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プロローグ 自覚

ピロピロピロピロ!


ピロピロピロピロ!


「……っ」


雀の鳴き声とアラームの音で、俺の1日は始まる。

朝は6時に目覚めて、部屋を出る。

そして親が用意したであろう朝食を食べる。

親は仕事でおらず、毎日1人の朝食。


そこからは身支度をし、7時過ぎには外に出る。

晴れてれば自転車で、雨なら電車で学校に行く。

学校ではただひたすら、黒板の字と先生の言葉を書いていく。


授業が終わればメンバーで集まってバンド練習なんかしてる。

帰るのはいつも午後7時。

そこからは晩飯を食って、1時間くらいしたらランニングに行く。

帰ってきたらすぐ風呂に入る。


「体に悪いから(風呂に入る)時間をあげなさい」


風呂に入ろうとする俺に対し、俺の母はそう言う。

いつもの口癖だ。

いや、それで風呂遅くなるのあんたらだろ…

そう思いながら10分くらい時間を開けて入る。


それからあれやこれやをやって、寝るのは12時くらいだ。

もちろん勉強はしてるぞ。

…まあ1時間くらい。






そんな生活を中学から続けて5年目。

いや、バンドは高校からだな。

今日も変わらない夕暮れ時。

夏もそろそろ終わりが近くなっている。

いつものように好きなアニソンを口ずさみながら、自転車で橋を渡る。


ピロン!


と、ここでバッグの中から音が鳴る。

どうやらLINEが来たらしい。

俺は自転車を止めてそれを見る。


なになに…


『今週の土日暇?』


『よかったら映画見に行かない?』


メッセージの主は俺の彼女だった。

最近までお互い部活や課外活動、テストの影響で一緒に何かするということはしていなかった。

だからだろうか?


映画か…

今上映してるのってなんだっけ?

俺はスマホで映画館のホームページを調べる。

いくつか出てくるが、何を見るのかはわからない。

ただまあ、予定と言うほどのものもないし…大丈夫か。


『いいよ〜』


『ちなみになんの映画?』


そう送ってバッグにスマホをしまおうとする。


ピロン!


その瞬間、再びスマホが鳴る。

またLINEの通知音だ。

もう返事きたのか?

早いな…

そう思いながらスマホを手に取り、画面を開く。


しかし、表示されたのは別の人物からのLINEだった。


『明日スタジオ借りたから17時集合〜』


バンドのグループLINEだった。

どうやら明日、練習のためにスタジオを借りたらしい。


明日か…

バンドの練習がない日はすぐ家に帰るようにしているのだが…


まあ別に嫌なわけじゃない。


『OK』


俺はオッケースタンプを送って、今度こそバッグにスマホをしまった。


しかし今日はやけにLINEがくるな…

朝と合わせると今日は10回くらいやり取りをした気がする。

更にいうと、その時間の大半は学校にいて、LINEをみていない。


つまり朝の約2時間、帰りの1時間未満の間に10件…。

…多すぎやしませんか?

いや、そんな日もあるか。

…あるか?

まあいいか。


俺はそう思いながら再び自転車をこぎ始めた。

これって漫画の世界だとフラグとか、嵐の前兆とか言うやつだよな…。

まあそんなことどうでもいいのだが。


それにしても映画か…


楽しみだな。


そう思いながら、再びアニソンを口ずさんだ。






…ここからはあまり覚えてない。

そこから記憶がワープしたみたいな感覚だ。


「……っ?」


…俺は目覚めた。

なぜか知らないが、俺は気を失っていたらしい。

視界は少しかすんでいる。

まるで急激に疲れて視力がガクッと下がったように。

視力って…こんな突然下がるんだ。


そう思っていたら少しずつ目の焦点があってきた。

そして意識もだんだんとはっきりしてきて、音が聞こえてくる。


ピッ、ピッ、ピッ、…


「……?」


俺の耳に入ってきたのは機械音だった。

よくドラマとかで聞くあの…心拍数を測るあれの音だ。


ん?

つまりここは…病院?


いや、にしては目の前が明るすぎるな。


「……?」


そして視界がはっきりすると、そこにとある情景が広がる。


俺の周りには全身緑の作業服に身を包んだ人が4・5人立っていた。

そして、俺の体を何かでいじっている。


…そういうことか。


これは手術室だ。

俺はなぜか手術されている。

そう、すぐに理解した。


「血圧低下、心拍不安定!」


「出血、挫傷箇所多数発見!」


「…めい……い…」


「……さ………」



「……心肺停止…」


そして視界はじわじわと霞み、俺はまた気を失った。


いや、多分…




俺は…死んだ。









「おい、どうした棒立ちになって」



「…?」


そんな中、俺は再び目を覚ます。

今度は意識も視界もはっきりしている。


……ん?


だがこれは今…どういう状態だ?


目の前には果てしなく広がる麦畑。

視界の左には木製の家がある。

なんかア◯プスの少女に出てきそうだ。

そして俺が今握ってるのは、



…木刀だった?



え、なんで病院からこんなことになってるの?

まてまて!

なんか忘れてる気がする。

なんだっけ、なんだっけ………。



あ…

思い出した。


なんか知らんが転生したんだ。


いや待て!

そんな馬鹿げた話あるか?

まだ夢と言う可能性だってある。

ましてや、こんなザ・異世界みたいなことあるわけ…。

そう心でつぶやく。


ただ、もう認めざるおえない。


なんせ、もう俺はここで…




1年過ごしたのだから…。

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