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7話 お互い初めて

卒業から時は流れ、俺は6歳になった。

俺の生活は変わらない。

ひたすら修行だ。

しかし、卒業してから始めたことがある。

座学だ。

算術と言語学について学んでいる。

といっても、算術は計算方法は少し違えど、前世の世界の数学を用いれば簡単だ。

内容はもう半分まで終了した。

言語学を中心に今は学んでいる。

なんだかんだ、前世より楽だ。

俺は6歳でありながら、特級魔術が使える、剣術修行のお陰で体もできてきているということで、最近は村の仕事を手伝っている。

とても充実している。






そんな生活をしていたとある日。

雨の日だった。

俺は結界魔術で雨を避ける練習をするために外にいた。

まあ、火魔術の応用で体に熱をまとわせることで、雨はすぐ蒸発しているのだが…


畑の脇道を歩いていると何かを蹴った。


突っかかった。


でかいな…


なんだろう?

俺は足元に視線を向けた。


……え?



…人?






ー???視点ー

…………。

…私何してたんだっけ?

たしか、人さらいの馬車から抜け出してそれから…

忘れちゃった。

お腹へった…

……………。

…………。

………。

……。

…いい匂い。

なんだろうこの香り。

体も温かい。

なんだか安心する。


…私は目を開けた。

目に写ったのは茶色い天井。

私は今、ベットの上にいるみたいだ。

ここは、どこなんだろうか…


「あっ、起きた…」


声が聞こえた。

声の方向を向くと、男の子がいた。

年齢は私と同じかちょっと上くらいだと思う。

髪は黒?

いや、黒に近い茶色だ。

目は左右に違いがあるように見える。

なんでだろう?

「母さーん!女の子起きたよー!」


ドタドタドタ…


下から音がする。

そして近づいてくる。


バタンッ!


