についた。
この街…迷路みたいに複雑なの、なんでなん?
すると、どこからともなく木刀の音が聞こえてきた。
俺はその音の方向に走った。
音の先には道場があった。
きっとここだ。
俺は1礼して、中に入った。
…見つけた。
髪は灰色、2メートルくらいの長身、手にはうっすらと鱗が見える。
そして彼もこちらに気付いた。
「ずいぶんと大きくなったな…」
「お久しぶりです。ドーラ師匠!」
彼の剣術指南が終わったあと、俺は彼の泊まっている貸家に泊めてもらうことになり、そこへ向かった。
家について俺はゆったりと椅子に座った。
ドーラ師匠も対面の椅子に座った。
「それにしても、成長したな」
「ありがとうございます。ドーラ師匠はおかわりないようで」
「早速で申し訳ないが、明日から会合に参加してくれ。」
「わかりました」
竜人の会合。
年に1度行われる旅の報告会的なものだ。
会合は1ヶ月も行われる。
俺は、残りの2週間に参加する。
その後はドーラ師匠の道場で久しぶりに稽古をつけてもらう予定だ。
「今日は休め」
「はい」
この1ヶ月の事は簡潔に話そう。
まず会合だ。
会合は前半、とんでもないほどの質問攻めにあった。
どうやって形を保つんだ?
長さの伸ばし方は?
無詠唱でのイメージの仕方は?
などなどたくさん。
話を聞くと、『炎戒の龍』を完璧に使える奴は少ないらしい。
だから俺の話を聞きたかったんだとか。
そんなこんなで会合は進み、俺は竜人の行動の仕方や技、技術など、まあたくさん学ばせていただいた。
会合が終わり、次は稽古だ。
ドーラ師匠に久しぶりにボコされた。
懐かしく、そして痛い。
あの人、もう少し手加減してくれないかな。
そんなこんなで1ヶ月はあっという間に過ぎた。
夜、俺は今、ドーラ師匠と話していた。
「そういえば、ドーラ師匠ってどうして剣術指南の旅をしているんですか?」
「話せば長くなるが…まあいいか。俺は昔、剣士でもなかった頃、師匠と呼べる人がいた。」
「ほう…」
「その人は竜人と人族のハーフで、周りの竜人よりひ弱だったのに、誰よりも強い剣士だった。」
ドーラ師匠はやや懐かしそうな目で話を続ける。
「ある日、俺の村は襲撃を受けた。人数はだいたい40人くらいだった。俺達は太刀打ちできないでいた。そんな時に、ハーフの剣士が敵を全て倒し、村を救った。」
「なるほど…」
「俺はその剣術に惚れ込んだ。それからは彼に弟子入りし、剣術を学び、力を伸ばした。ただ、彼は人族の血が濃かったこと、体が弱かったこともありすぐ死んだ。死ぬ前に俺に『剣を広めろ』と残して。」
「それで剣術指南の旅を?」
「そんなところだ」
なるほど、少し泣けるな。
「お前にもいつか、そういった宿命を背負う時が来る。生物は皆宿命を胸に強くなるものだ。気を引き締めていけ」
「はい。」
俺はこの日、この街に来てはじめて、剣術以外の事を学べた。
「じゃあ気をつけろよ」
「はい、師匠も元気で」
「この剣術指南が終わったら、俺もお前らの村に行く。部屋を用意しといてくれ」
「はい」
わがままだな。
そういうところ、嫌いじゃないが。
俺はドーラ師匠に別れを告げた。
その後、俺は国の門まで着いた。
ナナ師匠はまだいない。
待つか。
………。
………。
………。
半日が過ぎた。
来る気配がない。
おかしいな。
確かここらへんの時間には来るって言っていたのだが…
幸い、ここからエイサール村までは一本道だ。
ナナ師匠とここ来た時もこの道を歩いてきた。
……進むか。
俺は村に向かって1人で出発した。
あっという間に1週間が経った。
一向にナナ師匠とすれ違わない。
…なんかおかしいな。
疑問に思いながらも更に9日歩いた。
まあもうすぐ村だ。
ナナ師匠には後で圧かけとこ。
そうしよう。
雪、白いな。
いつもより白い気が……
………。
………。
………。
ここで俺は、気を失った。