勢いよく部屋の扉が開いた。


「大丈夫?」


入ってきたのは女性だ。

髪は私より少し長いくらいの茶髪。

整った顔だ。

彼女は私をのぞき込み、優しく微笑みながら、そう聞いてきた。

「あなたは…?」

「カレラよ。あなたの名前は?」


「…ニナ…です…」






ーレオリオス・パルト視点ー

ニナ。

彼女はそう名乗った。

ニナは俺より少し小さいが、俺と同じくらいの年齢に見えた。

髪は白髪…じゃないな。

銀髪で、肩くらいまでの長さだった。

そして目は緑で、耳の近くに傷があるが、整った顔だ。

カレラは姓も聞いていたが、


「…ない。」


ないらしい。

ん?てことは…


「あなた、混血?」


「はい、エルフと…竜人と…人の…」


こいつはすごい。

三血混合か。

ただ、エルフなのに特徴的な耳がない。

「なるほど、だから緑の目なのね。」

どうやらエルフは耳もそうだが、目も特徴的らしい。

ちなみに、混血とわかったのは、混血種は種族間の相続争いになるべく関わらせないために姓を与えないというルールがあるからだそうだ。

「ニナは、どこから来たの?」

「ファジサイトの…南端の村…から…」

話が途切れ途切れなのをみると、まだ混乱しているようだ。


ファジサイト。

確か、『魔族世界』の西に位置する海の国だよな。

随分とまあ、遠いところから。

「お父さんとお母さんは?」

「…………。」

彼女は唇を噛み、全身を震わせて、静かに涙を流した。

……死んでしまったらしい。

話を聞くと、村が襲撃され、ニナと他数名を残し全滅。

残った数名も、竜獣族のもとにとばされた後、死亡。

ニナは自身を捕らえた人さらいに連れられ、ウェストンまで来たらしい。

そいつはきっと、彼女を売るつもりだったのだろう。

そこから抜け出して、この村にたどり着いたのだそう。



カレラはニナにシチューを持ってきて与えた。

そして彼女がシチューを食べている間に、俺とカレラはバオス、カーラ、ナナ師匠を集めた。

緊急家族会議の始まりだ。

「あの子、どうします?」

「どうするったって、さすがに追い出すわけにはいかんだろ。」

「けど父さん、人さらいがうちに来たら面倒だよ」

「そりゃ…そうだが…」

家族3人が議論してる間に、俺はナナ師匠と話す。

『家に泊めても大丈夫だと思いますが、師匠は?』

『同じです。あの子はほおっておけますん。』

『…ドーラ師匠の部屋、片付けないとですね。』

『それはレオに任せます。』

『師匠?』

この念話の会話の後、俺とナナ師匠も話し合いに加わった。






その後、意見はまとまり、ニナをうちに住まわせることにした。


ニナ。

エルフ、竜人、人の混血で、エルフ特有の緑の目と額にちょこっとだけ鱗がある。

白に近い銀髪の女の子。

歳は5歳、俺の1個下だ。


ニナは最初は警戒していたが、次第に家に溶け込んでいき、1週間後には、みんなと笑顔で話すことも多くなった。

年の近い俺とは特に仲良くなり、今では大切な俺の友達だ。

友達か…

この世界で初めての友達だ。

なんだか新鮮だな。






ーニナ視点ー

私がこの家に保護されて一週間がたった。

パルト家の人たちはみんな優しく私に接してくれる。

最初こそ怖かったけど、今ではそんな気持ちは一切ない。

夜1回だけ変な音がしたくらいだ。

特にレオリオス君は私ととても仲良くしてくれる。

私にとってはじめての『友達』と言える存在だ。

けど、ここの人たちはいつもやっていることがバラバラだ。

バオスさんはこの村の村守らしく、いつも村長のところへ仕事に行く。

カーラさんは基本家にいない。

カレラさんはいつも家で何かを作っている。

レオリオス君は、この家に住むナナさんと一緒に魔術やら剣術やらを練習している。

そんなみんなの1日を見ているのは、少し楽しい。

みんな笑顔だからだと思う。

…私も何かしたいな。






1週間後、私は思い切ってレオリオス君に話しかけた。

「レオリオスくん…」

「レオでいいよ。どうした?」

「あの…その……」

緊張してしまった。

頑張れ、私!

私は意を決して話した。

「私に、魔術教えてくれない!」

「うぇ!?」

レオリオス…いや、レオは声を出して驚いた。

私が魔術に興味があるとは思っていたのだろう。

数秒の間のあとに、

「わかった、ナナ師匠にもちょっと聞いてみるよ」

「…!ありがとう!」

こうして、私は魔術を学び始めた。






ーレオリオス・パルト視点ー

ニナは俺とナナ師匠の指導のもと、魔術を学び始めた。

まさか、魔術に興味があるとは思わなかった。

先日頼まれた時はかなり驚いた。

が、それと同時に嬉しかった。

頼られる。

それすなわち、ニナも俺のことを友達、あるいは味方だと思ってくれている証拠だ。

ニナは楽しそうに魔術を学んでいる。

喜んでいるようでなによりだ。

ニナが俺を見て「できた!」というかのように魔術を見せてくる。

満面の笑みだ。


…なんだろう。

この感じ、誰かに似てるような……。

あ、めっちゃ似てる。

俺の前世の彼女の笑顔にすごく似ている。

彼女は今何をしているのか…。

……忘れよう。

今思い出すのは良くない。

あっちはどうだとか、あいつは何してるとか、考え始めたらきりがない。

まずはこの世界で生きていくことを考えよう。






ニナが来て三ヶ月が過ぎた。

驚くべきことが起きた。

「治癒と…結界が…特級だと……」

ニナは魔術のセンスがいいわけじゃない。

まあ悪いわけでもないが。

魔術はほとんど初級か中級止まりだ。

しかし、治癒と結界がエグい。

俺も会得してない治癒の特級魔術2個と、結界の特級魔術1個を軽々覚えやがった。

とんでもない才能だ。


これにはナナ師匠も驚いていた。

「なんでここまで尖っているんですか?」

尖ってる?

なんのことか?

「…尖ってますね」

俺はナナ師匠が記録を取っている俺とニナの魔術完成度のグラフを見つけた。

そこを見たところ、俺は若干いびつだが、基本的にはバランスが良さそうだ。

対してニナは、他は小さい値なのに、治癒と結界だけずば抜けてる。

表の線がとんがってしまっている。

これもこれですごいな。


まあそんなこんなで、俺の生活は、変化があれど充実している。

ニナも心を許してくれてるみたいだし、良かった良かった。

こうして、充実した日々は、ゆったりと過ぎていくのであった。


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